とっぱつせいなんちょう

突発性難聴

最終更新日
2024年02月20日
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2024/02/20
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

突発性難聴とは、何の誘因もなく突然に耳が聞こえにくくなる原因不明の病気です。

難聴には、外耳や中耳の異常によって起こる“伝音難聴”と、内耳や蝸牛神経、脳の異常によって起こる“感音難聴”の2つに大きく分類されます。

突発性難聴は、感音難聴のうち原因が明らかでないものの総称です。幅広い年代でみられますが、特に50歳代~70歳代の方に多く、発症者は年間10万人あたり60.9人(約76,500人)と推定されています。

原因不明ですが、内耳の障害に伴って内耳から脳に音がうまく伝わらないことで難聴となり、一般的には左右のどちらかの耳に起こります。難聴の発生と前後して耳鳴りやめまい、吐き気などの症状を伴うこともあります。

突発性難聴では治療が遅れるほど治療効果が低下し、後遺症として聴力が失われたり耳鳴りが残ったりすることもあるため、早めに受診して治療を開始することが大切です。

原因

突発性難聴は、内耳の内部にある有毛細胞(音の振動を電気信号に変換して脳に伝える細胞)が何らかの原因によって直接または間接的に障害を受けたり、有毛細胞と蝸牛神経の神経細胞をつなぐシナプスが障害を受けたりすることなどで生じます。

有毛細胞の機能が障害を受ける原因はまだ明らかになっていませんが、これまでの研究から、内耳に血液を送る血管の血流障害や、ウイルス感染が有力な説として考えられています。

血管の血流障害として出血や血栓、塞栓(そくせん)血管攣縮(けっかんれんしゅく)などが挙げられますが、これらの病態は高齢になるほど起こりやすいものです。しかし、突発性難聴は若い人にもみられることから、出血や血栓、塞栓などによる血流障害以外の原因も考える必要があります。

また、かぜに続いて突発性難聴が生じる例が一定数報告されているため、かぜを引き起こすウイルスによる内耳の炎症が原因になる可能性も考えられますが、現在のところ突発性難聴の原因となるウイルスは特定されていません。

そのほか、過労やストレス、睡眠不足などの生活習慣や、高血圧症糖尿病などの基礎疾患が発症に関わっているともいわれています。

症状

突発性難聴では、何の前触れもなく突然に片方の耳(まれに両耳)の聞こえが悪くなったり、聞こえなくなったりします。たとえば「朝起きてテレビをつけた時に音声が聞こえづらくなっていることに気がついた」「電話中に急に相手の声が聞こえなくなった」などのように、発症したときに自分が何をしていたかを説明できることが多いといわれています。

難聴の程度は人によってさまざまで、耳閉感だけの人や、高音のみ聞こえない人、まったく聞こえなくなる人もいます。

難聴の発症と前後して、耳鳴りを伴うことがあります。また、発症と前後してめまい、および吐き気・嘔吐を伴うことがあります。メニエール病でもこのような症状がみられますが、突発性難聴ではめまいの症状が起こるのは一度きりで、メニエール病のように難聴やめまいの改善や悪化を繰り返しません。

検査・診断

突発性難聴の診断には、まず問診で発症前後の状態、職業、既往歴、服薬歴、耳の手術歴などを確認し、原因の明らかな病気を除外します。

そのうえで顕微鏡や内視鏡を用いて外耳道や鼓膜を調べ、異常がないかを確認し、音の聞こえの程度を評価するために純音聴力検査が行われるのが一般的です。めまいがある場合には眼振検査が行われます。

このような検査で突発性難聴が疑われた場合には、突発性難聴と症状が似ている聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)との鑑別を目的として脳波の検査(ABR、聴性脳幹反応)や脳のMRI検査などが行われます。外リンパ瘻(がいりんぱろう)*が疑われる場合には、外リンパに特徴的なタンパクであるCTPを検出する検査(CTP検査)を行うこともあります。

*外リンパ瘻:耳の内耳という器官を満たす外リンパ液が漏れだし、難聴や耳鳴り、めまいなどさまざまな症状をきたす病気。

治療

突発性難聴では、抗炎症作用を持つ副腎皮質ステロイド薬による治療が基本です。これを内服あるいは点滴で全身投与し、一般的には1~2週間かけて徐々に投与量を減らしていきます(漸減療法)(エビデンスレベルI、推奨グレードC11)。

また、血流を改善させる血管拡張薬(プロスタグランジンE1製剤)や代謝促進薬(ATP製剤)、そのほかビタミンB12製剤が用いられることもあります。

近年、耳の中に副腎皮質ステロイド薬を直接注入するステロイド鼓室内注入療法が行われるようになってきました(エビデンスレベルI、推奨グレードB1)。この治療は基本の薬物療法で十分な効果が得られない場合や、全身的な副作用を避けられるためステロイド薬を全身投与することが困難な場合に行われます。初期治療としてステロイド全身治療と同等かそれ以上の効果があるため、初期治療の選択肢となり、ステロイド全身投与後の救済療法として推奨されている治療法です。

過労やストレスが発症の誘因になるとも考えられているため、十分な睡眠を取り、安静に過ごして心身を休めることも重要な治療です。

突発性難聴は適切な治療を行っても完治する方が3分の1程度、完治はしないが何らかの改善がみられる方が3分の1程度、まったく改善しない方が3分の1程度とされています。確実に治る病気ではありませんが、治療が遅れるほど治療効果が下がり、難聴や耳鳴などの後遺症を生じる可能性が高くなるため、発症後早期、1~2週間以内に治療を行うことが大切です。

参考文献

  1. 一般社団法人 日本聴覚医学会.急性感音難聴診療の手引き2018年版.金原出版.2018.152p

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突発性難聴を得意な領域としている医師

  • 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 認知行動医学講座 耳鼻咽喉科学 講師

    • 慢性中耳炎
      • 鼓室形成術
      • 内視鏡下耳科手術
    • 真珠腫性中耳炎
      • 鼓室形成術
      • 内視鏡下耳科手術
    • 耳硬化症
      • 内視鏡下アブミ骨手術
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      • ステロイド鼓室内投与
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