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インタビュー

公開日 : 2017 年 02 月 08 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

膵臓がん手術の常識を見直す−転移や合併症から膵臓がん患者を守る

名古屋大学大学院医科学系研究科 消化器外科 准教授
藤井 努先生

膵臓がんは手術をしても再発してしまうことが多く、手術後の合併症も多いため、「不治の病」と恐れられてきました。また、膵臓が胃や肝臓など主要な臓器や太くて重要な血管に囲まれていることもあり、膵臓がんは転移の可能性や、転移してしまった場合の根治の可能性が低いという特徴もあります。

名古屋大学大学院医科学系研究科消化器外科 准教授の藤井努先生は「従来の慣習にとらわれず、あらゆることに挑戦する」というポリシーのもと、合併症が多い膵臓がん手術の技術向上に努めてこられました。できるだけ合併症の少ない手術を行う傍ら、外科医でありながら手術以外の治療方法にも視野を広げ、より効果的な膵臓がん治療について熱心に研究されています。

今回は膵臓がん治療における手術の位置付けと、合併症のない手術治療を目指して藤井先生がご尽力されていることについてお話を伺いました。

膵臓がんは手術だけでは根治しない

 

膵臓の位置

私は外科医として20年近く、膵臓がんの治療に携わり研究をしてきました。その中で私が見出した結論は「膵臓がんは手術だけでは根治しない」ということです。これはいくら技術の高い先生が手術をしても同じです。

なぜなら、膵臓がんは再発率が非常に高いがんであり、たとえ手術で全てのがんを摘出することができても、再発してしまうことがしばしばあるからです。つまり手術の成功ががんの根治に結びつかないことが多いのです。

膵臓がん治療は手術一辺倒の手法から医師が協力して治療する集学的治療へ

2011年以前、名古屋大学医学部附属病院の膵臓がん治療は手術一辺倒で行われてきました。そのため手術のレベルは高く、技量は確かであるはずなのに、手術後2年以内に亡くなる患者さんがほとんどでした。手術成績の向上を試みても、膵臓がんによる生存率を大きく向上させることにはなかなか結びつかず、治療成績が伸び悩む時期が続きました。

そこで2011年に、「術前治療」という新しい試みを導入しました。術前治療とは、手術前に抗がん剤による化学治療や放射線治療でがんをしっかり弱らせてから、手術に臨む治療方法です。これは、手術後のがんの再発率を下げることができるといわれ、膵臓以外のがん治療にも用いられてきました。このように1つの手段だけでなく、あらゆる方面から治療を模索し、医師が協力して治療を行うことを「集学的治療」といいます。

そして近年、この術前治療が、膵臓がん治療において非常に有効であるということがわかってきました。(詳しくは記事2『膵臓がんは手術だけでは根治しない−さまざまな種類の治療を組み合わせた最先端の膵臓がん治療方法』へ)

現状では、集学的治療として術前治療を行なった上でよい手術を行うことが、膵臓がん治療にとって最も有効な手段であると私は感じています。

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