にゅうがんけんしん

乳がん検診

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基準値・基準範囲(出典元:エスアールエル)

※検査機関・検査方法によって異なる場合があります。

異常値だった場合に考えられること

  • 乳がん

乳がん検診とは、乳がんの早期発見・早期治療を目的として行う検査のことです。大別すると、自治体が行う“対策型検診”と自己負担で行う“任意型検診”があります。

乳がん検診が推奨されるのは症状のない40歳以上の女性で、2年に1度の間隔で定期的に受けることがすすめられています[1]。なお、現在は年齢の上限は規定されていませんが、75歳程度が妥当と考えられています[2]

乳がんは日本人女性のがんでもっとも多く、生涯で約9人に1人が乳がんにかかる[3]とされていますが、早期に発見できれば90%以上の生存率が期待できるため、早期発見がとても重要となります。

乳がんが進行するにつれて、乳房のしこり・ひきつれ、乳頭から血液の混じった分泌液が出るなどの症状が現れるようになりますが、定期的に検診を受けることで症状が出る前に小さながんを早期発見することが可能です。

遺伝によるリスク因子(遺伝素因)

  • 卵巣がんの家族歴がある
  • 男性乳がんの家族歴がある
  • 乳がん関連遺伝子の保持者

個人の体質や習慣によるリスク因子(個人素因)

  • 好発年齢(40~50歳)に当てはまる
  • 初経年齢が低い(11歳以前)
  • 閉経年齢が高い(55歳以降)
  • 肥満
  • 飲酒頻度が高い
  • 飲酒量が多い
  • 運動不足
  • ホルモン代替療法の治療歴がある
  • マンモグラフィでデンスブレスト*が確認できる
  • 胸部放射線治療歴がある

*デンスブレスト:乳房内の乳腺濃度が高い状態。高濃度乳房とも呼ばれる

病理組織におけるリスク因子(病理組織学素因)

  • 非浸潤性小葉がん(Lobular Carcinoma in situ: LCIS)がみられる
  • 異型乳管過形成(Atypical Lobular Hyperplasia: ALH)がみられる
  • 異型小葉過形成(Atypical Ductal Hyperplasia: ADH)がみられる

一般的に乳がん検診ではまず問診が行われ、月経の状況、妊娠・出産、授乳歴、家族歴などを問診表に記載します。次いでマンモグラフィ検査で乳房に異常所見があるかを調べます。

マンモグラフィ検査

マンモグラフィ検査とは、乳房専用のX線撮影のことです。乳房をプラスチックの板で挟み、乳房を薄く伸ばして撮影を行うことで、乳腺が広がって重なりが少なくなり、異常を見つけやすくなります。

検査ではまず片方の乳房を2枚の板で挟んで撮影し、次にもう片方の乳房を同じようにして撮影します。乳房を圧迫する時間は数十秒ほどです。

体の動きや呼吸によって画像がブレてしまうことがあるため、撮影時に息を止めるように指示される場合もあります。

乳腺が発達して乳房が張る月経前や授乳中は、マンモグラフィ検査で乳房を圧迫する際に強い痛みを感じることがあります。またそのような時期は診断の精度が低くなる場合もあるため、時期をずらして検診を受けた方がよいでしょう。

検診を受けられない/受けるのに注意が必要な人

豊胸手術をした人や心臓ペースメーカーを装着している人などは、乳房を圧迫することで人工物が破損したり、位置がずれたりする恐れがあるため、マンモグラフィ検査を実施できない場合があります。また、X線を使用するため、妊娠中の人は受けられません。

乳がん検診を受けるにあたって、食事や薬の服用など特別な制限はありません。

マンモグラフィ検査では、上半身の服と下着を脱いで検査を行うため、当日はワンピースを避けて上下が分かれた着脱しやすい服装を着用しましょう。

また、胸部にかかるアクセサリー(ネックレスなど)や長い髪は、X線画像に映り込んでしまい検査の妨げになることがあります。スムーズに検査ができるよう、事前にアクセサリーを外しておき、髪が長い場合は肩にかからないよう束ねておきましょう。

医療機関によって異なりますが、一般的にマンモグラフィ検査は10~20分程度です。

検診費用については、お住まいの市区町村が行う住民健診、職場で行う検診などによって自己負担額が異なります。市区町村のがん検診を受ける場合には、事前に市区町村のホームページやがん検診窓口に問い合わせておくとよいでしょう。

自費による乳がん検査(マンモグラフィ検査)を受ける場合も医療機関や検診プランによって費用に幅がありますが、一般的には4,000~8,000円程度とされています。なお、より精密に調べるために乳房超音波検査を合わせて受ける場合は、7,000~12,000円程度が目安とされます。

乳房を板で挟むため、痛みを感じることがあります。痛みの程度は個人差がありますが、乳房が張る月経前や授乳中は痛みが強くなる傾向があります。

多くの場合、検診結果は受診した医療機関もしくは自治体から後日文書で通知されます。異常の有無や、病変が見つかった場合はどのようなものだったか、などが記載されています。

結果には、日本乳がん検診精度管理中央機構によって蓄積されたデータを基礎として作成されたマンモグラフィガイドライン[4]に基づいたカテゴリー判定が含まれています。

カテゴリー分類は悪性の確信度を示しており、カテゴリー1~5に分類されます。要精密検査の基準はカテゴリー3以上です。各カテゴリーの具体的な定義は、下記のとおりです。

乳がん検査(マンモグラフィ)の結果のカテゴリー判定

カテゴリー1:異常なし

カテゴリー2:明らかに良性と診断できる所見がある

カテゴリー3:良性、しかし悪性を否定できず

カテゴリー4:悪性疑い。悪性の可能性が高く、良性の可能性もあり細胞診、生検が推奨される

カテゴリー5:悪性。ほぼ乳がんと考えられる

※判定医によって、判定が変わることがあります

要精密検査の判定であった場合でも、必ずしも乳がんであるとは限りません。実際にはほとんどの人が精密検査で異常なし、あるいは良性と診断を受けています。

しかし、まれに乳がんの場合もあります。いずれにしても詳しく調べないと分からないため、要精密検査だった場合には必ず追加の検査を受けるようにしましょう。

精密検査として、追加のマンモグラフィ検査、乳房超音波検査、針生検などがあり、乳がんが疑われる病変の部位や悪性の可能性の有無などによって選択されます。

乳房超音波検査では、乳房に超音波を当てて跳ね返ってくる音波を画像にして乳房内を検査します。針生検では、乳がんが疑われる部位に針を刺して組織・細胞を採取、それを顕微鏡でみて良性か悪性かを診断します。

乳がんは早期に発見できれば90%以上の生存率が期待できるため、早期発見がとても重要となります。そのため、検診で異常がなかった場合でも2年に1度のペースで検診を受けるようにしましょう。

また、乳がんの代表的な症状がしこりで、自己検診を行うことで早期発見につながります。日頃から自己検診を行い、しこりを触知したら早めに医療機関を受診しましょう。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。

参考文献

  1. 厚生労働省ウェブサイト.がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(閲覧日2022年3月25日)
  2. 日本乳癌学会編.日本乳癌学会乳癌診療ガイドライン2018年版.金原出版.2018.130p.
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス.最新がん統計(閲覧日2022年3月25日)
  4. 日本医学放射線学会 日本放射線技術学会編.マンモグラフィガイドライン 第3版 増補版.医学書院.2014.98p

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