原因
耳小骨にはツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の3種類があります。このうち、内耳とつながるアブミ骨底の固着が原因です。同一家系に多発し、2:1の割合で女性に多い疾患です。生まれたときは聴力に問題はありません。思春期以降に発病し徐々に難聴が悪化し、日常生活に支障をきたすようになります。妊娠で増悪する事が多く、内分泌関係も関係あるとされています。
症状
基本的には両耳に発症のことが多い疾患です。
初期は音がうまく伝わらない事で聞こえにくくなる伝音難聴です。耳のつまった感じも認めます。進行してくると内耳レベルで音が聞こえなくなる感音難聴も合わさり混合性難聴となります。耳鳴りは70%の患者さんに出現します。また、フワフワするめまいを訴えるかたも少なからずいらっしゃいます。初期の段階では、周囲が騒々しいとかえってよく聞こえるというWillis錯聴がみられます。
検査・診断
純音聴力検査を行うと、気道と骨導に差を認めます。とくに2000Hzの骨導が悪化することが知られています。また、他の伝音難聴疾患との鑑別のためにCTも行います。CTで内耳骨包という部位の脱灰像がみられれば確定診断に有用です。
治療
治療の第一選択肢は手術となります。手術では固くなってしまったアブミ骨を取り出し、人工的なアブミ骨と置換します。手術では劇的な聴力回復が期待でき、聴力は長期に維持されます。そのため、早期の手術が望ましいとされています。聴力の改善に伴い耳鳴りは改善されます。しかし、フワフワするめまいは残ることも少なくありません。
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