
緑内障の原因は「眼圧が上がる」ことですが、眼圧が上がる理由にはいくつかの原因があります。緑内障の診療、研究ともに日本の第一人者である東京大学眼科学教授の相原一先生に、緑内障の原因についてお話をお聞きしました。
緑内障の原因には、眼圧が大きく関係しています。眼圧が上がることにより視神経に異常を来すのです。この記事では、なぜ眼圧が上がるのか、眼圧が上がるとなぜ視神経が障害されるのかについて説明していきます。やや専門的な内容となりますが、「眼圧」「房水」「視神経」というキーワードに注意してお読みください。
眼球の内部は房水という液体により満たされています。房水は圧力を維持して眼の形状を保つために重要です。房水は毛様体で作られ、シュレム管へと排出されます。この房水により眼圧の強さが決まります。
通常、眼圧は一定に保たれています。しかし、緑内障の場合は房水の流れが悪くなることで眼圧が上がります。眼の構造上、最も弱くて圧力の影響を受けやすい視神経を圧迫することにより、障害してしまうのです。以前は房水の産生過多(房水が作られすぎてしまうこと)も眼圧を上げる理由の1つとされていましたが、今ではその可能性は低いと考えられています。
それでは、眼圧が上がる理由について詳しく説明していきます。
まず、眼の構造上眼圧が上がりやすい人がいます。次の記事で説明する「原発閉塞隅角緑内障」のケースです。これは、眼の「隅角」という部分(上図参照)が閉塞したり狭くなったりすることにより起こります。また、他の病気の影響や薬の副作用で眼圧が上がる続発緑内障の人もいます。炎症性疾患や他の目の疾患が背景にあるケースや、ステロイドの副作用で眼圧が上がるケースがその代表です。
しかし、これらが原因となる緑内障の割合は全体の2割程度で、もっとも多いのは後に述べる「正常眼圧緑内障」も含めた「原発開放隅角緑内障」です。これは、眼の見た目の構造上は隅角に大きな異常がないにもかかわらず、眼圧が上がってしまうというものです。原発開放隅角緑内障においては眼圧が上がるのは、房水の流れが悪くなることにより起こります。
実は、房水動態(房水がどのように産生し、どのように吸収され循環しているのか)はまだ完全には解明されていません。それのため、緑内障のメカニズムには不明な点も多くなっています。現在使われている薬に関しては、「房水動態への影響は完全には解明されていないものの、少なくとも眼圧を下げる効果があることは分かっている」という理由で用いられています。
眼圧が高くなったあとには視神経が障害されます。少し複雑な内容となりますが、このメカニズムを説明します。眼圧が上がった影響で乳頭篩状板が変形し、視神経乳頭(図を参照)の軸索(神経の線維のこと)を障害するのではないかといわれています。これは簡単に言うと「眼圧が高くなり、圧迫されて変形してしまった視神経が痛んでしまう」と理解して下さい。
視神経乳頭が障害されやすいかどうかという点には、個人差があります。同じ眼圧であっても、視神経乳頭に全く問題が起こらないケースもあれば視神経乳頭が変形してしまうケースもあるのです。眼圧の統計学的な正常値は10-20と定められています。この数字は参考にはなりますが、これだけでは緑内障なのかどうかを決定することはできないのです。眼圧が正常値であっても緑内障になるケースを「正常眼圧緑内障」といい、実は緑内障のうち72%を占めています。
周辺で緑内障の実績がある医師
医療法人社団済安堂 井上眼科病院グループ 理事長、井上眼科病院 院長
眼科、麻酔科
東京都千代田区神田駿河台4丁目3
JR中央・総武線「御茶ノ水」聖橋口 徒歩1分、東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」B1出口 徒歩1分、東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」JR御茶ノ水駅方面出口 徒歩5分、都営新宿線「小川町」B3/B5出口 徒歩7分
国立国際医療センター 眼科診療科長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科
東京都新宿区戸山1丁目21-1
都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 非常勤、神奈川歯科大学附属横浜クリニック 客員教授
内科、血液内科、膠原病・リウマチ科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、整形・脊椎外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科
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東武東上線「大山」南口および北口 徒歩4分
独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO) 東京山手メディカルセンター 眼科部長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、肝胆膵外科、肛門外科、脊椎脊髄外科、総合診療科、病理診断科
東京都新宿区百人町3丁目22-1
JR山手線「新大久保」 徒歩5分、JR中央・総武線「大久保」北口 徒歩7分
医療法人社団晴誠会 とやま眼科 院長
眼科
東京都葛飾区小菅4丁目8-7 星野ビル1F
東京メトロ千代田線「綾瀬」 徒歩1分
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