たいしつせいおうだん

体質性黄疸

目次

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概要

体質性黄疸とは、肝臓でおこなわれるビリルビンという物質の分解に先天的な障害があることを指します。ビリルビンは黄色の色素を持ち、何らかの原因で体内に溜まると皮膚や眼球の黄染などさまざま症状が現れます。

血液中には、酸素を運搬する重要な働きをする赤血球という細胞があります。赤血球にはヘモグロビンという物質があり、酸素と結合して体中の組織に酸素を運搬しています。赤血球は骨髄で作られ寿命は約120日です。古くなったり傷ついたりした赤血球は、脾臓のマクロファージという貪食細胞によって分解されます。

脾臓では赤血球の分解によって間接ビリルビンという物質を生成して、これは肝臓へ運ばれます。肝臓内ではいくつかのグルクロン酸抱合酵素の働きで間接ビリルビンがグルクロン酸に抱合されて直接ビリルビンとなり、胆汁の成分として十二指腸に排出されます。十二指腸内に排出された直接ビリルビンは、小腸の常在菌の作用によって再び間接ビリルビンになり、それがさらに還元されウロビリノーゲンという物質になり、尿や便と共に体外へ排出されます。

原因

体質性黄疸には4つの種類があり、肝臓でのビリルビン分解のどの段階に障害があるかで分類されています。

Gilbert症候群

全人口の3~7%に見られます。肝臓への間接ビリルビンの取り込みが十分に行えないことや、グルクロン酸抱合の障害によって正常な代謝が行えず、間接ビリルビンが上昇します。常染色体優性遺伝による家族性発生が多いといわれています。

Crigler-Najjar症候群

  • Ⅰ型:グルクロン酸抱合酵素が産生されないことで、ビリルビン代謝が完全に行われず、間接ビリルビンが上昇します。常染色体劣性遺伝によるものです。
  • Ⅱ型:グルクロン酸抱合酵素の活性が低下することで生じます。1型の軽症型で、大半は常染色体劣性遺伝様式を取ります。

Dubin-Johnson症候群

肝臓でグルクロン酸抱合を受けて生成した直接ビリルビンの排出が障害されることによって生じます。直接ビリルビンを胆汁へ排出するために必要な特定のタンパク質が欠損していることで発症します。

Rotor症候群

非常にまれな病気ですが、日本では沖縄県での発生が多く報告されています。原因は正確に解明されていませんが、直接ビリルビンの胆のうへの排出や肝臓への間接ビリルビンの取り込みに障害があると考えられています。

症状

症状や程度は種類によって異なります。

Gilbert症候群

過労時や絶食時に軽度な黄疸が見られるのみです。自覚症状はほとんどありません。

Crigler-Najjar症候群

Ⅰ型は非常に予後が悪く、生後数日で重症核黄疸に至ります。一方、Ⅱ型は生後数日で中等度~高度な黄疸が出現してしばらく続きますが、その後は軽快し、日常生活が可能になります。

Dubin-Johnson症候群

多くの場合は黄疸以外症状がないものの、慢性的な全身倦怠感を訴えて発見されることもあります。また軽度の肝腫大が見られることがあります。

Rotor症候群

中等度の黄疸を指摘されることがありますが、ほとんどは無症状です。

検査・診断

Criger-Najjar症候群Ⅰ型以外は予後良好といわれています。原因不明の黄疸が続き、肝機能や胆道系酵素の異常は見られず、各種肝炎ウイルスも陰性であり、その他の血液疾患や胆道閉塞疾患などが見られない場合に体質性黄疸が疑われます。体質性黄疸の検査は4種類でほぼ共通した検査が行われます。

血液検査

Gilbert症候群とCrigier-Najjar症候群では間接ビリルビン、Dubin-Johnson症候群とRotor症候群は直接ビリルビンが上昇します。

ICG検査

インドシアニン・グリーンという特殊な色素を用いて、肝機能や肝予備能を調べる検査です。

BSP検査

早朝空腹時にBSPを注射して、45分後の体内残存率によって肝臓の異物排出能を評価する検査です。

腹部CT・MRI検査

黄疸の原因となる肝臓や胆道系の病気がないかを確認するための検査です。

低カロリー食試験

Gilbert症候群で行われる検査です。Gilbert症候群の方が1日あたり400kcalの食事制限を2日間行うと、間接ビリルビン値が2倍以上に上昇します。健康な方でも食事制限によって間接ビリルビン値の軽度な上昇が見られることがありますが、この反応はGilbert症候群で特徴的なものです。

腹腔鏡検査

腹腔内に内視鏡を挿入して直接肝臓の状態を観察する検査です。体質性黄疸では肝機能異常はほとんどありませんが、Dubin-Johnson症候群では肝臓が黒く変色した状態が観察されます。

肝生検

肝臓に針を刺して組織の一部を採取して、病理学的検査を行うものです。黄疸の原因となる肝臓の異常が存在しないかを確認できます。またDubin-Johnson症候群では肝細胞内に褐色色素顆粒の存在が確認できます。

治療

Crigier-Najjar症候群Ⅰ型では、早期から交換輸血や光線療法が行われます。確実な治療法は肝移植です。

その他の病型ではいずれも症状が軽く、特に治療は必要ありません。皮膚の掻痒感や外見上の黄疸が気になる場合は、フェノバルビタールの投与によって改善します。