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インタビュー

公開日 : 2015 年 09 月 18 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

難聴の検査、遺伝子診断―難聴の最新診断技術(2)

難聴の診断技術は近年、大きく進歩しています。最新の検査・診断について国際医療福祉大学三田病院 耳鼻咽喉科の岩崎聡先生にお話をうかがいました。今回は遺伝子検査とその診断についてのお話です。

難聴の遺伝子診断とは

難聴になった人たちの悩みに耳を傾けると、次のような声があります。

  • どうして自分は難聴になったのだろうか
  • これから自分の聞こえはよくなるのだろうか、それとも悪くなるのだろうか
  • 人工内耳の手術を受けても、聞こえるようになるのだろうか

このような疑問に答えるために、難聴の「遺伝子検査」が進められています。遺伝子検査によって、難聴発症のメカニズムがタンパク質レベルでより詳しくわかるようになりました。

たとえば、耳の中では電解質がリサイクルされることによって音が聞こえる仕組みになっています。このリサイクルがうまくいかなくなって起こる難聴があります。また、有毛細胞の骨格をつくっているタンパクが生成できなくなり、感覚細胞の機能低下を生じる難聴もあります。このように難聴の原因が特定できることに加えて、難聴の予後―これから難聴がどうなっていくのかが予測できるようになります。

遺伝子診断のメリット

たとえば、先天性高度感音難聴の原因遺伝子であるGJB2遺伝子が見つかった場合、重度の難聴となる可能性が高くなりますが、脳には異常がないことがわかっているため、人工内耳の治療で聞こえるようになることを発症前から知っていただくことができます。

別の例としては、Mit. 1555A>G変異というものがあります。これはミトコンドリアの遺伝子変異ですが、アミノ配糖体系と呼ばれる種類の抗菌薬(抗生物質)で難聴になるという特徴があります。結核の治療で使うストレプトマイシンは難聴の副作用があることが知られていますが、この変異がある方は通常よりはるかに少ない量でも難聴を起こしてしまいます。しかし、このことがあらかじめわかっていれば、別の系統の薬を処方してもらうことで難聴を予防することができます。

また、ヘレン・ケラーでよく知られるUsher症候群の場合も早期に遺伝子検査を行うことで、視覚と聴覚の重複障害となることが予測されるので、視力障害が起こる前に両耳に人工内耳を提案することができ、視力・聴力を同時に失うという最悪の状況を避けることができます。

もちろん、早期発見や人工聴覚の早期使用ですべてが解決するわけではありません。特に小児の場合は家庭や学校など療育・教育環境の整備も含めて、周囲の理解や協力が必要です。

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