難治がんとして知られる膵臓がん(膵がん)。国内では年間に約3万人以上が罹患していますが、同じく約3万人が膵がんで死亡しています。膵がん治療で完治を望めるのは手術のみ。しかし手術できたとしても再発率は高く、予後不良(治療後の経過が悪いこと)ながんです。
福岡県中央部に位置する高齢化の進んだ地域で、膵臓がんの啓蒙活動に取り組みながら早期発見の重要性と希望を持つことの大切さを日々住民に伝えている、飯塚病院外科統括部長の梶山潔先生にお話をお伺いしました。
膵臓がんは年間の罹患者数と死亡者数がほぼ同じという、医学が進んだ現代においても未だにがんのなかで難治がんといわれる疾病のひとつです。完治を目指すためには手術以外に方法はないものの、膵臓がんがみつかっても手術できる人は3~4人に1人で、手術ができない患者さんが圧倒的多数となっています。みつかったときには手遅れという場合が多い膵がんですが、この傾向は国内のみならず世界的に共通しています。
このように膵がんの早期発見は世界的な課題ですが、幸いにも早い段階でみつかって手術ができたとしても再発することが多く、術後の5年生存率は20%程度です。膵臓がんに対する抗がん剤も出てきていますが、薬物治療はあくまでも補助的治療法または延命治療の一貫でしかありません。
がん治療には手術療法・薬物療法・放射線療法の3つがありますが、飯塚病院ではこれらを組み合わせて行う集学的治療を導入しています。
集学的治療とは、手術療法以外にも薬物療法や放射線療法などいくつかの方法を組み合わせた治療を行うことです。患者さんのなかには、他の病院で「手術できない」といわれて飯塚病院を受診される方もおられます。治療をあきらめて来られた患者さんに集学的治療を受けてもらうことで、手術までつなげることができる方は、残念ながら多くはありませんが、10人に1人くらいはいらっしゃいます。
最近はインターネットの普及で患者さんも治療法をよく勉強されています。都市部ではより顕著にその傾向がみられるわけですが、地方ではまだ都市部に比べて住民の方々の病気や治療法に対する知識が少ないといえるかもしれません。
そのような地域的背景はありますが、飯塚病院では患者さんの意思を尊重しながら比較的柔軟な対応を行っています。治療に関するインフォームドコンセント(説明と同意)を十分に行ったうえになりますが、たとえガイドライン(治療の指針)の手術適応外であっても、患者さんが強く望めば、その意向を重視した治療を進めます。 特に手術と薬物治療に関しては、保険のきく範囲内で患者さんの希望に沿った選択を行っています。
大分赤十字病院 副院長兼外科統括部長
関連の医療相談が23件あります
手術後の合併症
私の父親なのですが、今月の頭に すい臓がんの手術をしました。 術後、合併症が出なければと早く退院できますよ。と言われていた矢先に液もれを、おこし合併症が出たのでと自宅に電話が来たそうです。 ご飯を食べると、液がもれるようで、現在、点滴と水、お茶しか口に出来ずに、検査づくしの毎日を過ごしている様子。 少し食べたりしている時もあるようですが、液が出たりでなかったりで、いつ治るのかと父も不安のようです。 病室にも入れませんので、本人の様子はメールでしかわからず、母もずーっとモヤモヤ状態。 術後、2週間ぐらい経ちましたが、いつになったらご飯が食べられるようになって、退院の目処がたつのでしょうか? よろしくお願い致します。
膵臓癌の再発による肝不全に伴う腹水への対応について
妻は、昨年の5月初旬にステージ1の膵臓癌が見つかり、6月に標準的外科療法として手術をしました。その後、9月末に退院し、自宅療養をしていましたが、昨年12月に腹水が溜まりはじめ、三月初旬にCT検査をし、膵臓癌が昨年12月頃に再発したことが分かりました。一度は、三月初旬に腹水を三リットル抜いて、それから蛋白質等だけ体内に戻しました。今も腹水が溜まり続けていますが、どのタイミングで再度、腹水を抜いたら良いでしょうか。または、腹水は抜かない方がいいのでしょうか。宜しくご教授下さい。
膵臓癌手術後の癌再発について
初めて相談します。私の妻は、昨年6月に膵臓癌の切除手術をしました。ステージ1でしたが、すぐには回復せず、血栓がてきたりし、血のめぐりが悪く、色々処置し9月末に退院しました。その後、12月頃から腹水が溜まり、肝不全と門脈が詰まっていたようで今月入院しCT検査の結果、膵臓癌が再発していました。担当医は、3ヶ月から1ヶ月の余命ではと言っていました。本当にそのよう余命なのでしょうか?また、セカンドオピニオンを考えた方がよろしいでしょうか?ご教授ください。宜しくお願い致します。
すい臓がんの肝臓への転移
今年の3月にすい臓がんと診断された父親についての2回目の相談になります。 抗がん剤治療を4ヶ月ほど続けていましたが、先週のCTにより肝臓への転移が見つかりました。主治医は治療方針がかわります。とおっしゃいました。今までは抗がん剤でガンを小さくしてから手術に持っていきたいとおっしゃっていたのですがそれが転移となるとできないと。その場合はどのような治療になるのでしょうか?単に延命のための治療になるということでしょうか?すい臓がん事態は2か月前と大きさに代わりはないのに転移するものなのでしょうか?肝臓への転移によって今後どのような症状があらわれるのでしょうか?4日前に胆汁を出すために入れたお腹のチューブが詰まったため緊急で入院し、その時のCT検査で転移がわかりました。今はまだ仮で鼻からのチューブで外に胆汁をだしているためそれが落ち着いたら詳しく治療方針を説明すると言われましたが、不安でご相談させて頂きました。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「膵臓がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。