骨軟部腫瘍の診断は、痛みや腫れなどの症状の診察と画像検査と病理組織検査によって行われます。画像診断では腫瘍の場所や大きさ、広がりなどを調べることができます。しかし、腫瘍の良・悪性、どのような性格の腫瘍かなどの最終的な診断確定のためには、病理組織検査で腫瘍の組織や細胞を顕微鏡で調べることが必須です。これらの確定診断が得られたあと、病気の種類や患者さんの状況に合わせた治療法が検討されます。本記事では、骨軟部腫瘍の診断と検査について、国立がん研究センター中央病院 希少がんセンター長 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科 科長 川井 章先生にお話しいただきました。
⑴診察
どのような症状がいつ頃から生じ、どのように変化したのかを患者さんに尋ね(問診)、患部を見て(視診)、触れて(触診)、腫瘍の大きさや形・硬さ・痛み・熱感・リンパ節の腫れなどを診察するとともに、患者さんの全身状態も診察します。
⑵画像検査
CTやMRIは、単純X線写真ではわかりにくい骨盤や脊椎など、体の深部に発生した腫瘍の位置や大きさ、広がり、石灰化(軟部組織にカルシウムが沈着する現象)の有無、腫瘍の性状などをみるために重要な検査です。肺などの内臓への転移の有無を詳しく調べたり、続発性悪性骨腫瘍の原発腫瘍を探すときなどにも役立ちます。腫瘍の骨内外への広がり、血管、神経など重要な組織との関係をみることができます。
⑶病理組織検査
診察・画像検査の結果から、病変がどのような性格のものなのかある程度予想することができます。しかし、診察や画像検査はあくまでも身体の奥にある病気を見たり、触れることで推測した診断にすぎません。最終的な確定診断は、腫瘍の組織を採取して顕微鏡で調べること(病理組織検査)によって行われます。
病理組織検査のために組織や細胞を採取することを「生検」といい、大きく分けて針生検と切開生検の2通りの方法があります。
腫瘍を専用の針で刺して細胞や組織片を採取する方法です。局所麻酔で行うこともできる検査ですが、硬い骨や病変が深部である場合には診断に十分な組織が得られないこともあります。
手術のように病変の一部を採取する方法です。手術や入院などの負担はありますが、針生検に比べ十分な組織を採取して検査することが可能です。
近年では、採取した組織からタンパク質や遺伝子を抽出して解析を行うことによって、より迅速かつ正確な診断ができるようになってきました。
⑴視診と触診
深い場所に発生した硬い腫瘍は、悪性の危険性も否定できません。特に大きさが5cm(ゴルフボール)を超える腫瘍は注意が必要です。
⑵画像検査
軟部肉腫の診断は、骨腫瘍と同様に、医師による診察と画像検査と病理組織検査によって行われます。軟部肉腫の画像診断ではMRI検査がもっとも有用です。MRI検査によって、腫瘍の形や広がり、部位、性状を詳細に捉えることができます。軟部肉腫は、肺への遠隔転移を起こすことがあるため、病期の決定には胸部CTの施行も重要です。
⑶病理組織検査
悪性骨腫瘍と同様、確定診断を得るためには病理組織検査が必須です。悪性軟部腫瘍は種類も多く(50種類以上)、病理診断が難しい腫瘍の一つです。適切な治療のためには、正確な病理診断が非常に重要です。
国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科長(希少がんセンター長)
関連の医療相談が11件あります
軟部肉腫について
膝下に高さ2センチ直径5センチの硬くて痛みがないコブがあります。 以前からありましたが 検査などの放射被曝で良性が悪性なると書いていました。膝の数枚のレントゲンや造影CT、胃のバリウム検査のあと倍の大きさになった様に思い。いま病理検査待ちです。検査結果でるまで心配で辛く。肉腫では? 針生検のとき。先生が硬いな。繊維?といわれたのが気になります。 レントゲン、CT.MRIは悪いものじゃ無いと思う。とはいわれましたが。
腺癌の専門の病院
今日 結果を聞いて抗がん剤治療をします。と言われたが、ほかにどんな治療があるか知りたい
骨嚢腫の治療
左足親指の骨が痛くて違和感があり整形外科受診。レントゲンで骨に空洞があるのでMRI検査施行。骨嚢腫についてと原因や完治するのか?治療方法やそれに要する日数等詳しく教えてほしいです。
子宮の鈍痛が続いている
お世話になります。 1ヶ月ほど前から、生理以外で子宮の鈍痛が続いています。 以前より子宮内膜症、子宮筋腫は持病としてあるのですが、関係ありますでしょうか。他の病気も考えられますでしょうか。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「骨軟部腫瘍」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。