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インタビュー

大腸がんの治療ーステージ別の治療方針とは

大腸がんの治療ーステージ別の治療方針とは
平田 敬治 先生

産業医科大学 医学部第一外科学 教授 、産業医科大学病院 消化器・内分泌外科 診療科長

平田 敬治 先生

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この記事の最終更新は2016年01月30日です。

大腸がんの治療には内視鏡治療・手術治療・抗がん剤による化学療法・放射線治療などがあります。それぞれの治療法について、産業医科大学第一外科教授の平田敬治先生にお話をうかがいました。

大腸がんのステージ(病期)ごとの治療方針については、「大腸癌治療ガイドライン」に示されています。

大腸がんのステージ別の治療方法

0期(大腸の粘膜に限局する炎症や腫瘍 (しゅよう) などの病的変化が、狭い範囲内に限られていること)がん)もしくはI期(粘膜の下の層まで浸潤するがん)の中の早い段階であれば、内視鏡を使って病巣を取り除く低侵襲な治療が可能です。

I期でもがんの浸潤が進んだものや、II期(大腸の壁の深い層まで浸潤するがん)やIII期(リンパ節に転移しているがん)に相当するがんは手術による外科治療が有効です。IV期(他の臓器に転移しているがん)の場合は切除可能な場合とそうでない場合があります。

がん剤による化学療法の目的は大きく以下の3つに分かれます。

  • 術前にがんを小さくして手術の根治性を高めるため
  • 手術で取りきれなかったがん、転移したがんを叩くため
  • 術後の再発予防のため

近年、大腸がんに有効な抗がん剤が次々と開発され、その種類が増えています。術前に化学療法を併用するケースも増え、治療の選択肢が広がっています。術後の化学療法においては、患者さんの状態に合わせてより副作用の少ないものを選択し、その効果を評価しながら副作用を軽減する治療をあわせて行います。

IV期のがんの場合、術後に化学療法と併用して放射線治療を行なう場合があります。また、切除不能がんに対する対症療法として放射線治療を行なうこともあります。最近では手術の根治性を高めることを目的として、術前に化学療法と放射線治療を組み合わせた化学放射線療法を行なうことも多くなっています。

大腸の血流は肝臓に戻って肺に至るという流れがあるため、大腸がんは肝臓・肺・脳など命にかかわる重要な臓器に転移することが多いという傾向があります。大腸のがん(原発巣)から離れた臓器への転移(遠隔転移巣)がある場合の治療方針は「大腸癌治療ガイドライン」に示されており、患者さんの全身状態などを考慮の上、治療方法を決定します。

転移(遠隔転移巣)がある場合の治療方針
  • 肝転移の治療には、肝切除・全身化学療法・肝動注療法および熱凝固療法などがあります。
  • 根治切除可能な肝転移には、肝切除が推奨されます。
  • 肺転移の治療には、肺切除・全身化学療法・放射線療法があります。
  • 肺転移巣の切除が可能であれば肺切除を考慮します。
  • 脳転移の治療効果が期待できる場合には、手術療法あるいは放射線療法を考慮します。
  • 全身状態や他の転移巣の状況を考慮し、脳転移巣の大きさ・部位・脳転移個数を評価して最適な治療法を選択します。
  • 切除不能例には放射線療法を検討します。
  • 副腎・皮膚・脾などの血行性転移に対しても、切除可能な場合は切除を考慮しますが、これらの転移は他の臓器の転移を伴うことが多いため、化学療法あるいは放射線療法が適応されることが多くなっています。

(大腸癌治療ガイドライン2014年版より抜粋)

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