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IMRT(強度変調放射線治療)とは?-その原理や治療効果

IMRT(強度変調放射線治療)とは?-その原理や治療効果
大泉 幸雄 先生

横須賀市立うわまち病院 高精度放射線治療センター センター長

大泉 幸雄 先生

放射線治療は、がんの治療において重要な役割を果たしています。従来の放射線治療もがんに効果は認められていますが、同時に副作用を引き起こすという課題がありました。今回ご紹介するIMRT(強度変調放射線治療)は、近年広がりつつある新たな放射線治療の方法です。高精度の治療装置によって、がん周辺の臓器など正常組織への照射を避けながら、照射したいがんの部位に希望する放射線量を照射できるという特徴があります。これによって、従来より副作用の軽減が期待できる画期的な治療法と言われています。

神奈川県横須賀市にある横須賀市立うわまち病院は、IMRTを導入している医療機関のひとつです。最新の放射線治療であるIMRTにはどのような効果が期待できるのか、治療にあたっていらっしゃる同病院の大泉 幸雄先生にお話をお伺いしました。

新たな放射線治療「IMRT(強度変調放射線治療)」とは?

専用のコンピューターと高精度の治療装置による放射線治療

IMRT(強度変調放射線治療)とは、放射線治療の一種です。これは、高度の治療計画装置と高精度の照射ができる治療機械によって、自由に線量や照射野(照射される範囲)を操ることのできる最新の放射線治療の方法です。従来の放射線治療は、均一な放射線で照射しますが、強度変調放射線治療とは、いわばモザイク状の濃度の異なる不均一な(強度変調された)光で照射する方法です。どうしてそんなことをするかというと、強度変調の放射線を多方向から照射し、それらを合成するとどんな分布も作れるからです。具体的には、医師があらかじめ、この腫瘍にはこれだけの線量を当て、周辺の正常組織にはこれだけの線量に抑えるというように、専用コンピューターに指示します。そうすれば、コンピューターは高度な計算によりその通りに分布を作ってくれます。そればかりでなく、そのためには放射線の強度をどう変えて照射すればいいかまで計算してくれるのです。そして、照射装置もそれに対応するような高精度な機能でその計画を再現してくれます。

IMRTの専用コンピューターの照射計画の一例(大泉 幸雄先生ご提供)

IMRTの利点と従来の放射線治療との違い

IMRTは副作用を軽減することができる

IMRTの大きなメリットは、なんと言っても放射線治療による副作用の軽減が期待できることです。お話した通り、IMRTでは、医師の思い通りに照射できます。つまり、放射線を当てたい部分に希望する量を照射しつつ、当てたくない部には抑えるということが可能です。従来の放射線治療では、腫瘍に照射しようとすると周辺の正常組織への照射を避けることが難しい場合があります。特に腫瘍に囲まれた正常組織や複雑な形をした腫瘍の影に隠れた正常組織などがそうです。副作用は、線量が少し増えただけで急にその出現率が高くなります。例えば、正常組織の線量を通常照射で当たる線量の10%減らすだけでも、副作用の出現が半分以下に減る場合もあります。また、副作用の軽減が期待できる範囲で腫瘍の線量を増やすこともできるようになり、がんの治癒率の向上も期待できるわけです。

患者さんイメージ画像

IMRTはさまざまな形状の腫瘍に対応できる照射が可能

腫瘍は必ずしもきれいな円形をしているというわけではなく、その形状は実に様々です。通常照射でもその形状に合わせて照射はできますが、窪みがあるような腫瘍では、その窪みは影になってしまい線量を下げることが難しく、そこにも照射されてしまいます。通常照射でその線量を減らそうと照射野や照射角度を工夫しても、今度は別の場所に高い線量が出たりします。IMRTはこれを補ってくれ、たとえどんな形であろうと、腫瘍が離れたところにあろうとその形状に合わせた照射ができるのです。例えば、IMRTであればドーナツ状の腫瘍であっても適切に照射することが可能です。

IMRTの専用コンピューターの照射計画の一例(大泉 幸雄先生ご提供)

IMRTは複雑な照射を可能にする

このようにIMRTはより複雑な形の照射を可能にしました。それだけではありません。照射する線量も複雑に変えることができます。腫瘍には、最初にがんが発生した原発巣(げんぱつそう)と、がんが転移したリンパ節があります。この場合、たとえば原発巣には多く照射をし、リンパ節には控えめに照射をするというように部位によって照射線量をコントロールすることが可能です。将来、腫瘍の中のある部分に放射線抵抗性の腫瘍があることが分かったとします。そうしたら、その部分にだけさらに多くの線量を当てることもでき、治癒率が上がることも期待できます。また、再照射の時には、この部は以前にこれだけ当たっているので今回は線量をこれだけに抑えようという計算も簡単にすることができます。

IMRTは周辺の臓器を守りながら治療できる

膵がんなど上腹部の照射は、胃や十二指腸などがあり副作用を引き起こしやすい部位です。通常の治療では副作用で治療が予定通り完遂できないこともあります。しかし、IMRTによる治療は、がん腫瘍がほかの正常臓器に近接しているような、複雑な形状をしている複数のターゲットに対しても自在に線量を調整投与することができることから、従来の放射線治療と比べ、副作用の軽減や、治療成績の向上が期待できるといえます。IMRTは、腫瘍の周辺の臓器に影響を与えることなく放射線治療ができることは大きなメリットです。IMRTは、今までの放射線治療による副作用のイメージから脱却できる、優しい治療法といえるのではないでしょうか。

IMRTの専用コンピューターの照射計画の一例(大泉 幸雄先生ご提供)
-腫瘍周辺の臓器を避けて照射することができる

IMRTに適応される病気は?

ほとんどの固形腫瘍で適応が可能

IMRTは、2010年4月に健康保険の適応が「限局性固形悪性腫瘍」へと拡大されました。その結果、特定の部位にとどまっている固形腫瘍すべてを対象としてIMRTによる治療が保険診療で可能になりました。お話してきたように、副作用の軽減が期待できるIMRTの治療は、有益な選択肢の一つではないでしょうか?

IMRTの専用コンピューターの照射計画の一例(大泉 幸雄先生ご提供)

特に適応が多いのは前立腺がん

中でも現状で最も適応されることが多いのは前立腺がんです。前立腺がんであれば、IMRTにより副作用が少なく治癒率も向上したという論文がすでに発表されており、一定の効果が実証されています。また、頭頚部腫瘍にもIMRTは推奨されています。というのも、頭頚部は複雑な構造をし、眼、唾液腺、咽頭など放射線の照射から守るべき臓器が多く、IMRTは絶好の治療法です。従来の照射方法に比べ副作用が減り、患者さんは楽に治療することができます。また、骨盤や腹部にも腸や腎臓など重要な臓器が多数あるので、それらを守りながら放射線による治療を実施できる点は大きなメリットです。ほかにも、今後IMRTが広がるとともに適応される病気はさらに増えていくことでしょう。
 

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