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インタビュー

突発性難聴の原因-ストレスとの関係とは

突発性難聴の原因-ストレスとの関係とは
土井 勝美 先生

耳鼻咽喉科 診療部長・教授・医学博士

土井 勝美 先生

「朝、目が覚めて突然気づくような高度の難聴」といわれる突発性難聴は、誰にでも起こる可能性がある難聴です。原因が明確にわかっておらず、予防法といえるような対策も厳密にはありません。ストレスや疲れが引き金になることもあり、身近な病気といえる「突発性難聴」について、近畿大学病院 耳鼻咽喉科診療部長であり教授の土井 勝美先生に伺いました。

突発性難聴は、突然発症する高度難聴(高度の感音難聴)です。基本的に一側性(片側の耳に起こる)の難聴で、「高度」という言葉がキーワードになります。難聴のレベルは以下のように分類されており、高度難聴は、非常に大きな声を出すか、あるいは補聴器などを用いなければ会話が聞こえないレベルです。ただし、「高度難聴」以上の数値に当てはまらなくとも「突発性難聴」と診断される症例もあります。

・軽度難聴: 平均聴力レベル 25 dB 以上~40 dB 未満

・中等度難聴:平均聴力レベル 40 dB 以上~70 dB 未満

・高度難聴: 平均聴力レベル 70 dB 以上~90 dB 未満

・重度難聴: 平均聴力レベル 90 dB 以上

(2014年 日本聴覚医学会難聴対策委員会 報告より引用)

国内における年間の新規発症者数はおよそ3万人(※2001年に厚生省研究班を中心に行った調査では受療者数推定3万5千人)といわれています。人口10万人あたりで考えると、27.5人という数字ですが、なかには受診せず放置してしまう人もいるため、実際にはもっと多いと考えられています。発症の割合でいうと、男女間に大きな差はありませんが、40代~60代の中高年に多く、一方で、小児の発症も増加傾向にあります。

突発性難聴の原因は、まだ明確にわかっていません。考えられる原因としては、以下の2つの説が挙げられます。

①ウイルスの感染

単純ヘルペスウイルス」の感染による影響が考えられます。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の原因ウイルスであるムンプスウイルスでも一側性の高度難聴が起こることはよく知られていますが、いわゆる「ムンプス難聴」では神経の変性や内耳の破壊の程度が高度であるため、発症したその日に治療をしても聴力は改善しません。
突発性難聴の場合は、1週間以内に副腎皮質ステロイド投与などの適切な治療をすることで、完全治癒が3割、改善もいれると6割と言われています。ムンプス難聴に関しては、唯一の予防策として、ワクチンの接種が挙げられます。

②血流障害(内耳の微小血管の循環障害)

内耳(蝸牛)内にある小血管の塞栓(血液の流れが遮断される)、出血、血管のけいれんなどが挙げられます。基礎疾患としての糖尿病動脈硬化といった生活習慣病の影響が大きく、内耳の血流障害を惹起します。

そのほかにも、自己免疫の関与や原因不明の蝸牛内構造の破綻などが挙げられますが、とくにウイルス感染と内耳の循環障害が、突発性難聴の発症に大きく関与していると考えられています。

直接的な原因ではありませんが、肉体的・精神的ストレスが突発性難聴の引き金になると言われています。そのため、肉体的・精神的ストレスや疲れ、睡眠不足など、誘因となることを避けるようにしてストレスの緩和ができれば、予防につながる可能性はあります。ストレスにより潜伏感染しているウイルスの再活性化が起こったり、自律神経系の乱れを介して血流障害が生じます。

血流障害の予防に関しては、前の項で挙げた糖尿病動脈硬化といった生活習慣病がリスクファクターとなるので、あらかじめ適切な治療をする、さまざまな検査値を良好にコントロールするなどの予防法が考えられます。しかし、突発性難聴はある日突然発症する病気であり、明確な原因もわかっていないため、厳密な意味での「予防法」といえるものは現在のところありません。

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  • 近畿大学 医学部耳鼻咽喉科 教授、近畿大学病院 耳鼻咽喉科 診療部長、医学博士 取得

    土井 勝美 先生

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