概要
緑内障とは、眼圧が上昇することで視神経に異常が起こり、視力や視野の障害が引き起こされる病気です。緑内障の進行はゆっくりであるために自覚症状に乏しいことがほとんどです。2017年現在の医療では、障害された視神経を回復する方法は確立されていませんが、早期に発見し治療を開始することで緑内障の進行を抑え、失明にいたる危険性を回避できます。
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原因
緑内障は、眼圧が上がって視神経が圧迫、障害されることで発症します。眼球の内部は毛様体で作られる房水という液体で満たされています。この房水は眼圧の調整に重要な役割を果たしています。
眼圧が上がる理由は、緑内障の種類によって異なります。閉塞隅角緑内障では、隅角という部分が狭くなったり閉じたりすることで房水が流出できなくなり、眼圧が上がります。続発緑内障では、他の病気の影響や薬の副作用により眼圧が上がってしまいます。発達緑内障の場合は、隅角に生まれつきの構造異常があり、眼圧が上昇することで発症します。
開放隅角緑内障の場合は、隅角に問題はないものの、線維柱帯という房水を流出させる部分が詰まることで眼圧が上昇してしまいます。また、正常眼圧緑内障では、眼圧が正常範囲内であるにもかかわらず、視神経が傷害されてしまいます。正常眼圧緑内障の場合、近視や高齢、乳頭出血が発症に影響しているといわれています。
症状
緑内障では、あまりはっきりとした初期症状が現れないことがほとんどです。最初に自覚される症状としては、みえる範囲が狭くなる視野障害や視野の一部だけがみえないといった暗点の出現が挙げられます。このような症状は非常にゆっくりと進行するために気がつきにくいといわれています。
また、片方の眼にだけに症状があらわれた場合には、もう片方が視野を補ってしまうために自覚できないことも多くあります。視野障害や暗点の出現に気がついたときには、すでにかなり進行してしまっていることも珍らしくありません。
視野障害が進行すると、視力低下、さらには失明することもあります。進行スピードには個人差がありますが、正常眼圧緑内障の場合、末期に至るまでに20年~30年かかると考えられています。
原発閉塞隅角緑内障では、「急性緑内障発作」を引き起こすことがあります。急激に眼圧が上昇することで、視力が急速に悪化し、失明のリスクがあります。また、眼の痛みやかすみ、充血に加えて、頭痛や吐き気が起こることも特徴的です。
検査・診断
緑内障の検査には、眼圧検査、隅角検査、眼底検査、光干渉断層計(OCT)、視野検査があります。
眼圧検査
緑内障は眼圧が上がることが発症原因であるため、眼圧を測定する必要があります。眼に機器を接触させることにより測定を行うゴールドマン圧平眼圧計、眼に圧縮した空気をあてることにより測定を行う空気眼圧計(圧平式)の2種類が使われることが多いです。
眼圧は角膜の「厚み」や「剛性」といった眼の構造によって影響されやすいため、異常値の有無だけで緑内障と判定されるわけではありません。
隅角検査
緑内障の種類を判断するために行います。この検査では、点眼麻酔をした上で専用のコンタクトレンズを眼に押し当てて隅角を観察します。隅角が開いているのか閉じているのかを確認して病型を判定します。
眼底検査
視神経がどの程度傷害されているかを調べます。眼底にある視神経乳頭といわれる構造に異常があるかどうかを確認することで、視神経の傷害度を知ることができます。
視野検査
機械の前に座り、小さな光がみえるかみえないかを患者さんに判定してもらう検査です。5~15分程度で行われる簡易的な検査です。
治療
緑内障の治療における基本的な考え方は「症状を悪化させない」ことです。一度障害されてしまった視神経が回復することはありません。しかし、高くなってしまった眼圧を下げることで、緑内障の進行を防ぐことができます。眼圧を下げるための治療方法としては、薬物療法、レーザー療法、手術の3種類が挙げられます。
原発開放隅角緑内障の場合は薬物療法を行います。多くの場合は点眼薬が用いられ、8種類以上のなかから緑内障の種類や重症度、眼圧の高さに応じて処方されます。1種類だけを用いることもあれば 、複数の点眼薬を組み合わせて使用する場合もあります。
原発閉塞隅角緑内障の場合は薬物療法では十分に眼圧を下げられないことが多いため、レーザー治療が実施されることもあります。眼の虹彩という部分にレーザーで穴を開けることによって房水の流れを変えていきます。レーザー治療は入院せずに外来で行うことができます。また、薬物治療やレーザー治療が無効であった場合には手術が行われることもあります。
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緑内障治療開始について
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