耳硬化症(じこうかしょう)とは、難聴を主訴とした耳の病気の一種で、アブミ骨という耳小骨のひとつがうまく機能しなくなることによって発症します。この病気の発症には遺伝的要素が関連しているともいわれていますが、はっきりとした原因はわかっておらず、解明が急がれています。耳硬化症とはどのような病気なのか、三井記念病院耳鼻咽喉科部長の奥野妙子先生にお話し頂きました。
耳硬化症は伝音難聴(音がうまく伝わらないことで聞こえにくくなるタイプ)や感音難聴(内耳にある蝸牛と有毛細胞が正常に機能しないことで聞こえなくなるタイプ)、混合性難聴(伝音難聴と感音難聴が合わさったタイプの難聴)など、様々な種類の難聴を引き起こす可能性のある病気です。耳の聞こえが徐々に悪くなり、日常生活に支障をきたすレベルにまで達することも少なくありません。
また、男女比は女性が男性の3倍多いといわれ、出産によって悪化するケースもあるといいます。基本的には両側性のことが多いのですが、初めは一方の耳から発症し、しばらくして反対の耳にも難聴が起こる場合もしばしば見られます。難聴は進行性の病気なのです。
耳硬化症は、耳小骨のうちアブミ骨底が硬くなり、その働きが低下する病気です。そもそもは内耳の壁の病気であり、局所的な骨粗しょう症の状態ともいえます。その好発部位のひとつが前庭窓(中耳と内耳の交通路のような部分。ここにアブミ骨の底がはまり込んでいる)です。体が骨粗しょう症状態になった前庭窓を修復しようとして、骨に似た組織を作ります。これが、アブミ骨と前庭窓の間で起こり、アブミ骨の動きを制限してしまいます。
耳硬化症のはっきりとした原因はまだわかっていません。麻疹などの感染症が潜伏していた場合採取した組織からたまたまウイルスが発見されることもあるため、感染症によって発症リスクが高くなるといわれていたこともありますが、現在では否定的です。しかし、1:3の割合で女性に多いこと、家族歴(親や兄弟に同じ耳硬化症の病気を持っている方がいる)が見られることなどから、遺伝素因が関係しているとも考えられています。
上記のように女性に多い、家族歴がみられるなど、耳硬化症は遺伝要素のある病気です。アジア人よりも比較的白人に多く黒人に少ないといわれていたこともありますが、医療レベルの問題等で診断方法が確立していなかったからではないかという指摘もされています。そのため日本人の患者数が少ないというわけでもありません。
三井記念病院 耳鼻咽喉科特任顧問
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