概要
骨軟部腫瘍とは、骨に生じる「骨腫瘍」と、筋肉・脂肪・血管・神経などの骨や臓器以外の柔らかい組織(軟部組織)に生じる「軟部腫瘍」の二つを合わせた総称です。
胃腸・肺など外界に接する臓器に生じる腫瘍と比べると発生頻度は多くはありませんが、骨や軟骨や軟部組織にも腫瘍(できもの、良性・悪性含む)は発生します。また、骨や軟部組織に発生した悪性の腫瘍は「肉腫」と呼ばれます。そして、体の表面や内腔を覆う細胞から生じた悪性の腫瘍を「がん」と呼ぶため、骨軟部腫瘍は悪性の場合でも「骨がん」といった言葉は使用せず、骨肉腫などと呼称します。
原因
骨軟部腫瘍とは、一般的に原発性で、何らかの遺伝子の異常により、細胞が正常の分裂サイクルを失って、過度に増殖することで起こります。いくつかの腫瘍では、染色体の転座や遺伝子変異が判明していますが、どうしてそういった変化が起こるのかは分かっていません。
また、悪性の骨軟部腫瘍は、大人より子供の方が発生頻度の多い場合もありますが、なぜ子供や赤ちゃんに骨軟部腫瘍が多く起こるのか、その理由もいまだ不明です(2019年1月時点)。これに対し、がんが骨に転移して、腫瘍となる場合を転移性骨腫瘍といいます。
症状
骨や軟部組織は全身にあるので、全身にさまざまな症状が現れることがあります。
骨肉腫では、ひざ周辺・股関節周辺・腕の付け根などの病変の生じた骨に軽い痛みが起こったり、骨がもろくなって骨折しやすくなったりする(病的骨折)といった症状が見られることが多いです。
また、横紋筋肉腫という軟部腫瘍では、腫瘍が発生した部位の腫れや痛みだけでなく、腫瘍が周囲を圧迫することによって、鼻血、血尿、排尿障害、便秘、腹痛などのさまざまな症状が見られることがあります。横紋筋肉腫は、すでに筋肉になっている細胞だけでなく、筋肉になるはずだった細胞がある部位から生じるため、全身のどこにでも起こる可能性があります。
検査・診断
いつ頃からどのような症状があるかを確認するための問診を行います。また、触診を行い、必要に応じて単純X線撮影(レントゲン)・超音波検査・CT・MRI・PET・血管造影・シンチグラフィ(腫瘍部分に集まりやすい性質を持つ薬に放射性物質を結び付けたものを投与する検査)などの画像検査、血液検査・尿検査・骨髄検査などを行います。腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で見る生検もよく行われます(針生検や切開生検)。
検査結果をもとに、どこの細胞から生じた腫瘍なのか、良性なのか悪性なのか、全身の臓器に転移はないかなどを判断します。
治療
良性腫瘍の場合、見た目や体の動きに問題があるようであれば手術で切除することもあります。または、手術治療は行わず、定期的な画像検査によって様子を見る場合もあります。
悪性腫瘍(肉腫)の場合、手術・薬物治療・放射線治療などを組み合わせて治療を行います。たとえば、骨軟部の悪性腫瘍(肉腫)が四肢に生じた際には、手術をする場合においても事前に抗がん剤を使用して病巣を小さくします。それによって、できるだけ四肢を温存するといった試みが行われています。
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