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せきさくしゅ

脊索腫

最終更新日:
2024年05月28日
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2024/05/28
更新しました
2020/05/15
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概要

脊索腫とは、胎生期にみられる“脊索”という構造の組織から発生する腫瘍(しゅよう)です。

脊索腫は、頭蓋底(頭蓋骨の底の部分)と仙骨(骨盤の中央にある骨が出ている部分)に多く発生します。非常にまれな病気で、年間の発症者は100万人に1人との報告もあります。

根本的な治療は手術による腫瘍の摘出です。脊索腫は急激に進行して大きくなることはほとんどありませんが、他の部位への転移を起こす確率が高いため、手術以外の治療法の開発も進められています。

原因

脊索腫の発症メカニズムは、現時点で明確には解明されていません。

脊索は、胎生期に脳の下部からお尻付近まで一筋に走行する構造物で、脊椎(背骨)が形成されていない胎児の体を支えています。胎児が成長していく段階で、脊索の周りに脊椎が形成され、正常であれば脊索自体は退化します。しかし、何らかの原因で脊索の組織の一部が成長後も体内に残ると、そこから腫瘍が発生することがあります。

症状

脊索腫の症状は発生する部位によって大きく異なります。

脊索腫の半数は仙骨部に発生するとされており、発症すると仙骨部にしこりを触れるようになります。通常は腫瘍自体に痛みなどはありませんが、仙骨周囲の神経を巻き込んで進行すると、下肢のしびれや痛み、麻痺、排尿・排便の異常を引き起こすことがあります。

仙骨部に次いで多いとされる頭蓋底の脊索腫は、脳から分布している視神経をはじめとした脳神経などを巻き込みながら大きくなっていくため、視力や視野の障害、嚥下障害、声のかすれなどを引き起こします。また、腫瘍は頭蓋骨を破壊しながら大きくなっていくため、頭蓋底に近い鼻や喉に腫瘍が広がると、嗅覚障害や鼻閉などの症状が現れることも少なくありません。さらに、頭蓋内圧が上昇することで頭痛、吐き気・嘔吐などの症状を伴うこともあります。

しかし、脊索腫は比較的ゆっくり進行していくため、自覚症状がないことも多く、脳ドックなどで偶然発見されるケースも多々あります。

検査・診断

脊索腫が疑われるときは次のような検査が行われます。

CT、MRI検査

腫瘍の存在を確認するだけでなく、位置・大きさ・周辺組織への広がりなどを評価するうえでも必須の検査です。特に、造影剤を用いて行う“造影MRI検査”は腫瘍組織のタイプをある程度鑑別でき、脊髄や脳へのダメージを評価することが可能なため、積極的に行われます。

X線検査

脊索腫は、周囲の骨を破壊しながら大きくなる性質があるため、骨の状態を評価することを目的としてX線検査を行うことがあります。

生検・病理検査

脊索腫の確定診断には、腫瘍組織の一部を採取(生検)し、顕微鏡で詳しく調べる病理検査が必要となります。

仙骨部など脊椎周囲に発生したものは、皮膚から針を刺して腫瘍の組織を採取できます。しかし、頭蓋底に生じた脊索腫は生検が難しいことも多く、診断のために病理検査が必須と考えられるときは神経内視鏡を用いた生検が行われます。

治療

脊索腫の治療では、基本的に腫瘍を摘出する手術を行いますが、全ての症例で手術を行うわけではありません。頭蓋底に腫瘍が発生した場合などは、手術によって周囲の正常な脳にダメージを与える可能性があるため、事前に再発リスクや脳へのダメージを最小限に抑える治療戦略をたてます。手術方法は開頭術・経鼻手術・経口手術などさまざまですが、最近では、神経内視鏡を用いた鼻腔手術によって腫瘍を摘出することも可能です。

また、手術で腫瘍を取り切れなかった場合や手術が難しいときは、ガンマナイフ、サイバーナイフ、重粒子線治療、強度変調放射線治療などの腫瘍局所への照射が可能な放射線治療が行われます。

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