胆嚢は肝臓で作られた胆汁をためておく役割をする臓器です。胆嚢がんとは、この胆嚢に生じるがんのことを指し、胆管がんや十二指腸乳頭部がんと同じ“胆道がん”の一種です。胆嚢がんの患者の75~90%には胆石症の合併がみられ、胆嚢がんと胆石症の因果関係が疑われているものの、現時点では十分に解明されていません。
このページでは、胆嚢がんの症状や発見されるきっかけなどについて解説します。
胆嚢がんには、初期症状がほとんどないことが一般的です。そのため早期発見が難しいがんといえます。
一方で進行すると黄疸や腹部の痛み、発熱などさまざまな症状が現れます。ただし、胆嚢がん特有の症状というものはないため、発見までにさまざまな検査が必要となることが一般的です。
胆嚢がんが進行し、胆汁の通り道となる“胆管”が塞がれてしまうと“黄疸”が現れることがあります。黄疸は血液中にビリルビンという黄色の色素が増加することによって皮膚や目など見た目が黄色くなる状態のことを指します。
肝炎などで肝臓の機能が低下したときにみられる“肝実質性黄疸”が一般的ですが、胆嚢がんによる黄疸の場合は、胆汁がうまく流れずに血管に逆流し、胆汁中のビリルビンが血液に入り込んでしまうことが原因です。これを“閉塞性黄疸”といいます。
など
胆嚢がんが進行して胃や十二指腸などに浸潤すると、消化管が狭くなり、吐き気や食欲低下などの症状が現れることもあります。また、それに伴って体重が減少する方もいます。さらに、黄疸やがんの進行に伴い体のだるさが生じることもあります。
胆嚢がんが周辺の神経に浸潤すると、みぞおちや右の脇腹など腹部を中心に痛みを感じることがあります。またがんが進行しほかの臓器に転移した場合は、ほかの部位に痛みが生じることもあります。
胆管が塞がっている場合、胆嚢が腫れることによってお腹にしこりを感じることがあります。このしこりは、進行すると外から自覚できる場合もあります。併せて胆汁の流れが悪くなることにより胆嚢が炎症を起こし、痛みが生じたり、細菌感染による発熱が生じたりすることもあります。なお発熱の症状は、がんそのものによって生じる場合もあります。
人間の便は通常茶色をしていますが、これは胆汁の色素の色によるものです。しかし胆嚢がんが進行して胆汁がうまく流れなくなると、便に胆汁の色がつかなくなり、いつもより色の薄い便や白い便が出るようになります。
前述のとおり、胆嚢がんには初期症状がほとんどありません。そのため、健康診断の腹部エコー検査などをきっかけに発見されることが多くなってきています。このほか、胆嚢がんの患者の70~90%に胆石症がみられることから、先に胆石症と診断され、胆石発作や胆石の手術をしたときに偶然胆嚢がんが発見されることもあります。
このように胆嚢がんは偶然見つかることも少なくないがんなので、無症状のうちから定期的に健康診断を受けるなどの健康管理を行うようにしましょう。
胆嚢の内側に発生するできものの総称を“胆嚢ポリープ”といいます。胆嚢ポリープには、胆嚢がんのような悪性のものから、コレステロールポリープをはじめとする良性のものまでさまざまな種類があります。
中でも良性の場合は特別な治療をせずに様子を見ることが一般的ですが、種類によってはがんの原因となる恐れがある胆嚢ポリープもあります。大きさが10mmを超えると胆嚢がんのリスクが高くなることが分かっています。胆嚢ポリープも通常は無症状で経過し、健康診断の超音波検査などで偶然に発見されるため、胆嚢ポリープが発見されたらどんな種類なのかを検査するため、精密検査を受けることが大切です。
2022年現在、胆嚢がんを発見するための特定のがん検診はありません。しかしごくまれにみられる先天性の病気“膵胆管合流異常症”がある場合、60~90%の割合で胆嚢がんを合併することが分かっています。該当する方はたとえ症状がなくても一度医療機関を受診してみることを検討しましょう。
また発症リスクを高める要因のない方でも、定期的な健康診断を受診し、気になる症状があれば医療機関を受診することを検討しましょう。
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