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たんのうがん

胆嚢がん

最終更新日:
2023年06月02日
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概要

胆嚢(たんのう)がんとは、胆嚢にできる悪性の腫瘍(しゅよう)のことです。

食事中の脂肪の分解を助けている胆汁(たんじゅう)という消化液は肝臓で作られます。この胆汁を肝臓から十二指腸に運ぶ管を胆管といい、胆嚢は胆管の途中で枝分かれした場所にある袋状の臓器です。胆嚢は一時的に胆汁をためておき、油の多い食事を取ったときなどにはためておいた胆汁を十二指腸に排出するはたらきをしています。

胆嚢がんは下記の2つのタイプに分けられます。

  1. 胆嚢の壁の内側にできたポリープががん化したタイプで、ゆっくりと時間をかけて大きくなります。
  2. 胆嚢の壁の一部がなだらかに隆起している広基性の病変で、壁の中を這うようにがんが広がっていくタイプであり、比較的短時間のうちに胆嚢壁の外側に達することがあります。

胆嚢がんで完治が期待できる治療法は手術のみで、手術が治療の中心となっています。早期の段階で手術治療をした場合は5年後の生存率は約95%です。しかし、胆嚢の壁を越えて周囲の臓器に広がって進んだ段階の胆嚢がんでは、手術をしてもその5年後の生存率は約50%以下となってしまうため、早期発見が非常に大切です。

原因

胆嚢がんは、アジアや南米のチリに多いという統計があります。食生活や人種の違いが影響しているのではないかと考えられていますが、はっきりしたことは不明です。また、胆石と胆嚢がんの関係については以前より研究がされているものの、明らかになっていません。

胆嚢がんのリスクだと考えられているものは“先天性膵胆管合流異常(せんてんせいすいたんかんごうりゅういじょう)”です。通常、膵臓(すいぞう)から出る膵液が通る膵管と胆汁が通る胆管は、十二指腸の壁の中で合流し、膵液と胆汁は十二指腸内に排出されています。ここに生まれつきの形態異常があって十二指腸の壁よりも手前で合流する形になっているものが先天性膵胆管合流異常です。この形態異常により膵液と胆汁がお互いに逆流する現象が起こり、結果として胆嚢がんのリスクが高まるとされています。

症状

胆嚢がんは、小さいうちは症状が出にくく早期発見が難しいです。ただし、袋状になっている胆嚢の出口近く(胆管につながっている胆嚢頸部(たんのうけいぶ)と呼ばれる部分)にがんができた場合には、胆嚢から胆管への胆汁の流れが滞ることで胆嚢炎を起こし、右のわき腹の痛みや発熱を起こすことがあります。

また、がんが大きくなって総胆管と呼ばれる胆汁の主な流れの管を閉塞(へいそく)させてしまうと、胆汁が腸に流れなくなり、目や皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)という症状を起こします。そのほか、体重減少や食欲不振などを認めることがあります。

検査・診断

初期の段階の胆嚢がんでは症状もなく、血液検査の結果でも異常を認めることはありません。そのため、第一に行う検査は腹部超音波検査です。

腹部超音波検査

お腹の表面から超音波(エコー)を当てて胆嚢や周囲の様子を観察します。腹部超音波検査は痛みもなく簡単にできる検査として、健康診断でもよく行われています。

胆嚢の内腔に突出した腫瘤(しゅりゅう)(しこり)を胆嚢ポリープと呼びます。胆嚢ポリープは超音波検査を受ける患者のうち、およそ10~20%にみられるよくある病変です。多くはコレステロールポリープという種類のもので治療不要ですが、10mm以上のポリープでは胆嚢がんである頻度が上昇します。

健診などで胆嚢ポリープが見つかった場合、その大きさや形などよってはほかの検査(CT、MRI検査など)を追加して評価します。また経過観察を行い、そのポリープが時間をかけて変化していないかどうかをチェックすることも大切です。大きなポリープ、ポリープの根本部分が広い広基性のポリープ、またポリープが急激に大きくなったり形が変化したりする場合は、胆嚢がんの可能性を考えて胆嚢摘出術を検討します。

CTスキャン検査、MRI検査、PET検査など

胆嚢がんと診断された場合、がんの広がりを確認するための検査として行います。

周りの組織にどの程度浸潤しているか、また遠くの臓器に転移があるか(遠隔転移)について見極め、治療方針を決定していきます。

超音波内視鏡検査(EUS)、内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)など

口から内視鏡を挿入して行う検査です。

内視鏡の先端に超音波のプローブを付けてお腹の内側から胆嚢付近を観察したり(EUS)、内視鏡を使って胆管にチューブを挿入して造影剤を流し胆管や胆嚢の形を調べたりします(ERC)。これらは必要に応じて行う検査です。

胆管の閉塞や狭窄に対する処置

胆嚢がんが進行して、胆汁の通る管である胆管に達して閉塞や狭窄(きょうさく)(狭くなること)を起こした場合、胆汁の流れが滞り胆管炎という細菌感染や黄疸を起こすことがあります。肝機能障害などもきたしうるため、治療を行う前に“ドレナージ”という、たまった胆汁を消化管内や体外に排出する処置を行うことがあります。

内視鏡を使って狭くなった胆管に管やチューブを置いて流れを確保したり(胆管チューブや胆管ステント)、体外から管をいれて胆汁を外に出したり(経皮経肝胆道ドレナージ)します。胆嚢がんに対しての治療を行わない場合でも、黄疸や感染の治療を目的としてこのドレナージの処置が必要となることがあります。

治療

手術治療

胆嚢がんでは手術によってのみ根治を期待できます。切除できるケースについては、まず手術を行うことが基本となります。ただし、胆嚢がんの形態や進行の度合いはさまざまであり、実際に手術で切除できる割合は全体の約60~70%とされています。

胆嚢がん(あるいは胆嚢がんが疑われるポリープ)が、胆嚢壁の表面にとどまっていると考えられる場合、胆嚢のみを摘出する手術を行います*。さらに胆嚢の近くにある肝臓や胆管、リンパ節などへの転移の可能性がある場合、それらも併せて摘出する手術を行います。

胆嚢がんでは、病変の広がりに応じて切除をする範囲、臓器が大きく異なります。それに伴って術後に起こりうる合併症や回復の度合いにも違いがあるため、手術治療が選択される場合には、前もってどのような手術を行うのか主治医から十分に説明を受けておくことが大切です。

*胆嚢は肝臓でつくられた胆汁を一時的にためておくための臓器のため、胆嚢摘出術を行っても大きな支障はありません。術後に一時的に下痢などを認めることもありますが次第に体が適応していきます。

化学療法(抗がん剤治療)

病変が進行して手術で切除することができない段階の胆嚢がんの患者に対しては、化学療法(抗がん薬治療)が行われます。

ゲムシタビン塩酸塩とシスプラチンという抗がん薬の併用が標準的な治療方法となっており、最近、デュルバルマブという免疫チェックポイント阻害薬との併用療法が保険承認となりました。患者さんの全身状態や症状を考慮しながら治療を検討していきます。

放射線治療

手術で切除することができない段階の胆嚢がんで、遠隔転移がない場合に行われることがある治療です。

ただし現段階(2023年)では効果が十分に検討されておらず、標準的な治療とはいえません。痛みを和らげる目的で放射線治療を行うこともあります。

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