ほちょうき

補聴器

最終更新日:
2023年12月07日
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2023/12/07
更新しました
2022/03/02
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概要

補聴器とは、内蔵されているマイクロホンが拾った音を大きくして出力することで難聴患者の聴力を補う医療機器です。過去には、マイクロホンの音をそのまま大きくするのみの“アナログ補聴器”が使用されていました。現在では内蔵されているプロセッサが拾った音を分析し、雑音の軽減や周波数ごとに音声の増幅などを細かく行うことで、より会話を聞き取りやすくする仕組みの“デジタル補聴器”が主流となっています。

補聴器は、根本的な治療法が確立していない老人性難聴の方、生まれつき聴力が低い方、突発性難聴などの病気で聴力が低下した方に使用されています。さまざまな原因で聴力が低下した方のコミュニケーション障害を補うことが可能ですが、一人ひとりの聴力に合った調整が必要であり、使用を開始した後も定期的なメンテナンスが必要となります。また、誤った使用を続けたり、自身に合っていない補聴器を使用したりすると、思わぬ健康被害を生じることがあるため注意が必要です。

種類

補聴器は大きく分けると、“気導補聴器”と“骨導補聴器”の2つのタイプがあります。

気導補聴器は、内蔵のマイクロホンが音を拾って大きくし、イヤホンを介して外耳道から伝える補聴器のことです。耳にかけるタイプ(耳かけ型)、耳の中に入れるタイプ(耳穴型)、ポケットに入れて使用するタイプ(ポケット型)などさまざまなタイプがあります。しかし、これらのタイプは耳穴をふさぐため音がこもりやすいという欠点があり、こもり感が気になる場合は耳穴を完全にはふさがないオープン型の補聴器も販売されています。

それぞれの補聴器にはメリット・デメリットがあるため、価格や使用シーンに合わせて自身に合ったものを選ぶことが大切です。

一方、骨導補聴器は、頭蓋骨(ずがいこつ)を振動させることで音の信号を耳の奥の内耳から脳へ伝える補聴器です。以前はめがねの柄の部分に振動する部品をつけて頭蓋骨を振動させるものが主流でしたが、現在では耳かけタイプのものも販売されています。中耳炎耳硬化症など、鼓膜や鼓膜の振動の信号を内耳に伝える耳小骨などの異常によって引き起こされる“伝音難聴”や片側性の難聴の方に使用されています。

また、そのほかにも近年では生まれつき外耳道がない方や耳垂れなどがあるため外耳道に補聴器を装着することができない方に耳の軟骨を振動させて音を内耳に伝える“軟骨伝導補聴器”や頭蓋骨にインプラントを埋め込んで直接内耳に音を伝える“骨固定型補聴器”なども開発されています。

適応

補聴器は聴力が低下した方に使用される医療機器ですが、基本的には平均40~45デシベル(図書館の物音相当)未満の音が聞き取れない方が適応となります。ただし、平均聴力レベルが90デシベル(怒鳴り声相当)以上になると補聴器の効果は低くなるとされており、最高語音明瞭度(音を正確に聞き取ることができる割合)が40%以下になると同様に補聴器の効果は低いと考えられており、人工内耳などの治療がすすめられることになります。

補聴器の適応となるのは、上述したような聴力、最高語音明瞭度に該当する方ですが、具体的には老人性難聴先天性難聴中耳炎突発性難聴の後遺症による難聴などが挙げられます。

リスク

補聴器は正しい方法で使用すれば、基本的には健康的なリスクが生じることはありません。

しかし、必要以上に大きな音が伝わる設定になっていると鼓膜や内耳の細胞にダメージを与える“音響外傷”が生じて聴力のさらなる低下を引き起こすことが知られています。

また、補聴器は耳の周囲に密着させる必要があるため、長時間使用したり、サイズが合わないものを使用したりすると皮膚が過度に圧迫されて炎症を引き起こすこともあります。

治療の経過

補聴器を購入するには、まず耳鼻咽喉科(じびいんこうか)で適切な精密検査を受けて聴力低下を引き起こしている原因の病気を特定し、聴力や最高語音明瞭度などから補聴器を使用することで会話コミュニケーションなどが向上する可能性があるか評価することが大切です。

検査により補聴器の適応と判断された場合は、補聴器に関する専門知識のある認定補聴器技能者などと相談したうえで、聴力の程度や耳の形、使用目的や使用場所などそれぞれの用途や予算に合わせたタイプのものを選択します。

また、補聴器を購入した後に聞こえ方に不具合を感じる場合は補聴器の調整が必要になり、定期的にメンテナンスをしていくことも必要です。

費用

補聴器の価格はタイプや機能・性能によって大きく異なります。

安価なものであれば3万円程度から購入することが可能ですが、補聴器はサイズが小さく雑音を軽減する機能などが優れたものほど高額となり、オーダーメイドで作成する場合は50万円以上するものもあります。なお、基本的に補聴器は保険適用とはならず自費で購入する必要がありますので、購入の際は機能面と価格面において納得のいくものを選ぶことが大切です。

ただし、補聴器は障害者総合支援法で認められている補装具であるため、場合によって身体障害者手帳の保有者には購入や修理などの費用が支給されます。身体障害者手帳をお持ちの方は自治体に相談しましょう。

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