発見された時にはすでに進行していることが多いのが膵臓がん(膵がん)です。膵臓がんで完治を目指せるのは手術だけですが、進行している状態で見つかることが多いため、発見時に手術可能な人は3~4人に1人です。国内のみならず、世界的な課題だという膵臓がんの早期発見への取り組みについて飯塚病院外科統括部長の梶山潔先生にお話をお伺いしました。
飯塚病院がある筑豊地域は高齢化の進んだ地域で、膵臓がんをはじめ、病気に対する住民の知識や情報量は都市部と比べると低いかもしれません。近隣で著名人などが膵臓がんで亡くなられたりすると注目を集めるのですが、膵臓がんはどうしても胃がんや大腸がん、乳がんなどより関心度が低いのが現状で、正しく理解されていないことが少なくありません。
「身近にこんな病気があるのですよ」ということをわかってほしい、そんな思いから啓蒙活動に取り組んでいます。少しでも膵臓がんについて理解してもうため、地域の婦人会や企業の退職者の会などの小さな集会での講演などの活動を行っています。
また、より多くの住民の方に膵臓がんについて知ってもらうための情報発信もしています。その一貫として、新聞の地方版の紙面の健康コラムのコーナーに、膵がんに関する記事を何度か書かせていただきました。当初はあまり住民の方々の反応を感じることはありませんでしたが、最近は患者さんやご家族の方などからよく声をかけられるようになってきています。継続して啓発活動を行うことが大切だと感じます。
膵臓がん治療を行うにあたっては、地域の開業医との連携も重要です。外科部長になってから約1年半かけて、地域にある105か所の開業医の先生方に挨拶回りを行いました。顔の見える関係を作ることで垣根がとれて、以前に比べてよりスムーズに連携が取れる先生が増えてきました。
先ほどもお話したように、進行してから見つかることが多い膵がんの早期発見は世界的な課題となっています。日本においては、胃カメラや胃レントゲン、便の潜血反応など、胃がんや大腸がんの早期発見には検診が重要な役割を果たしてきました。膵臓がんを早くみつけるのに有効なエコー(超音波検査)はカメラやバリウムのように大変な検査ではありませんが、一般的な健診の項目には入っていないのが現状です。
また膵がんは糖尿病との関連も示されているため、高齢になって新たに糖尿病になった方や以前からあった糖尿病のコントロールが急に悪くなった方々に対してエコーを行うだけでも、膵臓がんの早期発見につながることが期待されています。すでに一部の地域では糖尿病の患者さん全員に膵臓がんの検査を行って、早期発見を試みている施設もあります。
啓発活動などでよくお話することは、体調が悪くなってクリニックなどを受診して検査をする際には、「エコー検査も一緒にして下さい」と頼むようにということです。
本来、膵臓がんは難治性の病気ですが、手術、化学療法などの集学的治療により完治される方もいらっしゃいます。ごく稀に起こることなのですが、 膵臓がんの再発からも治っていかれる方もおられます。このようなことは、全国どこの専門医もおそらく経験されていることだと思います。
はっきりとした医学的根拠はないのですが、どうしてなのかわからないけれど良くなられる患者さんがおられます。つまり、膵臓がんは難治がんですが、根気よくあきらめずに治療を続けることで奇跡的に治ることもあるということです。
膵臓がんは再発しやすいがんです。手術後も3か月に1回は検査をして再発の早期発見に努めますが、再発がみつかったとしても残念ながら高い確率で治癒を期待できる有効な治療法はありません。しかし、先ほどのように理由は分からないですが、良くなる方がおられます。このようなこともあるので、最後まであきらめず希望を持つことも忘れないでほしいと伝えていきたいです。
大分赤十字病院 副院長兼外科統括部長
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手術後の合併症
私の父親なのですが、今月の頭に すい臓がんの手術をしました。 術後、合併症が出なければと早く退院できますよ。と言われていた矢先に液もれを、おこし合併症が出たのでと自宅に電話が来たそうです。 ご飯を食べると、液がもれるようで、現在、点滴と水、お茶しか口に出来ずに、検査づくしの毎日を過ごしている様子。 少し食べたりしている時もあるようですが、液が出たりでなかったりで、いつ治るのかと父も不安のようです。 病室にも入れませんので、本人の様子はメールでしかわからず、母もずーっとモヤモヤ状態。 術後、2週間ぐらい経ちましたが、いつになったらご飯が食べられるようになって、退院の目処がたつのでしょうか? よろしくお願い致します。
膵臓癌の再発による肝不全に伴う腹水への対応について
妻は、昨年の5月初旬にステージ1の膵臓癌が見つかり、6月に標準的外科療法として手術をしました。その後、9月末に退院し、自宅療養をしていましたが、昨年12月に腹水が溜まりはじめ、三月初旬にCT検査をし、膵臓癌が昨年12月頃に再発したことが分かりました。一度は、三月初旬に腹水を三リットル抜いて、それから蛋白質等だけ体内に戻しました。今も腹水が溜まり続けていますが、どのタイミングで再度、腹水を抜いたら良いでしょうか。または、腹水は抜かない方がいいのでしょうか。宜しくご教授下さい。
膵臓癌手術後の癌再発について
初めて相談します。私の妻は、昨年6月に膵臓癌の切除手術をしました。ステージ1でしたが、すぐには回復せず、血栓がてきたりし、血のめぐりが悪く、色々処置し9月末に退院しました。その後、12月頃から腹水が溜まり、肝不全と門脈が詰まっていたようで今月入院しCT検査の結果、膵臓癌が再発していました。担当医は、3ヶ月から1ヶ月の余命ではと言っていました。本当にそのよう余命なのでしょうか?また、セカンドオピニオンを考えた方がよろしいでしょうか?ご教授ください。宜しくお願い致します。
すい臓がんの肝臓への転移
今年の3月にすい臓がんと診断された父親についての2回目の相談になります。 抗がん剤治療を4ヶ月ほど続けていましたが、先週のCTにより肝臓への転移が見つかりました。主治医は治療方針がかわります。とおっしゃいました。今までは抗がん剤でガンを小さくしてから手術に持っていきたいとおっしゃっていたのですがそれが転移となるとできないと。その場合はどのような治療になるのでしょうか?単に延命のための治療になるということでしょうか?すい臓がん事態は2か月前と大きさに代わりはないのに転移するものなのでしょうか?肝臓への転移によって今後どのような症状があらわれるのでしょうか?4日前に胆汁を出すために入れたお腹のチューブが詰まったため緊急で入院し、その時のCT検査で転移がわかりました。今はまだ仮で鼻からのチューブで外に胆汁をだしているためそれが落ち着いたら詳しく治療方針を説明すると言われましたが、不安でご相談させて頂きました。
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