ききょう

気胸

肺

目次

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概要

気胸とは何らかの原因により肺から空気が漏れることで、肺が潰れてへこんでしまう病気です。突然の胸痛で発症し、呼吸困難を伴うこともあります。軽症であれば安静を保つことで自然治癒を望むこともできますが、一方で、血圧低下や非常に重い呼吸障害がみられ、緊急の対応が必要になる緊張性気胸とよばれるものもあります。そのため、気胸では重症度を正確に評価し、迅速な対応につなげることが重要です。

原因

気胸の原因は、何らかのきっかけで臓側胸膜と呼ばれる部分が損傷を受け、肺の中の空気が胸腔内に漏れ出ることです。呼吸をするときに重要な役割を担う肺は、胸腔と呼ばれる空間に納まっています。胸腔内の空間は胸膜と呼ばれる膜で裏打ちされており、特に肺の表面は臓側胸膜と呼ばれる膜で覆われています。胸腔内と肺の中に存在する空気は、臓側胸膜によって空間的に隔絶されており、通常は肺の中の空気が胸腔内に紛れ込むことはありません。

気胸の種類

気胸は、発症様式や原因によって、

  • 自然気胸
  • 月経随伴性気胸
  • 外傷性気胸
  • 医原性気胸
  • 緊張性気胸

などに分類されます。

自然気胸

肺嚢胞(ブラ・ブレブ)という弱くもろい部分が破れて起こる気胸です。肺嚢胞が破れる特定のきっかけはなく、どのようなときでも起こる可能性があります。たとえば、激しい運動をしたからといって発症するわけではなく、寝ているときにでも発症することもあります。自然気胸は、背の高くて痩せている20歳前後の男性に発症しやすい傾向にあります。そのほかにも、肺気腫や肺がんなどの肺疾患に続発して自然気胸が生じることもあり、この場合は続発性自然気胸と呼ばれます。

月経随伴性気胸

子宮内膜症を原因として発症する気胸です。子宮内膜症は、子宮の組織が子宮以外の部位に紛れ込む病気であり、月経周期と共に出血がみられます。子宮内膜症が肺に生じることで、月経に伴う出血に関連して気胸が発症します。

外傷性気胸・医原性気胸

外傷や医療行為に関連して気胸が発症することもあり、それぞれ外傷性気胸や医原性気胸と呼びます。いずれの場合も肺の組織が物理的に損傷され、気胸が発症します。

気胸に関連した以上の分類は、発症に至る原因に注目した分類です。最も気をつけるべき気胸は、緊張性気胸と呼ばれる気胸です。発症原因と関係なく非常に重い状態になります。緊張性気胸は、過度に胸腔内に空気が漏れ出てしまうことにより、正常な肺が圧迫されます。同時に心臓や大静脈も圧迫を受け、循環動態にも支障が生じます。

 

症状

気胸を発症すると、突然の胸の痛み、呼吸困難、咳などの症状が現れます。気胸による呼吸障害の程度は損傷を受けた肺のもともとの状態により異なり、それに応じて緊急度も異なります。気胸の種類の項目で記載した通り、特に緊張性気胸を発症した状態では症状が非常に重くなることがあります。緊張性気胸での呼吸障害は強く、さらに血行動態にも支障が及ぶため、ショック状態を引き起こすこともあります。

検査・診断

気胸の診断は、胸部単純レントゲン撮影を行うことでなされます。気胸を発症すると、胸腔内への空気貯留を反映した画像所見を得ることができます。重症度の判定や、緊張性気胸の発症状況も画像的に判断することが可能です。さらに詳しく肺の内部を確認したい場合には、胸部CT検査を行います。CT検査によって、レントゲンでは観察ができないような小さな嚢胞(のうほう)や、嚢胞の数、場所、胸膜癒着の有無、肺気腫などの基礎疾患などを確認することができます。

治療

気胸の治療は、重症度に応じて選択されます。軽症の気胸であれば特別な治療介入を行うことなく、安静を保つことで自然に改善することが期待できます。気胸の程度が強い場合には、胸腔ドレナージと呼ばれる方法がとられます。胸腔ドレナージとは、脇の少し下あたりから胸腔ドレーンを挿入して、持続的にドレーンから空気を体外へ排出する処置です。緊張性気胸を発症している場合には、時間的な猶予がないこともあり、救急外来にて緊急に処置を行う必要があります。気胸の治療では、手術的な治療介入がとられることもあります。気胸に対する手術は、以下のようなケースで行われます。

  • 胸腔ドレナージで持続吸引しても空気漏れが止まらない場合
  • 再発性の場合
  • 左右の肺に同時発症の場合
  • 血胸(胸腔内で出血していること)を合併している場合

それ以外にも、患者さんの社会的状況から手術を選択することもあります。

再発を防ぐために注意したいこと

気胸は再発のリスクもあります。そのため、症状の現れ方や発症時の対応などを理解しておくことは大切です。また、喫煙を契機として発症リスクが高まるため、禁煙を行うことも重要です。さらに、スキューバダイビングや飛行機搭乗と関連して気胸が発症すると、大きな危険性を伴うことがあります。そのため、気胸発症後はスキューバダイビングを避ける、治療後の一定期間は飛行機に乗らないなどの対応も必要とされます。

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