骨や軟部組織など間葉系組織といわれる部位に発生する原発性の悪性腫瘍は「肉腫」と呼ばれ、肺など上皮系組織に発生する悪性腫瘍(=狭い意味でのがん)と区別されます。肉腫はがんに比べ発生頻度が低く、正しい情報を得ることが難しい、5大がんなど頻度の高いがんに比べて診療体制が十分に整っていないなどの課題が多くあります。本記事では悪性骨軟部腫瘍(骨や軟部の肉腫)について、国立がん研究センター中央病院 希少がんセンター長 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科 科長 川井 章先生にお話しいただきました。
骨に発生した原発性の悪性腫瘍のことを「原発性悪性骨腫瘍(骨の肉腫)」、続発性の悪性腫瘍のことを「転移性悪性骨腫瘍(骨転移)」、軟部組織から発生した原発性の悪性腫瘍のことを「原発性悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)」といいます。軟部組織は、肝臓や肺などの臓器と骨や皮膚を除いた、筋肉・腱(けん)・脂肪・血管・リンパ管・神経・関節などを指します。したがって、軟部肉腫は手足や胴体のほかにも、頭頸部やお腹のなかなど、軟部組織のある身体のさまざまな部位に発生します。
「肉腫」は「がん」に比べて発生頻度が大変低い(肉腫はがんの約1%)ため、非専門施設では診断までに時間を要すことも多く、ガイドラインなど適切な治療方針も十分に整備されていないのが現状です。また、肉腫は骨・筋肉・神経・血管・脂肪などさまざまな組織から発生するためにその種類も多く、顕微鏡による診断名の確定(病理診断)にも専門的な知識が必要となります。
原発性悪性骨腫瘍や悪性軟部腫瘍は発生頻度が少ない「希少がん」の一種です。近年、「希少がん」は、その受けられる医療において、頻度の高い他のがんよりも不利な状況に置かれていることが指摘されています。そのため、記事6「国立がん研究センターに新設された希少がんセンター」でも述べるとおり、我が国では、「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」を設置するなど、がん推進基本計画にもとづき、希少がんに対する取り組みを強化しています。
上記のデータは、アメリカのSEERと呼ばれる疫学データから引用したものです。今後は、現在進んでいる全国がん登録によって、日本で収集された日本人の疫学データが得られることが期待されます。
骨自体から悪性腫瘍が発生したものです。組織学的に次のような種類があります。
骨は骨組織から成り、骨組織を形成するものが骨細胞です。骨肉腫は悪性の腫瘍細胞自体が骨組織を形成するもの、と定義されています。年齢は10歳代が最も多く、女性に比べて男性にやや多い傾向があります。
骨肉腫に次いで頻度の高い原発性悪性骨腫瘍です。腫瘍細胞が軟骨を形成します。40歳以上の中・高年に多く発生します。
3番目に多い原発性悪性骨腫瘍です。10歳前から20歳代などの小児や若年者の骨や軟部組織に好発する肉腫です。
悪性線維性組織球腫(あくせいせんいせいそしききゅうしゅ:MFH)、線維肉腫、脊索腫(せきさくしゅ)、アダマンチノーマなどの病気があります。その他に所属する骨の肉腫は、それぞれ日本で年間50人ほどしか発生しない、きわめてまれな病気です。
肺がんや乳がんなどの他の部位に発生した悪性腫瘍が骨へ転移したものです。原発性悪性骨腫瘍が非常にまれな病気であるのに対し、転移性悪性骨腫瘍は多くの進行した“がん”の骨への転移で生じるため、非常に頻度が高い疾患です。なかでも、乳がん、前立腺がん、肺がん、腎がん、甲状腺がんなどは高い頻度で骨に転移することが知られています。
軟部肉腫の種類は大変多く、組織学的には50種類以上にも分類されます。そのなかでも発生率が高いものには次のようなものがあります。
国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科長(希少がんセンター長)
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