インタビュー

補聴器の選び方-補聴器のフィッティング技術とは

補聴器の選び方-補聴器のフィッティング技術とは
鈴木 伸嘉 先生

国際医療福祉大学三田病院 耳鼻咽喉科 准教授

鈴木 伸嘉 先生

補聴器の性能を最大限に引き出すには、認定技能士や専門医による「フィッティング」が欠かせません。最新テクノロジーによって超小型化が進んだ現在の補聴器は、パソコンやスマートフォンのソフトウェア経由で調整ができるようになっています。国際医療福祉大学三田病院で補聴器外来を担当されている鈴木伸嘉先生に補聴器の選び方やフィッティングについてお話をうかがいました。

補聴器選びで重要なポイント

耳の穴の形状の個人差、耳の手術をした後など、トラブルを避けるためにはそれぞれに合わせて注意を払う必要があります。耳あな式の補聴器はオーダーメイドのためシリコンで型を取りますが、その際に事故も起こりえます。まず耳鼻科を受診して検査を受け、補聴器認定技能士のいる補聴器販売店協会加盟店で相談していただくことが一番良いでしょう。

補聴器のメリット、デメリット

耳あな式補聴器の小型化(CIC, IIC)によるメリット

  • より鼓膜に近いところから音が出るため、音が劣化しにくく、聴こえが良くなる
  • 外見上、装用していることが目立たない
  • 耳介の集音機能が活かせる

耳あな式補聴器の小型化(CIC, IIC)のデメリット

  • 小さいため扱いが難しい
  • 電池持ちがよくない
  • 小さい分マイクとスピーカーが近くなり、ハウリングが起こることがある
  • 外耳道が一定以上の大きさでなければ装用できない
  • 高度難聴で高出力が必要な場合は、小型の補聴器では十分な利得(音量の増幅度)が得られない

カナル型(フルサイズ・フルシェル)のメリット

  • 本体が大きめで扱いやすい
  • 電池持ちが良い
  • より多くの機能を搭載し、高度難聴にも対応できる
  • マイクとスピーカーの距離を離せるため、ハウリングの点で有利

カナル型(フルサイズ・フルシェル)のデメリット

  • 耳介のくぼみ部分を大きくふさいでしまう
  • 外見上目立つ

ITCは超小型のCICとフルサイズのITEの中間的なものといえます。

耳掛け型(behind the ear: BTE)のメリット

  • 本体が耳の裏で目立たず、動きやすい
  • 集音するマイクと音の出口が完全に離れているので、耳あな型よりハウリングが起きにくい
  • 電池交換など取り扱いや手入れが耳あな型より容易
  • オープンフィットタイプは閉塞感が少ない
  • 本体にさまざまな機能を搭載できる

耳掛け型(behind the ear: BTE)のデメリット

  • 小型化したとはいえ、装置そのものは耳あな式よりも大きい
  • 眼鏡との併用が不便
  • 汗や温度差による結露などに注意が必要(防水仕様の製品もある)

※参考記事:「補聴器とは-種類と購入費用の補助について」

補聴器のフィッティング技術とは

補聴器は、使う人ひとりひとりの聴こえにくさに合わせて音質や音量を調整します。このことを「フィッティング」といいます。医療機器としての補聴器にはフィッティングが欠かせません。この点は単に音を大きくする集音器や拡声器との大きな違いです。

現在市販されている小型の補聴器はBluetoothなどの近距離無線技術を使い、パソコンにインストールした専用ソフトなどで設定・調整をします。耳鼻科の医師の中には私のように自分で調整をする人もいますが、多忙な医師に代わって補聴器認定技能士が行なうことが多いようです。また、電源のON/OFFや音量など簡単な設定であればスマートフォンのアプリで操作できる製品もあります。

耳に補聴器を入れること自体は、多くの場合すぐに慣れるものですが、中にはなかなかうまくなじまない方もいます。そういった方に対してどのようにして補聴器を導入していくかという点は、補聴器外来の腕の見せどころでもあります。慣れるためには長い時間つけたままにしておくのが望ましいので、理想的な装用の仕方としては、朝起きたら補聴器をつけていただき、夜入浴する前に外して、そのまま就寝していただくことをおすすめしています。

補聴器を小児と高齢者で合わせる際の工夫点など

お子さんの場合、成長にともなって耳の穴の大きさが変わるため、すき間が生じるとハウリングを起こすことがあります。学童期〜中学生ぐらいまでの間は成長に応じて作り替えることも少なくありません。耳掛け型であれば耳の中に入る部分だけを作り替えるので、コストの面で有利といえます。

ご高齢の方の場合は、補聴器自体が小さすぎると扱いづらいこともありますので、あえて大きめのものをおすすめすることもあります。電池もごく小さなものですので、電池の極性を間違えて入れてしまうミスを防ぐため、向きに関係なく動作するよう工夫された製品もあります。操作や設定は無線式でリモコンを使ってできますが、操作方法が複雑だと覚えきれず、面倒だからと装用をやめてしまうこともありますので、基本的なことから分かりやすく説明することも大切です。