概要
悪性線維性組織球腫とは、骨のがんである原発性悪性骨肉腫のひとつです。原発性悪性骨肉腫のなかでは骨肉腫や軟骨肉腫、ユーイング肉腫の頻度が高く、悪性線維性組織球腫はそれらに比べると頻度が低くまれな疾患ですが、20歳代後半から発症頻度が増えてくることが知られています。手術によって病変部位を切除することが治療の基本ですが、状況によっては化学療法や放射線療法が行われることもあります。
原因
悪性線維性組織球腫の原因は明らかではありませんが、一部の患者さんでは遺伝子異常の関与も指摘されています。
たとえば、RB1遺伝子と呼ばれる遺伝子に生まれつきの異常を有する方は、網膜芽細胞腫、平滑筋肉腫などと同様に、悪性線維性組織球腫を発症するリスクが高まることが知られています。
その他にも、治療として用いられた放射線の影響によって、悪性線維性組織球腫が発生することもあります。
症状
初期には、骨や関節が腫れたり、その部位に痛みを感じたりすることがありますが、腫れは数週間から数か月の間に一気に大きくなることが多いです。また、骨が非常にもろくなって、本来では骨折を来さないほどの力が加わるだけで骨折を起こすこともあります。
肺に転移することが多い疾患であるため、咳や呼吸困難などの呼吸器症状も出現する可能性があります。
検査・診断
骨や関節に腫れや痛みが出現した際には、レントゲン写真やCT、MRIなどの画像検査にて腫瘍の有無を確認します。悪性が疑われる際には、組織の一部を採取して顕微鏡でその性状を調べる病理検査を行います。
同じような症状を引き起こす悪性腫瘍として骨肉腫や軟骨肉腫などさまざまなものがあるため、病理検査による鑑別診断は必須です。
悪性線維性組織球腫は、肺を中心に全身に転移する可能性があるため、全身への病気の広がりを評価するためにPETCTなどが行われます。病気の広がり具合に応じて、治療方針は決定されます。
治療
悪性線維性組織球腫において、中心となる治療法は手術による腫瘍の切除です。良好な治療成績を得るためには、病変部位を完全に切除することが重要となります。また、四肢に再発した場合には、罹患した肢を切断することも考慮されます。なお、進行の程度によっては化学療法や放射線療法といった治療が行われることもあります。
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