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ぜんりつせんがん

前立腺がん

最終更新日
2020年07月07日
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2020/07/07
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

前立腺がんとは、その名のとおり前立腺に発生するがんのことです。

前立腺は男性にしかない特有の臓器であり、尿道を取り囲むようにして膀胱の真下に位置しています。正常な前立腺の大きさは“くるみ大”程度とされている小さな臓器ではありますが、精液の一部の成分を産生するなど重要なはたらきを担っています。

膀胱・前立腺の断面図(提供:PIXTA)

前立腺がんの原因として遺伝や加齢などが挙げられており、肥満喫煙などの要因も関与している可能性が指摘されているのが現状です。前立腺がんは進行が遅く、早期段階で治療すれば治る見込みが高いのが特徴ですが、症状が現れにくいため周囲のリンパ節、骨、肺、肝臓などに転移した状態で発見されることも少なくありません。

近年、前立腺がんを発症する方は非常に増えており、1995年から比べると罹患率は約6倍となり、男性では胃がんに次いで2番目に患者数が多いがんとなっています。一方で、前立腺がんは進行が遅く症状が現れにくいため、発見されないまま一生を終えるケースも多いことが分かっており、実質的にもっとも多いがんであるとの意見もあります。

原因

同じ家系内に前立腺がんを発症した人がいる方や60歳以上の高齢者に発症しやすいことから、遺伝や加齢による何らかの変化が関与していることが明らかになっています。

その一方で、明確な発症のメカニズムは解明されていないのが現状です。肥満喫煙、動物性脂肪やカルシウムの過剰摂取などの生活習慣の乱れが発症に関与しているとして、さまざまな研究が行われているところです。

また、前立腺の成長はアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンによって引き起こされるため、前立腺がんの発症にも何らかの関係があることも示唆されています。

症状

前立腺がんは早期の段階ではほとんど症状は現れません。しかし、進行して徐々にがんの組織が大きくなると前立腺の内部を走行する尿道を圧迫するようになるため、尿が出しにくい、尿の回数が増える、排尿後も尿が残った感じがする、下腹部に違和感があるといった症状が現れるようになります。

また、前立腺がんの進行は緩やかですが、発症から時間が経過すると膀胱、尿道、精管など周辺の臓器にダメージを与えながら進行し、尿や精液に血液が混入することがあります。また、進行した前立腺がんは骨や肺、肝臓などに転移を起こしやすいのも特徴の1つです。特に椎骨(背骨)や骨盤に転移しやすく慢性的な腰痛が生じ、わずかな刺激で骨折しやすくなります。

検査・診断

前立腺がんが疑われる際には、次のような検査が行われます。

血液検査

前立腺がんを発症しているか否か調べるには血液中の“PSA(前立腺特異抗原)”の濃度を測定するのが有用であることが分かっています。PSAは前立腺がんに対するいわゆる“腫瘍マーカー”と呼ばれる物質です。がんや炎症によりPSAは増加しますが、高値だからといって必ずしも前立腺がんというわけではないことに注意が必要です。前立腺炎前立腺肥大症といったそのほかの病気でもPSAが増加することもあります。PSA値だけで前立腺がんと診断することはできませんが、PSAの値が高いほど前立腺がんを発症している可能性が高くなることも分かっており、前立腺がんの早期発見のためにがん検診でも広く行われています。

画像検査

前立腺の状態を調べるために肛門に超音波の機器を挿入して直腸から前立腺を描出する“経直腸的前立腺超音波検査”やMRI検査行います。がんが前立腺の周囲のリンパ節や臓器などに転移しているかどうかをCTやMRI検査で調べることができます。そのほか、腰の痛みなど骨への転移が疑われる場合にはX線検査や骨シンチ検査を行うこともあります。

前立腺生検

前立腺がんの確定診断に必須となる検査です。前立腺がんの組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査ですが、肛門から特殊な器具を挿入して直腸や会陰部から針を刺して組織を採取することが必要です。近年では画像を見ながら組織の採取ができる“MRI画像融合生検”という方法も登場し、がんの検出率や悪性度の正確な診断ができるようになっています。

治療

前立腺がんの治療はがんの進行度に左右されますが、主に次のような治療が行われます。

手術

前立腺がん治療の基本であり、前立腺やその周囲の尿道を摘出する手術を行います。手術方法はおなかを切開して行う“開腹手術”、腹腔鏡を挿入して行う“腹腔鏡手術”があります。また、手術用ロボットの普及に伴い、体への負担が少ない“ロボット手術”が行われるようになってきました。 ただし、膀胱や直腸など周囲の臓器にがんが及んでいるケースでは一般的に手術は行われません。

放射線治療

放射線を照射してがんを縮小させる治療法です。早期がんから局所浸潤のあるようながんまで幅広いケースで行われます。また、放射線を照射する方法は、体表面から行う方法と前立腺の内部に放射線を放つ物質を挿入して行う方法があります。

薬物療法

前立腺がんは、アンドロゲン(男性ホルモンの一種)の分泌やはたらきを抑えることで、さらなる進行を抑制できることが分かっています。そのため、手術が難しい場合や放射線治療を行う前後の補助的な治療として、アンドロゲンの分泌・はたらきを抑える薬剤を用いた“ホルモン療法”が行われることがあります。また、ホルモン療法が効かなくなった(ホルモン抵抗性)患者には抗がん剤治療やラジオアイソトープ治療を行うのが一般的です。

近年では骨などに転移の見られる進行がんの患者に対し、これまで行われてきたホルモン療法に加え、アンドロゲンのはたらきを抑えるより強力なホルモン療法剤(新規ホルモン療法剤)による治療や抗がん剤治療を併せた治療なども行われています。

予防

前立腺がんのリスクとなる遺伝や加齢は避けることができないものです。一方で、前立腺がんは上でも述べたように乱れた生活習慣が原因で引き起こされるとする説もありますが、現在のところ予防するための方法はありません。ただ、前立腺がんは万が一発症したとしても、早期段階で発見できれば治る見込みが高いがんです。そのため、早期発見・早期治療のためにも定期的にがん検診を受けることが推奨されています。

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