まんもぐらふぃ

マンモグラフィ

正式名称
乳房X線撮影
乳房
画像検査
X線などを用いて、外からは見えない臓器や骨・筋肉などの様子を調べる検査です。
鑑別診断
この検査だけで病名を確定することはできませんが、異常の有無やどのような病気が考えられるかなどを知ることができるものです。検査結果に応じて、さらに検査が追加される場合があります。
スクリーニング
ある特定の病気について、その可能性があるかどうかを広く知るために行われる検査です。具体的な診断をするためにはさらなる検査を必要とします。また、健康診断などで用いられることもあります。
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マンモグラフィとは、乳房を板で挟み薄く伸ばした状態でX線撮影を行う検査です。マンモグラフィは乳がんや乳腺症など、乳腺(乳汁を分泌する器官)におこるさまざまな病変の発見や診断に役立つ検査です。

乳腺はX線撮影で白く映る性質があり、単に乳房をX線撮影しても、同じく白く映るがんや石灰化病変などを見落としてしまう可能性が高くなります。そのため、マンモグラフィでは乳房を二枚の板で挟み、薄く伸ばして乳腺の重なりを減らすことで病変をより発見しやすくします。

どの方向からでも乳房の病変が確認できるよう、通常は斜め縦方向、上下方向に乳房を挟んでX線撮影が行われます。このため、左右の乳房で合わせて4枚程度の画像が撮られます。

一般的には女性に対して行われる検査ですが、男性でも乳がんなどが疑われる場合に行われることがあります。

マンモグラフィは乳房にしこりが触れる、血液の混ざった乳汁が出る、乳頭部を中心に皮膚(ひふ)のただれがあるなど、なんらかの乳房の病気が疑われる場合に行われます。何らかの病変が見つかった場合には、精密検査を経て具体的な病名が判明します。

また、自治体が実施する「乳がん検診」でもマンモグラフィが行われます。40歳以上の女性が対象で、実施は2年に1回と定められていますが、家族や近い親族に乳がんにかかった人がいる場合などは対象年齢以下でも定期的なマンモグラフィ検査をすすめられることがあります。

マンモグラフィの場合、検査前に特別注意しなければならないことはありません。ただし、月経前後や授乳中は乳腺が発達しており正確に検査ができないこともあります。検診など、自分で検査のタイミングを決められる場合には、時期をずらすとよいでしょう。

検査を受けられない / 受けるのに注意が必要な人

豊胸手術をしている方やペースメーカーを使っている方は検査で乳房を挟んだ際にシリコンパッドやペースメーカーリードなどが破損したりズレたりすることがあります。必ず事前に医師に相談して、検査を受けられるか否か、他の検査方法への代替が可能かどうかなどを検討してもらうようにしましょう

検査を受ける際には、多くの医療機関では乳房を露出しやすい前開きの検査着が用意されますので、着替えやすい服装で行くとよいでしょう。また、胸にまでかかるようなネックレスやロングヘアは検査の妨げになることがあります。あらかじめネックレスは外す、髪は束ねるなどしておくとよりスムーズです。

マンモグラフィは基本的にX線撮影(いわゆるレントゲン)であるため、さほど時間のかからない検査であるといえます。医療機関にもよりますが、待ち時間などを含めず検査そのものにかかる時間としては、20分程度と考えられます。

また、乳房を二枚の板で挟み薄く伸ばして撮影する、という特性上痛みを感じることがあります。生理前など乳腺が発達しているときには痛みが強くなる傾向があり、痛みが強い場合つい動いてしまい撮り直しになることもあります。

ほか、乳房の形や大きさなどによっては、乳房の固定に時間がかかる場合があることも考えられます。

マンモグラフィで撮影した画像から、専門の医師によって診断が行われます。健診などでは撮影した画像を直接確認する機会がない場合も多くあり、また、このようにして撮られた画像は専門の医師でないとどこが病変なのか見分けがつかないことも珍しくありません。よって、多くの場合には異常があったか・なかったか、あったとすればどのような病変だったのか、のみを結果として受け取るか、医師から直接聞くことになると考えられます。

乳がん検診の場合は結果判定として、米国放射線専門医会(ACR)が作成したカテゴリー分類が広く用いられています。異常なしの場合は「カテゴリー1」、良性所見の場合は「カテゴリー2」とされ、悪性の可能性が否定できない、疑いがある、悪性所見であるものをそれぞれ「カテゴリー3~5」としています。

一般的な乳がん検診の場合、「カテゴリー3~5」は追加の検査や過去画像との比較が必要とされ、精密検査を受けることがすすめられます。

マンモグラフィで異常が発見された場合は、精密検査として超音波検査や、病変の一部を採取して詳しく細胞や組織を調べる生検が行われます。

超音波検査では、マンモグラフィ検査で発見された病変のがんの可能性をある程度予測することができます。

生検では、超音波で観察しながら病変にめがけて検査用の針を刺し、組織の一部を採取します。近年では、より小さな病変も正確に生検できるよう、マンモグラフィを撮影しながら生検を行う「ステレオガイド下マンモトーム生検」が行われる施設も増えてきました。

超音波検査と生検には、それぞれメリットとデメリットがあります。超音波検査は痛みなく手軽に行いやすい検査ですが、病変の正体を直接調べることはできません。生検は痛みを伴うことが多いですが、細胞を直接調べるため病変の正体が何であるのかがはっきりします。

マンモグラフィで見つかった病変の形や大きさによっても適した精密検査は異なり、場合によってはCT検査など他の検査が行われる場合もありますので、医師とよく相談するようにしましょう。

精密検査で異常なし、または良性の病変と判断された場合や、乳がんでないことが分かった場合でも、医師の指示に従って定期的なチェックを行うようにしましょう。また、自分自身で乳房のセルフチェックを行う習慣を持つことも大切です。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。