こつにくしゅ

骨肉腫

骨・関節

目次

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概要

骨肉腫とは、骨を起源として発症した悪性腫瘍です。発症年齢としては10歳代が多く、女性に比べて男性にやや多い傾向があります。日本での年間発生は200〜300例ほどといわれており、悪性腫瘍全体からみると頻度は低く、まれな病気とされています。

骨肉腫は種類や病状の進行度に応じて、手術療法、化学療法、放射線療法を組み合わせて治療が行われます。治療に関連した長期的な合併症を考慮する視点も重要ですあり、病気になったことで生じる精神的な影響も含めて、きめ細やかなサポート体制が必要となります。

原因

骨肉腫の発生には、遺伝子異常が原因になっているのではないかと考えられているものがあります。例としては、網膜芽細胞腫遺伝子と呼ばれることもある「RB遺伝子」に関連した骨肉腫です。

細胞が正常な活動を送り増殖するためには、遺伝子情報が含まれるDNAが正確に増幅される必要があります。しかし細胞活動を通してDNAに傷が入り遺伝子情報に間違いが生じると、細胞が異常な動態を示すようになり、がんなどの病気の発症につながる可能性があります。そのため、体内にはこうした異常なDNAを増やさないような仕組みが備わっており、RB遺伝子はそのうちのひとつとして挙げられます。

RB遺伝子は、損傷を受けたDNAを持つ細胞がそれ以上誤って増殖しないように抑制する、ブレーキとしての役割を果たしています。RB遺伝子がうまく機能しない状況では、異常な細胞増殖が引き起こされることになり、これが骨肉腫発生に関与していると考えられています。また、「p53」と呼ばれる遺伝子異常も骨肉腫発生に関わると考えられています。

さらに、放射線照射やある種の化学物質(ベリリウム化合物など)、ウイルスなども骨肉腫の発生に関わっているのではないかと推定されています。しかしながら、すべてのケースにおいてこうした変化がみられるわけではなく、骨肉腫の原因について完全に解明されているわけではありません。

症状

骨肉腫の好発部位は、大腿骨遠位部・脛骨近位部・上腕骨近位部などです。発生部位に関連して痛みが現れるようになります。しかし実際は、痛みの原因が関節や靭帯の損傷、あるいは成長痛であることのほうが圧倒的に多く、発症頻度から考えると、骨肉腫である可能性は非常に低いといえます。

よくある筋肉痛や靭帯損傷ではなく、骨肉腫を疑う状況としては、湿布など消炎鎮痛治療を受けて3~4週間たってもひかないようなしつこい痛み、夜間や運動をしていないときに同じところが痛む、関節から少し離れたところが痛む、痛いところが腫れているなどです。

検査・診断

骨肉腫の診断は、画像検査と病理検査が主体となります。

画像検査

画像検査では、レントゲン写真やCT、MRIが行われます。骨の局所での病変の進行度合いの評価に加えて、骨肉腫で転移を起こしやすい肺の病状検索も重要です。CTやMRI検査では、全身臓器への転移や周囲組織(神経や血管など)との位置関係を、より正確に評価することが可能です。診察・画像検査の結果から、病変がどのような性格のものなのかある程度予想することができます。

病理組織検査

最終的な確定診断は、腫瘍の組織を採取して顕微鏡で調べる病理組織検査によって行われます。病理組織検査のために組織や細胞を採取することを生検といい、大きく分けて針生検と切開生検の2通りの方法を選択して最終診断を行います。

治療

骨肉腫の治療方法は、骨肉腫のタイプや病気の進行具合に応じて、手術や化学療法、放射線療法などから選択されます。

手術の目標は、以下2つです。

(1)腫瘍の原発巣を完全に切除すること

(2)腫瘍とともに切除した骨や関節を再建し患肢機能を回復すること

放射線療法は腫瘍に放射線を照射し、腫瘍を死滅させる方法です。腫瘍の大きさや場所によって、手術のみでの完全切除が困難な場合に、補助的な治療法として使用されることがあります。化学療法は腫瘍の組織型に応じて複数の薬剤を組み合わせて行います。

骨肉腫の治療においては、術前化学療法、原発巣外科治療、術後化学療法という1年ほどの集学的な治療方法の流れをとることで、長期生存率の向上が図られています。