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食道がんの転移とステージ
食道のまわりには多くの重要な臓器があり、食道がんが拡がって「浸潤」するケースや、リンパ管や血管によって「転移」するケースが心配されます。この記事ではこの浸潤や転移について、また食道がんの進行度合...
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食道がんの転移とステージ

公開日 2015 年 09 月 21 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

食道がんの転移とステージ
瀬戸 泰之 先生

東京大学大学院医学系研究科 消化管外科学教授

瀬戸 泰之 先生

食道のまわりには多くの重要な臓器があり、食道がんが拡がって「浸潤」するケースや、リンパ管や血管によって「転移」するケースが心配されます。この記事ではこの浸潤や転移について、また食道がんの進行度合いを表す「ステージ」について、東京大学胃・食道外科教授の瀬戸泰之先生に引き続きご説明いただきました。

食道がんの転移について

食道の内面
食道の内面

食道の内面を覆う粘膜から発生したがんは、大きくなるとその下にある粘膜下層という層に広がり、さらにその下の筋層にも入り込みます。そしてその後、がんは食道の壁を貫いて食道の外にまで広がっていきます。食道の周囲には、気管・気管支や肺、大動脈、心臓など重要な臓器が多く存在しているので、がんが大きくなるとこれらの臓器に拡がってしまいます。このように直接がんが拡がっていく場合を「浸潤」といいます。

また、食道の周囲には、リンパ管や血管が豊富に存在します。がん細胞は、リンパ液や血液の流れにのって食道とは別の臓器に流れ着くこともあり、そこで増えます。これを「転移」といいます。
食道がんの場合、転移に関して以下のような特徴があります。

リンパ節転移の割合が大きい

食道がんとその他のがん(胃がん・大腸がん)で比較してみましょう。
たとえば、がんが粘膜下層と呼ばれる層まで達している場合、胃がんや大腸がんのときにリンパ節転移が起こるケースは約10~20%にとどまるのに対して、食道がんのときは40%にも達します。

広い範囲での転移が起きやすい

食道の上方(頚部、頭部)にも下方(胃、小腸、大腸)にも転移が起こる可能性があります。解剖学的に(体の構造上)転移が起こりやすいのです。

遠隔転移が起こりやすい

がん細胞が血流やリンパ節に乗って肺・肝臓・骨などに達し、遠隔転移が起こることが多くあります。

食道がんのステージ

食道がんのステージの区分けには、世界の基準と日本の基準があります。これらの間に本質的な違いはありませんが、ここでは日本のステージングについて、以下の表に示します。

0期

癌が粘膜にとどまっており、リンパ節、他の臓器、胸膜、腹膜(体腔の内面をおおう膜)に癌が認められないもの。

Ⅰ期

癌が粘膜にとどまっているが近くのリンパ節に転移があるものか、粘膜下層まで浸潤しているがリンパ節や他の臓器さらに胸膜・腹膜に癌が認められないもの。

Ⅱ期

癌が筋層を越えて食道の壁の外にわずかに癌が出ていると判断された時、あるいは食道の癌病巣のごく近傍に位置するリンパ節のみに癌があると判断された時、そして臓器や胸膜・腹膜に癌が認められないもの。

Ⅲ期

癌が食道の外に明らかに出ていると判断された時、食道壁にそっているリンパ節か、あるいは食道の癌から少し離れたリンパ節に癌があると判断され、他の臓器や胸膜・腹膜に癌が認められないもの

 Ⅳ期

癌が食道周囲の臓器に及んでいるか、食道の癌から遠く離れたリンパ節に癌があると判断された時、あるいは他の臓器や胸膜・腹膜に癌が認められたもの。

癌研有明病院を経て、東京大学消化管外科学で教授を務める。世界的な上部消化管(胃・食道)における外科治療の第一人者であり、より体に負担の少ない手術方法を開発している。手術支援ロボット「ダビンチ®」を用いた食道がんの最新手術を世界で初めて成功させ、国際的に注目を浴びている。この最新手術は「NOVEL」と命名されており、体への負担を少しでも減らす手術としてさらなる発展が期待されている。

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