インタビュー

緑内障の種類とそのリスク

緑内障の種類とそのリスク
相原 一 先生

東京大学大学院医学系研究科外科学専攻眼科学 教授

相原 一 先生

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この記事の最終更新は2015年09月21日です。

緑内障の原因は「眼圧が上がる」ことですが、眼圧が上がる理由にはいくつかの原因があり、それにより緑内障が数種に分類されています(眼圧が上がるメカニズムについては「緑内障の原因―眼圧が上がる理由とは」を参照して下さい)。緑内障の診療、研究ともに日本の第一人者である東京大学眼科学教授の相原一先生に、緑内障にはどのような種類があるのかについてお話をお聞きしました。

「繊維柱帯」という部分は房水を流出させる役割を果たしています。上記の図のように線維柱帯が詰まると、房水が流出されにくくなり、眼圧が上昇してしまいます。これにより視神経が障害され、「原発開放隅角緑内障」という状態になってしまいます。
次項で説明する「閉塞隅角緑内障」との違いは「隅角は狭くもなっていないし、閉塞もされていない」にもかかわらず、房水が流出できないことにより眼圧が上がってしまうことです。

生活習慣(飲酒、喫煙など)と緑内障の関係については指摘されていません。しかし、「眼圧の上がりやすさ」という点に関しては遺伝との関連が指摘されています。また、同じ眼圧でも視神経が障害されやすい体質の人がいます。次の正常眼圧緑内障で説明します。

「原発開放隅角緑内障」の中には、眼圧が正常範囲(10-20)であるにもかかわらず視神経が障害されてしまうケースがあります。これを「正常眼圧緑内障」といいます。
「視神経の障害されやすさ」には人によって差があります。つまり、同じ眼圧の数値であっても、ある人の場合は視神経が障害され、別の人の場合は障害されないということがあるのです。このため、眼圧が正常値の範囲内に入っていても、必ずしも安心はできません。

正常眼圧緑内障のリスクファクター(危険要因)としては近視、高齢、乳頭出血という現象が挙げられます。緑内障の人に近視の人が多いのは事実で、近視が進むと、視神経も引っ張られて痛みやすくなり、同じ眼圧でも視神経が障害されやすいのではないかと考えられていますが、近視だからと言って必ずしも緑内障が進みやすいわけでもないため、まだわからないことが多いのです。高齢者ほど緑内障の人が多くなっています。また、乳頭出血という視神経乳頭に小さな出血が起きる人がいます。原因はよくわかっていませんが、その場合は進行しやすいのは事実です。

「原発閉塞隅角緑内障」は、隅角が狭くなったり閉じてしまうことにより、房水が流出できなくなるタイプの緑内障です。房水が流出できなくなると眼圧がかなり上昇し、それによって緑内障が起こるのです。原発閉塞隅角緑内障の一部では、急に隅角が完全に閉塞してしまうことで、急激な眼圧上昇を引き起こし、眼痛だけでなく頭痛や吐き気などの症状を引き起こします。これを「急性緑内障発作」と呼びます。

明らかなリスクはありませんが、近視ではない女性に多く、地域差が指摘されています。たとえば、日本では沖縄に多いことが知られています。この事実は沖縄の久米島で行われた「久米島スタディ」という研究と岐阜県多治見市で行われた「多治見スタディ」の比較で指摘されました。地域格差が起こる理由については、まだ遺伝的なものがあると考えられますが十分に解明されていません。

なんらかの原因となる病気があり、それによって眼圧が上昇し引き起こされる緑内障です。この場合は原因となる病気を治療していくことが重要です。

続発緑内障のリスクは、「ぶどう膜炎」などの眼内の炎症性疾患や「糖尿病網膜症」です。これらにおいては、先述したように緑内障自体よりも原因となっている疾患の治療が優先されます。それを治療することによって眼圧を下げることができるためです。しかし、続発緑内障の中でも落屑症候群にともなう落屑緑内障(目の中にちりのような細かい膜のようなものができて眼圧が上昇する緑内障)は、原因疾患に対する治療がないため、眼圧を正常にすることが非常に難しい緑内障で、九州に特に多いことが知られています。

隅角に先天的な(生まれつきの)構造異常があり、眼圧が高くなることにより引き起こされる緑内障です。多くの場合は発達緑内障が発見され次第、早い段階で手術療法を行います。

発達緑内障に関しても、遺伝と関連があると言われています。

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