インタビュー

眼の周りが痛い―その原因は急性緑内障かも

眼の周りが痛い―その原因は急性緑内障かも
独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO) 東京山手メディカルセンター 眼科部長 地場 達也 先生

独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO) 東京山手メディカルセンター 眼科部長

地場 達也 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

多くの緑内障には自覚症状がありません。しかし、緑内障のなかでも眼圧が急激に上がり眼痛や頭痛をきたすタイプの緑内障があります。放置すると失明などの重い視機能障害になる場合もあるため注意が必要です。今回は急性緑内障について、JCHO東京山手メディカルセンターの地場達也先生にお話を伺いました。

頭痛?眼痛?―急性緑内障の発作

頭痛のように感じる眼の周りの痛みのことを「眼痛」と表現します。眼痛によって発見されることの多い緑内障を、急性原発閉塞隅角緑内障・急性原発閉塞隅角症(急性緑内障発作)といいます。

痛みの位置の特徴

急性緑内障の痛みの位置 

 

眼や眼の周囲の特に上側を中心に痛みます。痛みの症状が強い場合は、放散痛として前頭部や側頭部の頭痛が起こることがあります。

発作の特徴―眼痛が継続的に起こる

目を抑える人

頭痛のような痛みを自覚する場合もありますが、眼や眼の周りが痛むような感覚である「眼痛」が主体です。眼痛は個人差があり、我慢できないほど激しく痛む場合もあれば、眼が重く感じる程度の軽い症状までさまざまです。

痛み止めなどで一時的に眼痛が改善することはありますが、基本的に痛みは継続し前頭部や側頭部の頭痛も自覚するようになります。眼圧上昇により光の周りに虹色の輪が見える「虹輪視」、角膜のむくみがさらに進むと視力低下や霧がかかったように見える「霧視」を自覚します。

また、副交感神経が刺激され、吐き気や嘔吐、発汗、徐脈をきたす場合もあります。

眼痛と比較して吐き気や嘔吐の症状が強い場合は、脳の病気や消化器の病気が疑われ、その後に急性緑内障発作が疑われ眼科を受診する場合も少なくありません。

我慢できる程度の痛みで発作が軽度な場合、光刺激や目をこする・目を圧迫するなどの機械的刺激や体位などにより発作が治まり、痛みが一度引いてしまう場合もあります。しかし、痛みが引いた後に、再度痛みや虹輪視が出てくる場合が多いです。

一般に、薬物(散瞳点眼薬、風邪薬や精神安定薬などの抗コリン薬の内服)、暗い場所、感情的ストレス、精神感動などによって発作が引き起こされることがあります。

急性緑内障発作とは?(急性原発閉塞隅角緑内障・急性原発閉塞隅角症)

緑内障は隅角の開いている角度により、開放型と閉塞型の2種類にわけられます。

閉塞型である原発閉塞隅角緑内障は、遠視傾向の女性に多く、加齢と共に多くみられることが知られています。有病率には地域差や人種差があることが報告されており、遺伝的要因がこれらに影響している可能性が考えられています。

原発閉塞隅角緑内障は、短時間に眼圧が上昇して自覚症状が出やすい急性閉塞型、自覚症状に乏しい慢性閉塞型、またその中間の間欠型にわけられます。

急性閉塞型は、短時間の眼圧上昇により眼痛をきたしますが、眼圧が上昇する速度により痛みの程度は、激しい痛みから眼が重い程度までさまざまです。

慢性閉塞型は、ほとんど自覚症状がないため、眼圧や隅角を適切に評価する眼科検査が必須です。実際に、原発閉塞隅角緑内障のほとんどは慢性閉塞型または間欠型です。

下の写真は急性緑内障発作を起こした反対の目の断層写真(前眼部光干渉断層計にて撮影)です。房水の排出口(隅角)が狭く閉塞傾向がみられます。

1 房水…目のなかを流れる液体。眼圧を一定に保つなどの役割がある。

地場達也先生からの提供資料

急性緑内障発作の前触れ

目がかすんでいる中高年くらいの人

急性緑内障発作では前触れとなる症状を自覚する場合があり、早期の眼科受診により発作を回避できる場合があります。

遠視傾向で、「目が重い」、「目がかすむ」、「光の周囲に虹の輪が見える」などの症状を感じている方は、急性緑内障発作を起こすリスクが高いと考えられます。

しかし「目が重い」、「目がかすむ」などの症状は、疲れ目や老眼でも自覚する症状です。眼圧や隅角を適切に評価する眼科検査を受けることでこれらを鑑別することができます。

レーザー虹彩切開術で急性緑内障発作を予防

急性緑内障発作を起こすリスクが高いと検査で判断された場合は、レーザー虹彩切開術を行うことで発作を予防することができます。

レーザー虹彩切開術は、すでに片方の目に緑内障発作が起きてしまった場合、閉塞隅角で眼圧が高い場合、眼底に病気があり散瞳検査をする機会が多い場合などに行われます。

レーザー虹彩切開術は、虹彩にレーザーを照射し小さな穴をあけることで、房水を排出しやすくする治療です。房水は瞳孔を通過し隅角へ流れていきますが、瞳孔部分を通過する際に、さまざまな原因で流れの抵抗が高まり隅角は狭くなります。そのため、レーザーで虹彩に小さな孔を開けて、房水が流れるようにします。

また、レーザー治療を行わず白内障手術を行うことで、緑内障発作を回避する安定した効果が得られることが報告されています。