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健康診断・人間ドックの詳細――がん検診や脳ドックについても解説

健康診断・人間ドックの詳細――がん検診や脳ドックについても解説
高橋 大介 先生

財団法人同友会 ライフメディカル健診プラザ  院長

高橋 大介 先生

目次
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この記事の最終更新は2016年11月22日です。

健康診断人間ドックではさまざまな検査がパッケージとなっていることが多いですが、はたして過不足はないのでしょうか。これは年齢や持病の有無、また家族の持病の有無までもが関連してくるため、一言では片付けられない問題といえるでしょう。

今回は健康診断の各項目をはじめ、人間ドックで行われるがん検診のそれぞれの特徴や受けたほうがよい方について、引き続きライフメディカル健診プラザ院長の高橋大介先生に教えていただきました。

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検査に必要な着替えなどは医療機関で用意していますので、健康診断を受けていただく際に必要となる持ち物はそれほど多くありません。

医療機関や受けていただく検査内容によって多少変化しますが、一般的には以下のとおりです。

  • 診察券
  • 健康保険証
  • 問診票(事前に送付されます)
  • 採取した検体(事前に検体ケースが送付されます)
  • 眼鏡(使用されている方)
  • コンタクトレンズと保存用ケース(使用されている方)
  • 補聴器(使用されている方)
  • 現金もしくはクレジットカード
  • 過去の健康診断の結果(いつ、どのような検査を受けたか、そのときの検査結果)
  • 既往症(いつ、どのような、けがや病気をしたか)
  • 家族歴(がん糖尿病など、家族や親戚の病気や健康状態が分かるもの)

着替えやすい格好がベター

人間ドックでは検査着に着替えてから順番に検査を受けていただくため、服装に対する制限は特にありません。

ネックレスや時計、指輪などは検査時には外すよう指示されますので、検査着に着替えるときに一緒に外していただきます。また、ピアスやイヤリングなど細かいアクセサリー類は、つけたままだと検査できない、または検査中に紛失してしまう可能性があります。検査前に外す、もしくはつけていかないようにしましょう。

持ち物は最低限に

ロッカーは衣類やバッグが入るくらいの大きさがほとんどなので、検査を受ける当日はできるだけ持ち物を少なくしましょう。

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健康診断(法定健診)で行う検査項目は、主に生活習慣病に関するものです。検査項目である便潜血検査胸部X線検査は、大腸がん肺がんを見つける役目を担っていますが、人間ドックで行う大腸内視鏡検査や胸部CT検査と比べると精度は劣ってしまいます。

以下に健康診断で一般的に行われる検査と、その特徴を挙げていきます。

身体計測

はじめに行う検査で、正確な身長と体重から肥満度を算出します。肥満度はBMIという呼ばれる名称で表します。

[BMIの算出方法]

体重Kg/(身長m)×2

・BMIが18.5未満

「やせ」の部類に入ります。心臓疾患などのリスクが上昇します。

・BMIが18.5~25未満

「標準」の部類に入ります。肥満が原因による病気のリスクが一番低いのがこの範囲です。健康維持のためには、BMI 20~23.5が理想とされています。

・BMIが25以上

脂肪が過剰に蓄積した状態で、「肥満」の部類に入ります。生活習慣病をはじめ、多くの病気を引き起こす原因となります。

聴力・視力検査

日常生活を送るうえで欠かせない耳の聞こえ方や目の見え方を調べます。普段の生活では聴力・視力の低下に気がつきにくいため、この検査は必須といえるでしょう。

血液検査

体の異常は血液検査の数値に反映されることが多いため、血液検査は全身の状態を知るためのバロメーターとして行われています。主に血液検査では、貧血はないか、肝臓・腎臓の機能が正常か、脂質や糖質が標準値の範囲かを調べます。

また、アレルギーなどの検査を実施している医療機関もあります。

眼科的な検査

視力検査・眼底検査、眼圧検査などを行います。視力を調べたり、代表的な目の病気である緑内障白内障の可能性がないかなどを調べたりします。目の異常を発見するために重要です。

診察

事前に提出した問診票や当日の検査結果を元にして行われる医師との問診と、聴診器を使用した身体状態の確認が行われます。

尿検査

尿に糖分やタンパク質がどの程度含まれているかを調べます。尿検査では、糖分・タンパク質以外に血液が含まれていないかを調べることができるため、糸球体腎炎尿路結石膀胱炎など、腎・泌尿器に関する病気を発見することが可能です。

便潜血検査

便内の血液の有無を調べる検査です。消化器系の出血、など肛門や直腸の異常、ポリープ、直腸がん、大腸がんの検査として行われます。特に大腸がんは食生活の欧米化が進んだ日本人にとって、非常に重要性の高い病気といえるでしょう。

胸部X線検査

肺をはじめとする呼吸器官の炎症や、がんの発見のために実施します。また、肺に水が溜まっているかどうかや、肺気腫(はいきしゅ)なども分かります。

心電図検査

心臓は洞房結節という場所から発せられる電流によって動いています。

心電図検査では心臓の筋肉(心筋中の繊維)に流れる電流を測定することで、異常がないかを確認します。高血圧などによって生じる心肥大、心臓の動きが乱れる不整脈、血流が悪くなり栄養分や酸素が十分に供給されなくなる虚血性心疾患など、心臓の病気の有無を調べるときに必須の検査です。

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2015年の日本人の死因第1位はがんです。がんは早期の段階であれば治療することが可能です。そのため、がんの早期発見を人間ドックの目的とされている方も多いのではないでしょうか。

人間ドックを受診する際には、家族歴や年齢に応じ、自分に適したがん検診を追加して早期発見に努めましょう。

がん検診には、特定のがんを発症していないかを部位別に調べる検査と、PET検査があります。一般的ながん検診は以下のとおりです。

がん検診一覧

それぞれのがん検診ごとに、どのような方法・特徴があるのかや、受けたほうがよい方をみていきましょう。

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胃がんは特徴的な自覚症状が少ないため、不調を感じて検査したときには重症化していたという例が多くあります。病気が悪化するまで症状が現れにくいため、ただの飲みすぎや食べすぎだと思っていたら、実は病気が原因だったということも少なくありません。

特に進行性胃がんでは、5年後の生存率が3~4割程度にとどまるため、定期的な検診が重要となります。

定期的に胃がん検診を行っている方は、胃がんによる死亡率が低いことが国立がん研究センターがん予防・検診研究センターのまとめにより分かっています。胃がんによる死亡率低下のためにも、以下の項目に心あたりがある方は一度胃がん検診を行うことをおすすめします。

  • 胃の調子がすぐれないことが多い方
  • しょっぱい・辛い食事を摂る機会が多い方
  • 現在喫煙中、または以前喫煙していた方
  • アルコールを飲む機会が多い方
  • 胃のむかつきやもたれなど、不快感を覚える機会が多い方

厚生労働省は、40歳から胃がん検診実施を推奨しています。胃がん検診の具体的な検査項目は、胃X線検査、内視鏡検査、ヘリコバクター・ピロリ抗体検査、ペプシノゲン検査等です。

胃X線検査(バリウム)

バリウムを飲んで胃壁面の異常を調べる検査です。検査時の負担が軽く、現在胃がん検診でもっとも多く実施されている検査方法です。

内視鏡検査

先端についているカメラで、胃内部の粘膜の状態を見る検査です。内視鏡検査時には、口から入れる経口内視鏡と、鼻から入れる経鼻内視鏡があります。

ヘリコバクター・ピロリ抗体検査

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)という細菌の感染が、胃がん発症リスクになるということが近年分かってきました。ピロリ菌に感染しているかどうかを示すピロリ抗体があるかを検査することで、胃がんリスクを調べるというのがこの検査の目的です。

ペプシノゲン検査(PG)

ペプシノゲンとは胃の粘膜から分泌される物質で、ⅠとⅡのタイプがあります。血液中ペプシノゲンⅡに対するⅠの割合を調べることで、胃壁の炎症や胃粘膜の萎縮状況などを調べることができます。

胃がんリスク層別化検査

ヘリコバクター・ピロリ抗体検査とペプシノゲン検査を行い、胃がん罹患リスクがどの程度あるのかを調べる「胃がんリスク層別化検査」は胃がん高リスク群かを効率的に判定できます。そのため近年健康診断の1つとして導入する自治体が増えてきています。

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バリウム検査も内視鏡検査も胃の異常を調べるという目的では同じです。しかし、バリウム検査がX線写真により間接的に胃の状態を検査することに対し、内視鏡検査は胃に直接カメラを挿入し、画像で視認できるため得られる情報量がまったく異なります。

そのため、少々費用はかかりますが、検査という意味では内視鏡検査が推奨されています。

胃内壁の状態を確認する胃カメラ検査を実施する際、通常は口からカメラを飲み込むため、咽頭反射(いんとうはんしゃ)により吐き気を催すことがあります。この咽頭反射を抑えるため、当院では、口からではなく鼻から内視鏡を入れる経鼻内視鏡を使用した検査を実施しています。

経鼻内視鏡はやわらかく、カメラの直径も経口検査で使用するものの半分程度のため、鼻からスムーズな挿入が可能です。また咽頭反射を抑えるため舌の付け根に内視鏡が触れないことで、経鼻内視鏡検査中でも会話による意思疎通ができるのも大きな特長です。

以前の経鼻内視鏡は直径が従来の半分程度である点が原因で、経口内視鏡に比べ検査の精度が低いというデメリットがありました。現在ではこうした問題点を解消した機種が登場し、経鼻内視鏡による異常発見率も上昇しています。

鼻に疾患がある方や、鼻から内視鏡を入れることに抵抗感をお持ちの方の場合には、通常の経口による検査も可能です。

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2014年の日本人女性の部位別がん死亡原因第1位、男性では第3位の大腸がん。このままのペースでいくと、2020年には男性の死因2位になると予測されています。戦後から1990年代の間に、日本人の大腸がん罹患数は急増しました。原因としては、食生活の欧米化、運動不足、飲酒や喫煙といった生活習慣の変化が挙げられます。

大腸がんは他のがんと同様、年齢が上昇するにつれ発症リスクが高まります。また初期症状がまったくないため、定期的な検診を受けていないと早期発見が難しいがんでもあります。 
 

特に、男女ともに35歳ごろから発症率が増加します。血縁者に大腸がんになった方がいる場合はもっと早くから、大腸がんになった方が身近にいないという場合でも35歳を過ぎたら大腸がん検診を受けるようにしましょう。

大腸がんは高齢になるほど罹患率が上昇します。高齢化の進む日本では、今後さらなる大腸がん罹患率の上昇が懸念されています。

  • 年齢が35歳以上の方
  • 過度な飲酒や喫煙の習慣がある方
  • 野菜・果物が少なく、肉類など脂肪分が多い食生活を送っている方
  • や痔ろうがある、もしくは慢性的な痔や痔ろうがある方
  • 排便が細くなった方
  • 便秘や下痢を頻繁に繰り返す方
  • 大腸がんの家族歴がある(血縁者に大腸がんになった方がいる)方

☆藤沢湘南台病院では、大腸がんや痔といった大腸肛門病の治療にも力を入れています。詳しくはこちらから。

藤沢湘南台病院タイアップ記事『大腸肛門病治療を手掛ける藤沢湘南台病院と「AERIC(エイリック)センター」』

便潜血検査

大腸がん検診として広く行われている検査の1つです。大腸がんは出血しやすいという特徴があるため、便に血が混じっているかを検査して大腸がんの可能性を調べます。実際に出血するのはごくわずかなため、ヒトヘモグロビンという血液成分を調べます。

ただしこの検査では、痔や痔ろうなど肛門部の異常にも反応してしまうほか、便潜血検査で陽性となっても精密検査を行った結果、がんではなかったということもあります。そのためこの便潜血検査は、大腸がんの可能性があるかを大まかに調べる「スクリーニング検査」というとらえ方ができます。

大腸内視鏡検査

便潜血検査の結果、異常が見つかった方に対して行われる検査です。肛門から内視鏡を挿入して、先端に取り付けたカメラで大腸・直腸の様子を観察します。

大腸3D-CT検査

内視鏡を使用せずに大腸の内部を調べる方法です。肛門から炭酸ガスを入れて大腸を膨らませた状態をマルチスライスCTで撮影、画像をコンピューター処理し3次元画像を作成します。この画像を元にして病変部を探します。

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肺がんは、2014年における男性と男女共通の部位別がん死亡原因第1位です。これは日本に限ったことでなく、世界基準でみても肺がんはもっとも死亡率の高いがんです。

この理由としては、肺がんの早期発見が難しいということが挙げられます。しかしほかのがんと同様、肺がんも早期に発見することができれば外科療法か放射線治療、もしくは併用で完治させることも不可能ではありません。

そのため肺がんは定期検診により、いかに自覚症状のない初期の段階で発見するかが課題となっています。

喫煙されている方の肺がんリスクを測る1つの指針が、喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)です。たとえば、1日に20本たばこを吸い、30年間の喫煙年数がある方の場合は喫煙指数が600になります。

50歳以上の方で、喫煙指数が600以上の方は、肺がんになるリスクが非喫煙者と比較すると非常に高くなるといわれています。40歳以上の方でも6か月以内に血痰を吐いた経験のある方は、そうでない方に比べて肺がんになるリスクが高くなります。

また、喫煙開始年齢が低いほど肺がん発症率が上昇するだけでなく、副流煙によって喫煙者周辺の方が肺がんを発症する可能性が20~30%高くなるという報告もあります。

  • 喫煙習慣がある方、もしくは喫煙経験者
  • 喫煙者のそばにいることが多い方
  • 咳や痰がよく出る、特に血痰が出たことがある方
  • 肺がんの家族歴がある(血縁者に肺がんになった方がいる)
  • 息苦しいことがよくある方

胸部X線検査

X線撮影を行い、肺に影や腫瘍(しゅよう)がないか確認する検査です。

CT検査

CT検査で胸部を撮影して肺の状態を調べます。血管や心臓の陰になった部分など、胸部X線検査では発見しにくい細部を確認することが可能で、肺がんの早期発見のために欠かすことのできない検査です。

喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)

痰を採取してその中に含まれている細胞を検査します。

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前立腺がん検診で調べる前立腺とは、男性にのみ存在する臓器です。人間ドック以外では泌尿器科の病院でも前立腺がんの検査を受けることが可能です。最近では50歳以上の男性を対象とした集団検診の1つとして導入する自治体も増えています。

前立腺がん検診で前立腺がんが見つかった方のうち、およそ9割が早期であるといわれています。早期の前立腺がんは、手術による外科療法と化学療法によって完治が可能です。

  • 40歳以上の男性
  • 前立腺がんの家族歴がある(血縁者に前立腺がんになった方がいる)
  • 前立腺に関する病気の経験がある(前立腺炎前立腺肥大症
  • 頻尿、排尿困難、残尿感、血尿などがある

PSA検査

前立腺がん検診は、血液内のPSA検査というタンパク質の値を測定する検査が基本となります。検査を受ける方の年齢にもよりますが、この検査でPSA値が4.0ng/ml以上あった方や前立腺がんと確定する判断材料に乏しい場合は、「針生検(はりせいけん)」という組織の一部を採取して行う病理検査の結果によって判定します。

PSA検査は前立腺炎や前立腺肥大症でも陽性反応を示すので、PSA検査で数値が高いことが前立腺がんに直結する、ということではありません。

ただし基準値に満たなかった場合でもPSA値が高いと指摘された方や、前立腺炎や前立腺肥大症など前立腺に関する病気をお持ちの方は、定期的な前立腺がん検診の実施をおすすめします。

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2015年における乳がん死亡者数は13,584名、これは1980年の約3倍の数値です。他の部位に生じるがんは40歳代以降に発症率が上昇します。しかし乳がんは30歳代を過ぎたころから上昇しはじめ、40歳代後半~50歳代前半にピークを迎えます。

欧米では乳がん検診受診率の上昇が功を奏し、乳がんによる死亡率は減少傾向にあります。これは乳がん検診が早期発見・早期治療に対し、いかに効果的かということを物語っています。

・未婚・出産未経験、初産時の年齢が30歳以上、いずれかにあてはまる方

  • 11歳以前に初経を迎えた方
  • 55歳以降に閉経を迎えた方
  • 肥満気味の方
  • 過去に乳腺炎になったことがある方
  • 過去に乳がんになった方
  • 乳がんの家族歴がある(血縁者に乳がんになった方がいる)

マンモグラフィ

マンモグラフィは機械に片方ずつ乳房を挟み、数秒〜10秒程度押しつぶした状態をX線で撮影します。その画像を元に、乳がんの可能性を調べる検査です。

この検査で乳房から(わき)の下にあるリンパ節にかけて、しこりの有無や大きさ、形、石灰化の有無などが分かります。小さなしこりや石灰化など、初期の乳がんのサインを発見しやすいため、死亡率減少に効果がある検査方法として普及しています。

マンモグラフィ検査は乳房を機械に挟んだ状態で撮影を行うので、多少の痛みを伴います。そして撮影にX線を使用するため検査時に被曝します。またX線の性質上、乳腺密度の高い方はしこりを見つけにくい傾向にあります。

乳腺超音波検査

乳腺超音波検査はX線を使用しない検査です。妊娠中や妊娠の可能性のある方には、この方法で乳がん検診を行います。 

超音波の通りをよくするため、検査したい部位にゼリーを塗ってプロープという超音波の出る機械をあてて検査します。乳腺超音波検査では、しこりの大きさや位置などを立体的にとらえることが可能です。しかし、細かい石灰化や性状しこりの範囲を確認するという点では、マンモグラフィ検査よりも劣ります。

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子宮がんには、子宮入口にあたる頸部(けいぶ)の上皮(表面上)に生じる「子宮頸がん」と、子宮内膜に生じる「子宮体がん」があります。

子宮頸がん

子宮頸がんは30~40歳代の方の罹患率が高いがんです。他のがんは年齢と罹患率が比例しているのに対し、子宮頸がんは40歳以降の罹患率は減少するという特徴があります。子宮頸がんは年間約16,000名が発症し、約2,500名が亡くなられています。

子宮頸がんの発症には、ヒトパピローマウイルス(HPV)が関係していることが分かってきました。このウイルスは尖圭(せんけい)コンジローマという、イボが特徴的な性感染症の原因として知られており、性交渉の経験がある約10~30%の女性は、このウイルスを保持しているといわれています。つまり、性交渉経験のある方は子宮頸がんを発症するリスクを少なからず持ち合わせているといえます。

そのため子宮頸がん検診は、性交渉経験のある全ての女性に必要です。実際に欧米では、ほぼ全ての女性が毎年受診しています。

子宮体がん

子宮体がんは子宮頸がんと同じく子宮に生じるがんですが、50~60歳代で発症する確率が高くなっています。年間約8,000名の発症に対し1,600名程度が亡くなられているので、子宮頸がんよりも死亡率の高いがんということができます。

  • 性交渉経験のある女性
  • 妊娠・出産回数の多い方
  • 喫煙習慣がある方、もしくは喫煙経験者
  • 閉経を迎えた方
  • ホルモン補充療法を行っている方、もしくは経験がある方
  • 子宮内膜増殖症の方
  • 月経が不規則、無月経、排卵異常と診断されたことのある方
  • 妊娠・出産経験のない方

子宮頸がん検査

子宮頸がんの検査では、細胞診と呼ばれる病変部の一部や細胞を採取し顕微鏡で観察することで、がんなどの異常がないかを確認する検査を行います。細胞を採取するのはほんの数秒で済み、痛みなども特にありません。

もしこの細胞診で異常が見つかった場合、組織診が行われます。組織診とは小さな細胞の塊を採取して組織の性質を調べる検査です。検査に必要な細胞を採取するときに多少の痛みを伴うことが多いです。

細胞診は、がんの可能性を探るためのふるい分けの検査、組織診は細胞の異常の原因、つまり異常な組織の存在の可能性を確定するための検査という違いがあります。

子宮体がん検査

子宮頸部より奥まったところにある子宮体がんの検査では、細胞診の結果だけではがんの可能性を判断するのは難しいため、経膣超音波検査を併用します。子宮体がんになると、子宮内壁の厚みが増します。経膣超音波検査は、超音波によって子宮内壁の厚みを確認することで子宮体がんの可能性を判断する検査です。

他にも採血による腫瘍マーカー検査や子宮頸がんを誘発する可能性のあるHPVの感染の有無を検査するHPV検査を併用することもあります。

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がん細胞を探す検査にはCTやMRIなどの画像診断以外に、PET検査も非常に有効です。

がん細胞は正常な細胞よりもグルコース(ブドウ糖)を多く使用して増殖します。PET検査ではこの性質を利用し、18F-FDGという薬剤を使用してがん細胞の有無と活動範囲を調べます。

PET検査はがんの種類や進行度合いによって検出率に差が生じます。PET検査で発見しやすいがんとして、以下のものが挙げられます。

また再発の有無を調べるのにもPET検査は有用です。

一方、PET検査で発見が難しいがんとして、以下のものが挙げられます。

ほかにも、がんの有無や進行度合いを調べる検査には、内視鏡検査・超音波検査・CT・MRIがあり、それぞれ得意・不得意分野があります。がんの有無や進行度合いを調べたいときは、検査担当者に相談して決定するようにしましょう。

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がん検診以外にも、一歩踏み込んで病気を調べる検診にはこんなものも。

予防医療の一環として多くの方に受診していただきたいものに、脳ドックがあります。

脳ドックは未破裂脳動脈瘤などがないかを調べる健康診断の1つです。人間ドックでは首から下を重点的に検査しますが、頭部に関する検査項目はそれほど多くありません。そのため、通常の健康診断や人間ドックに脳ドックを追加することで、脳に関する病気を事前に発見する材料を得ることができます。

また、脳ドックによって認知症の早期発見が可能となりました。高齢化に伴い認知症患者数が増加している日本では、脳疾患の予防だけでなく認知症の早期発見という観点からも脳ドックは注目を集めています。

骨密度とは骨の丈夫さを示す指標のことです。骨密度が低下する、つまり骨がスカスカな状態になると骨粗しょう症と診断されます。加齢、生活習慣病、ホルモンバランスの影響を受けやすい女性は骨粗しょう症の発症リスクが高くなりますので、定期的な骨密度検査の実施をおすすめします。

骨密度検査は人間ドック以外にも、保健センターや保健所、指定の医療機関でも実施しています。検査日程などについては自治体によって異なりますので、詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。

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