![緑内障を早期発見し、治療を継続する重要性](http://carbon-assets.medicalnote.jp/uploads/content/cover/10/10335/s397x212_4c9f2ad1-319f-4449-8ecb-ae8186408ce3.png)
緑内障とは、なんらかの原因によって視神経が弱化し視野が徐々に欠けていく疾患です。視神経は一度死滅するともとには戻らないため、弱化を防ぐことで治療を行います。緑内障の原因と症状について、広島大学眼科学教室教授の木内良明先生にお話を伺いました。
緑内障とは、なんらかの原因によって視神経が弱り、徐々に視野が欠けていく疾患です。視神経は人が生まれた時点で100万本ほどあり、時間経過とともに自然と死滅していきます。そのスピードは1年間に5,000本ずつといわれますが、緑内障はこのスピードが早まる病気とも捉えることができます。40歳以上の5%が緑内障を有病しているといわれています。高齢化の進むなか、この数値は徐々に増加していると予測されます。
緑内障と白内障は名前が似ていますが、まったく異なる病気です。緑内障は視神経の弱化によって起こる疾患、白内障は目の水晶体(レンズ)がにごることによって起こる疾患です。現在、緑内障は失明の最大の原因とされています。一度死滅した視神経は再生不能であるため、緑内障の治療ではその進行速度を抑え、悪化を防ぎます。(治療の詳しい情報については記事2『緑内障の検査・治療・分類—点眼薬とレーザーによる治療』でご説明します。)
緑内障は自覚症状がほとんどなく、早期発見が難しい疾患です。そのため患者さんが症状を感じた時点で、病状がかなり進行しているケースが多くみられます。先述のように視神経は死滅すると再生できないため、病状の進行を抑えるためには、緑内障をなるべく早期に発見し迅速に治療を開始することが重要です。
緑内障は先に述べたように早期発見の難しい疾患ですから、定期的な検診によってできるだけ早く異常をみつけることが非常に重要です。近年の研究結果によると、緑内障を早期発見するためには、40歳から検診を開始し、4年に一度の検診を70歳まで行うことが理想的であるとわかりました。
緑内障の明確な原因は、未だ解明されていません。しかしながら研究の結果、緑内障の発症と関連性が高いと考えられる疾患は多岐にわたって存在することがわかりました。たとえば2008年、アメリカのメイヨークリニックで27年間ぶんのデータをもとに緑内障の調査が行われ、緑内障には眼圧と脳脊髄液圧が関係していることが判明しました。
眼圧とは、房水(ぼうすい:目のなかを循環する液体)の循環によって保たれている圧力です。眼圧が上昇すると眼球が硬くなり、視神経の弱化が起こり、緑内障のリスクが高まります。また頭蓋内に存在する脳脊髄液圧(のうせきずいえきあつ)と眼圧のバランスが崩れると、緑内障になるといわれています。
緑内障のおもな症状は、視野障害です。緑内障によってみえない部分ができ、徐々に進行していきます。脳は緑内障の視野障害によってみえないはずの部分を、周辺の視覚情報から補完します。この機能によって視野がかける症状を自覚しにくくなり、症状の早期発見が難しくなるのです。
症状の進行スピードは眼圧の高さに比例し、眼圧が25〜30mmHg(水銀柱ミリメートル)以上になると、症状悪化が早まる傾向にあります。そのため緑内障と診断を受けたら、眼圧の検査とともに早期に治療を開始しなくてはなりません。
2000年9月から2001年10月にかけ、3,021名を対象に行われた疫学調査(人の集団を調査し病気の広がりや原因を解明するための研究)の結果、年齢・近視が緑内障のリスクファクターになりうることがわかりました。
【緑内障のリスクファクター】
加齢とともに角膜をはじめとする目の組織は硬くなるため、加齢は緑内障における1つのリスクファクターであるといえます。目の奥には、神経と血管を通すための篩状板(しじょうばん)と呼ばれる穴があります。篩状板はほぼすべてがコラーゲンで生成されているため、加齢によるコラーゲン減少の影響をじかに受けるのです。コラーゲンの減少によって篩状板が薄くなると、緑内障のリスクが高まることがわかっています。
記事2『緑内障の検査・治療・分類—点眼薬とレーザーによる治療』では、緑内障の分類・検査・治療についてご説明します。
広島大学視覚病態学教室(眼科) 教授
木内 良明 先生の所属医療機関
周辺で緑内障の実績がある医師
医療法人社団済安堂 井上眼科病院グループ 理事長、井上眼科病院 院長
眼科、麻酔科
東京都千代田区神田駿河台4丁目3
JR中央・総武線「御茶ノ水」聖橋口 徒歩1分、東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」B1出口 徒歩1分、東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」JR御茶ノ水駅方面出口 徒歩5分、都営新宿線「小川町」B3/B5出口 徒歩7分
国立国際医療研究センター病院 眼科診療科長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科
東京都新宿区戸山1丁目21-1
都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 非常勤、神奈川歯科大学附属横浜クリニック 客員教授
内科、血液内科、膠原病・リウマチ科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、整形・脊椎外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科
東京都板橋区栄町35-2
東武東上線「大山」南口および北口 徒歩4分
独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO) 東京山手メディカルセンター 眼科部長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、肝胆膵外科、肛門外科、脊椎脊髄外科、総合診療科、病理診断科
東京都新宿区百人町3丁目22-1
JR山手線「新大久保」 徒歩5分、JR中央・総武線「大久保」北口 徒歩7分
医療法人社団晴誠会 とやま眼科 院長
眼科
東京都葛飾区小菅4丁目8-7 星野ビル1F
東京メトロ千代田線「綾瀬」 徒歩1分
関連の医療相談が36件あります
緑内障の対処法
人間ドック受けに行ったら緑内障の疑いがあると言われました。市販の目薬や病院処方の目薬などいろいろありますが生活面や薬の注意点対処法があれば教えてほしい。
目薬は使えますか
眼圧を上げずに日常生活を送る上でどの様をしては行けないのでしょうか?
最近 視力が低下したり 視野が狭くなった気がします。
眼鏡をかけていますが だんだん 見ずらくなってきています。 眼科で 検査をしていますが 車を運転するので とりあえず ぎりぎりの 視力ではあります。でも 最近 見ずらくなってきています。緑内障の 視野検査でも 前より 見えない ところが 増えてきました。眼科に 行っています。目薬は 処方されています 緑内障の症状と 視力低下は 関係がありますか?
緑内障治療開始について
昨年、視神経乳頭凹みが年齢にしては大きいとの指摘を受け視野検査を行い、欠損はありませんでした。今年3月に再度視野検査を行い欠損はありませんでした。先日、OCT検査を行い、一部厚さが薄くなっていて赤く写っていました。先生からはまだ問題ないとのことでしたが、欠損が起こる前から薬物療法を開始した方が良いのでしょうか?先生からは欠損が確認できた時点でとの考えのようです。若いので将来が心配です。
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