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骨肉腫は大人が発症することもある ~大人の骨肉腫の特徴や、ほかの病気との違いとは?~

骨肉腫は大人が発症することもある ~大人の骨肉腫の特徴や、ほかの病気との違いとは?~
川井 章 先生

国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科長(希少がんセンター長)

川井 章 先生

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骨肉腫は骨にできるがんの一種で、年間の診断数は全国で200~300例程度とまれながん(希少がん)です。好発年齢は10歳代で全体の約60%を占めますが、高齢でも発症することがあり、大人でも骨肉腫のリスクはゼロとはいえません。また、日本における骨軟部腫瘍登録によると、以前は例外的と考えられていた大人の骨肉腫の登録数が、近年徐々に増えていることも明らかにされています。

では、大人の骨肉腫にはどのような特徴があるのでしょうか。

大人(成人)が発症する骨肉腫の原因はいまだ不明ですが、いくつかのリスク因子も知られています。リスク因子としては、遺伝的な要因、放射線治療歴、特定の抗がん剤による治療歴などが考えられます。

遺伝的な要因

リーフラウメニ症候群、遺伝性網膜芽細胞腫などの遺伝子の異常が、骨肉腫の発症に関係している可能性があるといわれています。

リーフラウメニ症候群は、細胞のがん化を防ぐ腫瘍抑制遺伝子(p53遺伝子)の変異で起こる遺伝子異常です。骨肉腫をはじめ、さまざまながんが発生しやすくなることが知られています。また、遺伝性網膜芽細胞腫は、網膜芽細胞腫遺伝子(Rb遺伝子)の異常によって生じる幼児期の眼(網膜)の腫瘍で、成人まで問題がなかった場合には骨肉腫の因子としては除外してもよいと考えられます。

そのほか、50歳以上の中・高齢者に見られる病気として、遺伝が関連して新しい骨細胞が異常に増殖する骨パジェット病という病気があります。パジェット病患者は約1%の割合で骨肉腫などが生じるとされています。

治療歴

放射線療法などによる電離放射線の被曝によって骨肉腫のリスクが高まることが知られています。たとえば、子宮がんに対する放射線治療の後、数年後に骨盤骨に骨肉腫が発生するケースがあります。治療による線量が増えればリスクも増加しますが、年齢の経過とともにリスクは減少するとされています。

そのほか、アルキル化剤などの抗がん剤による治療歴がある人も骨肉腫のリスクが高まることが報告されています。

骨肉腫の症状としては、腫瘍が発生した部位の痛みや腫れが大多数を占めます。まれに、大腿骨などの長管骨に発生した骨肉腫が骨折を生じてから見つかることもありますが、この場合も、骨折を生じる前から、歩行時などの痛みを感じている場合がほとんどです。

骨肉腫は大腿骨やすねの骨の膝関節に近いところに発生する割合が全体の60~70%程度にのぼり、次いで多い発症部位が肩に近い上腕骨とされています。しかし、大人の骨肉腫は、骨盤や脊椎など体幹に発生する頻度が高いため、注意する必要があります。

ただし、ある程度の年齢で膝や股関節が痛い場合は、年齢からくる関節痛の場合がほとんどであるため、過度に心配する必要はありません。

高齢で骨肉腫に似た四肢の痛みなどの症状を生じるもっとも頻度の高い病気は、変形性関節症などの変性性疾患です。変形性関節症とは、関節軟骨の摩耗(まもう)に引き続いて、関節下骨、関節包などに障害を生じ、歩行時などの痛みを生じるものです。一方骨肉腫は、関節そのものに痛みを生じることは少なく、関節からやや離れた部位(骨幹端部)に痛みや腫脹を感じるのに対して、変形性関節症では、関節の隙間(関節裂隙)に痛みを感じる点が異なります。

大人が感じる体の節々の痛みは、年齢を重ねるにしたがいさまざまな原因で生じます。これに対して、骨肉腫は非常にまれな病気であるため、過度に骨肉腫を恐れる必要はありません。もし気になる症状がある場合は、ほかの病気の可能性も含めて整形外科の医師に相談するとよいでしょう。また、人間ドックや健康診断が大切なセーフティーネットになることも知っておくとよいでしょう。

骨肉腫の症状の特徴として、関節から離れた部位の痛みや腫れが1月以上経っても治らない、夜間や安静にしているときでも痛む、痛みや腫れ、局所の熱っぽさが次第に悪化しているなどが挙げられます。このような症状が、大腿骨や、膝関節付近、肩に近い上腕骨などに現れ、治らない場合は、ほかの病気との鑑別のためにも、整形外科の受診を検討するようにしましょう。

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