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膵臓がんの検査・診断――迅速かつ高精度な検査で早期発見を目指す

膵臓がんの検査・診断――迅速かつ高精度な検査で早期発見を目指す
藤田 祐司 先生

NTT東日本関東病院 肝胆膵内科 医長

藤田 祐司 先生

目次
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膵臓がんから命を守るためには早期発見が重要です。初期のうちに見つけて命を守るには、迅速かつ精密な検査を行い、診断・治療につなげることが大切です。 NTT東日本関東病院では近隣の医療機関と連携し、膵臓がん高リスクの方を拾い上げる “五反田膵癌連携プロジェクト”を運用しています。膵臓がんが疑われる方に対してはCT検査、MRI検査からEUS(超音波内視鏡検査)などの検査をスピーディーに実施しています。今回は、同院 肝胆膵内科 医長の藤田 祐司(ふじた ゆうじ)先生に、同院における膵臓がん検査・診断における取り組みを中心にお話を伺いました。

膵臓がんの早期発見のためには、発症リスクの高い方を早い段階で拾い上げることが大切です。当院では2019年12月に“五反田膵癌連携プロジェクト”を立ち上げ、近隣の医療機関と連携して膵臓がんの早期診断、早期治療に努めています。

まず、地域のクリニックで血液検査*腹部超音波検査などを行った結果、膵臓がんが疑われる方や、リスク因子を持つ方がいれば当院にご紹介いただきます。その後、当院でMRI検査やEUS(超音波内視鏡検査)などの精密検査を行い、個々の発症リスクに応じて経過観察スケジュールを提案します。その後は紹介元のクリニックと協力して患者さんを継続的にフォローアップしていきます。また、がんが見つかった方は当院で治療を開始します。このプロジェクトでは、精密検査でがんが見つからなかったとしても継続的に経過をみていく“高リスク者の拾い上げ”を重視しています。経過観察の頻度は人それぞれで、多くは半年から1年に1回受診いただいています。

先方提供
NTT東日本関東病院 藤田祐司先生 作成・提供

なお、クリニックの先生方が簡便に紹介状を作成できるよう、当院では必要事項をチェックするだけで済む書式を用意しています。「この程度の理由で紹介してよいのだろうか……」とためらってしまうクリニックの先生方は多くいらっしゃいます。このプロジェクトによって該当する患者さんを躊躇せずに速やかにご紹介いただける環境を整え、スムーズな受診につなげたいと考えています。

“五反田膵癌連携プロジェクト”を立ち上げてから、実際に膵臓がんを早期発見できた患者さんも少なくありません。精密検査でがんが見つかって早期治療に結びついた方や、膵嚢胞の時点から経過観察を行ったことで早期にがん治療を開始できたという方もいます。クリニックからの紹介状をお持ちの方は、肝胆膵内科 胆膵グループの医師による外来診療にお越しください。月曜日~金曜日まで毎日胆膵グループの医師が初診外来を午前中に行っています(2024年7月時点)。

*血液検査:膵臓がんがあるとアミラーゼ、エラスターゼ1など膵臓で作られる酵素が漏れ出て血中膵酵素の値が高くなることがあることから、血中膵酵素を調べるために行う。

すでに膵臓がんが強く疑われる場合には、すぐにでもより精密な検査を行うことが重要です。この場合、当院では放射線科の協力のもと、初診当日のうちにCT検査を行います。その結果、やはり膵臓がんである可能性が高いと考えられる場合には早ければ翌日から入院していただき、EUSを実施します(EUSの詳細は後述します)。おおむね1週間以内には確定診断がつきます。

なお、確定診断にはEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引法(ちょうおんぱないしきょうかせんしきゅういんほう))またはERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)が必要です。EUS-FNAは口から内視鏡を挿入し、腫瘍(しゅよう)に針を刺して組織を採取する方法で、ほとんどの膵臓がんの診断で行っています。一方、ERCPは膵液を採取してがん細胞の有無を調べる方法で、ごく初期の非常に小さな腫瘍や上皮内がん*の診断に有用です。これらの検査により採取した組織の診断は、化学療法を行うことになった場合の治療薬選択にも欠かせません。

*上皮内がん:上皮(器官の表面を覆う組織)に発生したがんが上皮内にとどまり、奥まで浸潤していない状態のもの。ステージ0に該当する。

EUSは検査装置を体内に挿入し、胃や十二指腸から膵臓に超音波を当てて観察する検査で、至近距離から鮮明な画像を得られます。空間分解能*に優れ、CT検査や腹部超音波検査腹部エコー)では分からない小さながんも高い確率で検出できるため、膵臓がんの診断において非常に有用な検査です。技術的に難しい検査であり、また人の目で見て判断する主観的な検査であることから、見落としを極力防ぐために、当科では原則として2人以上の医師でEUSを行うようにしています。また、よりよい検査機器も導入してより精度の高い検査、診断につなげています。

*空間分解能:近くにある2つのものを見分ける能力。空間分解能が高いとより詳細な画像観察が可能になる。

膵臓がんの診断には迅速さが求められます。当院では、精密検査が必要な方にはなるべく早く入院していただき、EUSを実施できる体制を整えています。

加えて、CT検査についても放射線科の医師や診療放射線技師と相談しながら、より精度の高い画像を撮れるよう工夫を重ねています。造影剤を注入し、時間をおいて複数回撮影して変化を観察する“膵臓ダイナミックCT検査”では、通常よりも撮影回数を増やすことでより小さながんの発見につなげています。また近年は、エネルギーの異なる2種類のX線を同時に照射して撮影する“デュアルエナジーCT”という新たな技術を導入し、さらに精度の高い画像診断を目指しています。

MRI検査についても近年新たな機器を導入し、よりクリアな画像を撮影できるようになっています。膵臓のMRI検査は30分弱かかりますが、閉塞感を軽減できるようMRIの内側にはプロジェクタで風景などの映像コンテンツを投影していますのでリラックスした状態で検査を受けていただけます。MRI検査を苦手とする閉所恐怖症の方の負担も抑えられているのではないかと思っています。

先方提供
NTT東日本関東病院で導入されているMRI検査機器
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