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大腸がんの腹腔鏡手術とは?沼津市立病院の外科医が解説
近年、大腸がんに対して腹腔鏡を使った腹腔鏡手術(内視鏡外科手術)を行う病院が増えてきています。沼津市立病院では、内視鏡外科手術を25年以上前から導入し(2018年時点)、現在も日々技術向上のため...
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公開日 : 2018 年 12 月 04 日
更新日 : 2018 年 12 月 04 日

大腸がんの腹腔鏡手術とは?沼津市立病院の外科医が解説

目次

近年、大腸がんに対して腹腔鏡を使った腹腔鏡手術(内視鏡外科手術)を行う病院が増えてきています。沼津市立病院では、内視鏡外科手術を25年以上前から導入し(2018年時点)、現在も日々技術向上のための取り組みを行っています。

今回は、そのような内視鏡外科手術における歴史を持つ、沼津市立病院の第二外科部長である菅本祐司先生に大腸がんの腹腔鏡手術について解説いただきました。

大腸がんの腹腔鏡手術とは

大腸がん 腹腔鏡

大腸がんの外科手術におけるアプローチ方法には、開腹手術と腹腔鏡手術(内視鏡外科手術)があり、近年多くの病院では腹腔鏡手術が行われています。

腹腔鏡手術とは、お腹に開けた複数の(あな)から腹腔鏡や鉗子などを挿入し、腹腔鏡が映し出す映像を確認しながら行う手術のことです。

腹腔鏡…お腹の中を観察するためのカメラ

鉗子…組織をつかんだり引っ張ったりするための器具

腹腔鏡手術では得られる視覚情報が多い

腹腔鏡手術と開腹手術の大きな違いは、腹腔鏡に備わっている「拡大視効果」といえるでしょう。拡大視効果とは、臓器や組織を本来よりも大きく、かつ鮮明に映し出すことができることを指します。

拡大視効果によって、人間の目では見ることの難しい神経・毛細血管の走行や組織の層構造を見ることができます。これにより、開腹手術に比べてより正確性の高い手術を行うことが可能となり、出血量が少なくなります。

また、モニター画面に映し出される映像は、術者だけでなく、助手、看護師、麻酔科医、臨床工学技士など手術室にいるスタッフ全員で共有することができます。多くの人間の目で術野を確認することができるため、より安全性の高い手術が可能になるといえます。

腹腔鏡手術で残る傷跡は?

腹腔鏡手術 切開痕

先ほどお話ししたように、腹腔鏡手術ではお腹に複数の(あな)を開けて手術を行います。お腹のどこに、いくつの孔を開けるかは病院によって異なります。一般的に、多くの病院で行われている大腸がんの腹腔鏡手術ではお腹に5つの孔を開けますが、当院では腹腔鏡を導入した当初から、3つまたは4つの孔で腹腔鏡手術を行っています。

1つの孔で行う「単孔式腹腔鏡下手術」という方法もある

▲沼津市立病院における単孔式腹腔鏡下手術の術中写真 菅本祐司先生ご提供
▲沼津市立病院における単孔式腹腔鏡下手術の術中写真 菅本祐司先生ご提供

近年は、傷口がさらに少ない「単孔式腹腔鏡下手術」を行う施設も増えてきました。

単孔式腹腔鏡下手術とは、若干大きめの1つの孔から複数本の鉗子を挿入して行う腹腔鏡手術のことです。当院では、虫垂炎や小腸腫瘍に対する手術、試験切除術などに対して、単孔式腹腔鏡下手術を行っています。

(へそ)の部分に孔を開けて手術を行うため、術後の傷口が目立たず整容性に優れているというメリットがあります。

一方で、通常の腹腔鏡手術よりもさらに鉗子の動作制限が発生するというリスクもあります。

当院では虫垂炎に対して2004年より単孔式腹腔鏡下手術を行っていますが、その場合の費用は、通常の腹腔鏡手術と同額で約14万円です(3割負担の場合、入院費を含む)。

試験切除術…病変の一部を切除して病理診断(顕微鏡で詳しく調べること)を行うことで、確定診断を得る方法

▲単孔式腹腔鏡下手術の術後写真 菅本祐司先生ご提供
▲単孔式腹腔鏡下手術の術後写真 菅本祐司先生ご提供

腹腔鏡手術のメリット

腹腔鏡手術には、患者さんにとって主に以下のようなメリットがあります。

  • 術後の痛みが少ない
  • 傷跡が小さく、整容性に優れている
  • 早期退院、早期社会復帰が可能
  • 癒着性の腸閉塞やイレウスの発症頻度が低い

癒着性の腸閉塞やイレウスの発症頻度が低い

腸閉塞・イレウスとは、何らかの原因で腸がつまり、食べ物などが腸を正常に通過できなくなった状態をいいます。

体にできた傷が生体自身の力でくっつく際、程度は異なるものの、必ず周りの組織や臓器を巻き込みます。そのため手術をすると、多くの患者さんに癒着が起こります。

腸の場合には、腸管同士が癒着したり、腸管と腹壁(お腹の内側にある壁)が癒着したりします。すると、癒着によって腸がつまる「腸閉塞」や「イレウス」を発症します。

傷が大きければ大きいほど癒着が起こる確率は高くなるため、傷が小さな腹腔鏡手術では、開腹手術に比べて「腸閉塞」や「イレウス」が起こりにくいとされています。

 

このほかに医学的な観点とは異なりますが、手術前後や病気のことで苦しい思いをされた患者さんにとっては、手術後に残る傷が小さいことで、苦しい経験の記憶にとらわれにくい傾向があると考えられます。

そうした点からも、腹腔鏡手術は患者さんの負担を軽減させることができるというメリットがあるといえます。

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1992年千葉大学医学部を卒業。消化器外科領域の疾患に対する内視鏡外科手術を専門とし、これまでの内視鏡外科手術経験数は2000例以上にのぼる。現在は、沼津市立病院第二外科部長として診療現場に立ち続けながら、後進の内視鏡外科手術指導にも情熱を傾けている。

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