インタビュー

耳硬化症とは

耳硬化症とは
奥野 妙子 先生

三井記念病院  耳鼻咽喉科特任顧問

奥野 妙子 先生

この記事の最終更新は2015年12月16日です。

耳硬化症(じこうかしょう)とは、難聴を主訴とした耳の病気の一種で、アブミ骨という耳小骨のひとつがうまく機能しなくなることによって発症します。この病気の発症には遺伝的要素が関連しているともいわれていますが、はっきりとした原因はわかっておらず、解明が急がれています。耳硬化症とはどのような病気なのか、三井記念病院耳鼻咽喉科部長の奥野妙子先生にお話し頂きました。

耳硬化症は伝音難聴(音がうまく伝わらないことで聞こえにくくなるタイプ)や感音難聴(内耳にある蝸牛と有毛細胞が正常に機能しないことで聞こえなくなるタイプ)、混合性難聴(伝音難聴と感音難聴が合わさったタイプの難聴)など、様々な種類の難聴を引き起こす可能性のある病気です。耳の聞こえが徐々に悪くなり、日常生活に支障をきたすレベルにまで達することも少なくありません。

また、男女比は女性が男性の3倍多いといわれ、出産によって悪化するケースもあるといいます。基本的には両側性のことが多いのですが、初めは一方の耳から発症し、しばらくして反対の耳にも難聴が起こる場合もしばしば見られます。難聴は進行性の病気なのです。

耳硬化症は、耳小骨のうちアブミ骨底が硬くなり、その働きが低下する病気です。そもそもは内耳の壁の病気であり、局所的な骨粗しょう症の状態ともいえます。その好発部位のひとつが前庭窓(中耳と内耳の交通路のような部分。ここにアブミ骨の底がはまり込んでいる)です。体が骨粗しょう症状態になった前庭窓を修復しようとして、骨に似た組織を作ります。これが、アブミ骨と前庭窓の間で起こり、アブミ骨の動きを制限してしまいます。

耳硬化症のはっきりとした原因はまだわかっていません。麻疹などの感染症が潜伏していた場合採取した組織からたまたまウイルスが発見されることもあるため、感染症によって発症リスクが高くなるといわれていたこともありますが、現在では否定的です。しかし、1:3の割合で女性に多いこと、家族歴(親や兄弟に同じ耳硬化症の病気を持っている方がいる)が見られることなどから、遺伝素因が関係しているとも考えられています。

上記のように女性に多い、家族歴がみられるなど、耳硬化症は遺伝要素のある病気です。アジア人よりも比較的白人に多く黒人に少ないといわれていたこともありますが、医療レベルの問題等で診断方法が確立していなかったからではないかという指摘もされています。そのため日本人の患者数が少ないというわけでもありません。

 

三井記念病院 採用特設サイト "ともに生きる" はこちら

受診について相談する
「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    関連の医療相談が10件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「耳硬化症」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
    実績のある医師をチェック

    耳硬化症

    Icon unfold more