腹腔鏡を用いた肝切除は、非常に高度な技術が求められる難易度の高い手術です。この領域ならではの課題、そしてそれを解決するために求められる打開策について、慶應義塾大学医学部外科学教室(一般・消化器) 専任講師の板野理先生にお話をうかがいました。
肝胆膵領域というのは、もともと手術自体が難しいというところがあります。複雑で時間も長くかかりますし、非常にクリティカルな部分、すなわち血管など何かトラブルがあれば、術後の合併症で命にかかわるという領域です。開腹手術でもそうですから、基本的には専門の施設に症例が集約されますし、非常に専門性が高いため、一般の病院でそういった症例を扱うことが難しいという事情があります。必然的に専門施設に集まったスタッフが経験を積んで技術を高めていくということになるのですが、腹腔鏡の手術というのは現在消化管では確立した手術として盛んに行われていますが、肝胆膵手術領域では非常に専門性が高く施行可能な施設も少ないため、研修期間に広く消化器領域を学ばないと十分な数の腹腔鏡手術は経験できません。
消化器外科の領域で一番症例が多く基本とされる胆嚢摘出術は我々の領域ですが、たとえばがんセンターで胆嚢摘出術をやるかといえば・・・まったく経験できないわけです。せめて肝胆膵領域で、良性のものも扱っている施設であれば胆嚢の手術はしますが、がんセンター系の施設ではまったくそれができないので、そういった施設の医師では腹腔鏡手術の経験と知識が絶対的に不足している可能性もあります。その医師たちが腹腔鏡手術に対して見解を述べるということについては、内心いろいろと思うところもあります。
以前は肝切除も保険適応ではありませんでした。2010年に保険が使える手術になったわけですから、それまではほとんど行われていなかったのです。そうすると腹腔鏡の手術というのは胆嚢・大腸・胃などの手術で基本技術と経験を磨くということになるのですが、それらの手術は縦割りの専門性の高い施設では領域をまたいで経験することはできません。これは海外でもそうなのですが、腹腔鏡の肝切除や膵切除という難しい手術を手掛けるのは、腹腔鏡手術が行われるすべての領域を経験している医師、つまり民間病院の、あるいは民間病院出身の人が多いということです。私自身も2010年に大学病院に戻るまでは民間病院にいましたし、胃の手術も大腸の手術もすべて手がけていました。
私たちの肝胆膵領域では、今後どうトレーニングをして安全性を担保していくかというところが一番大切な部分になります。先ほど述べたように、肝切除は専門性が高く開腹でも難しい手術ですから、それを腹腔鏡でいきなりというのは無理な話です。それだけに、さまざまな領域を経験していないと肝胆膵領域の腹腔鏡手術は経験できないということになります。
たとえば慶應義塾大学は大教室制ですので、胃の手術も大腸の手術も全て経験できます。また関連病院に出張してそこのスタッフになれば、そこでも全てを経験したり、少なくとも見ることはできますが、逆にそういう環境にないと、私たち肝胆膵領域だけでは腹腔鏡のトレーニングができないということが、今一番問題になっているところです。この課題を解決していくためにも、「領域横断的内視鏡手術エキスパート育成プログラム」が必要なのです。
国際医療福祉大学 教授
日本外科学会 外科専門医・指導医日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器外科指導医・消化器がん外科治療認定医日本肝胆膵外科学会 肝胆膵外科高度技能指導医・学会幹事日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(消化器・一般外科領域)日本肝臓学会 肝臓専門医日本がん治療認定医機構 がん治療認定医日本移植学会 移植認定医日本消化器内視鏡学会 会員日本癌学会 会員日本癌治療学会 会員日本大腸肛門病学会 会員日本消化器病学会 会員日本胆道学会 評議員・認定指導医日本腹部救急医学会 会員
慶應義塾大学医学部卒業後、永寿総合病院外科 部長 内視鏡手術センター長、慶應義塾大学病院一般・消化器外科 専任講師を経て、2017年4月からは成田に開学する国際医療福祉大学医学部 消化器外科の主任教授を務める。應義塾大学病院では肝胆膵・移植グループのチーフとして診療に携わるとともに、同大学医学部内視鏡手術トレーニングセンターのディレクターとして、内視鏡手術のエキスパート育成に尽力してきた。今後は同病院の特任准教授として内視鏡手術トレーニングのプログラムに関わりつつ、国際医療福祉大学の特色を生かし同トレーニングプログラムの海外展開も視野にいれている。
板野 理 先生の所属医療機関
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虚血性腸炎発症時の対応について
家族(母)の虚血性腸炎についてのご相談です。 3年ほど前に初めて虚血性腸炎を発症してから、度々繰り返しており本年に入ってからは1月と7月に救急搬送しどちらも10日程度入院しました。 3月には大腸カメラをしており、ポリープはとったもののそれ以外の問題はありませんでした。 これまでの傾向として体調を崩しかけるタイミングで虚血性腸炎を発症しやすいようで、本日少し体調悪そうにしていたところ夜に軽度ですが発症しました。本人は救急車を呼ぶほどではないといっており、事前に発症に備えて頓服として処方されたブスコパン10mgを1錠と痛み止めのカロナール200を2錠を服用して様子をみており、明日かかりつけのクリニックに行くつもりです。 このように発症を繰り返している状態なのですが、毎度救急車を呼ぶべきか、救急外来に連れていくべきか非常に悩ましいです。 ひとまず様子見とする状態、救急にかかるべき状態、大まかで結構ですので判断基準をご参考にお示しいただけますと幸いです。 また、主治医からは「うまく病気と付き合っていきましょう」というお話で定期に診察は受けているのですが、繰り返していることに不安もあるところ(主治医を信頼していないわけではないですが)セカンドオピニオンを受診したほうがいいのか、加えて関連して疑うべき病気があるかコメントいただけますと幸いです。
肝門部胆管がんステージ4の寛解に向けた今後の治療方法について
2024年4月の血液検査でガンマーGTが350を超えていて、ALPも250くらい、主治医からは肝臓でしょう、飲みすぎ等の指摘受けましたが、念のために5月上旬に再度検査受けて、連絡なかったので安心していたら腹部膨張感を感じたのが5月中旬、尿がすこしずつ黄色になったのが5月25日くらい、5月31日黄疸症状がありCT検査より胆管がんの疑いありと診断され、大分別府(自宅のある)の大学病院で再検査、6月3日より入院検査、胆管がんステージ4の確定診断、それからステント ERCPの治療、膵炎や薬物アレルギー、胆管炎をおこしながらも、6月17日より イミフィンジ(免疫阻害チェックポイント剤)とランダ、ジェムザールの抗がん剤の治療開始、当初は副作用、脱毛、口内炎、便秘等あったがクールがすすむにつれて改善、白血球(好中球)減少はあるものの、6クールまで進捗している、8月22日の造影CTで当初3センチほどの腫瘍は2.5センチ、10月18日の造影CTでは更に腫瘍が小さくなり2センチ、リンパ転移も縮小、播種なしの状態、身体もすごく調子が良い状態です、8クールまでは今のままの治療で、そこからはイミフィンジだけで経過観察していくとの事です、根治、寛解に向けて他の治療方法はないでしょうか、例えば重粒子や陽子線等 部分寛解まできているので完全寛解を目指していきたいと思います
筋肉が痙攣する
2ヶ月ほど前から はじめはふくらはぎ辺りのだるさ、筋肉がピクピク動くのが気になることから始まりました。痺れや痛みはありません。 この症状が出る前に風邪を引きました。 医師から抗生物質などの薬を処方され、風邪の症状は治ったのですが、そのあたりからこのような症状が出てきた気がします。 それから2ヶ月の間、 症状が和らいだ時もありましたが、いまだに寝る時や座ったままの体勢のときに症状が出ます。ほぼ毎日です。 1ヶ月ほど前からは眼瞼痙攣や 二の腕などの筋肉もピクピクと動く感覚が出始めており、全身に広がってきているような気がします。 神経内科、脳外科、内科を受診し、 血液検査やMRI検査をしました。 血液検査は異常なしでした。 MRI検査で、下垂体に腫瘍があるかもしれないと診断されましたが、担当医師曰く、上記の症状とは関係ないと言われました。 立ち上がれなかったり、動かしにくいという事はないのですが、2ヶ月もの間ほぼ毎日のように症状が出ているので気になって仕事や家事にも集中できず困っています。 考えられる病気などありますか?
足首付近のむくみ、腫れ
以前から、足首のところがおおきくふくれていて、むくんだようになっています。(外見的には、木の幹のような感じの太さです)そして、ここ数日、腫れたような感じにもなっている(痛みは特にないようです)ので、病院を受診させたいと考えています。病院は何科を受診すれば良いでしょうか?また、考えられる病気は何でしょうか?よろしくお願いします。
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