けっかんしゅ

血管腫

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

血管腫とは、血管が拡張したり増殖したりすることによってできる良性腫瘍のことを指します。医学的に血管内皮細胞の増殖を伴うものは血管腫、増殖を伴わず脈管の形成異常によるものは血管奇形と分類されています。

血管腫には、乳児血管腫(いちご状血管腫)や房状血管腫などがあります。血管奇形には、ポートワイン母斑(単純性血管腫)や海綿状血管腫、動静脈奇形などがあります。

原因

出生時にすでに生じているものもあれば、成長過程で出現してくるものもあります。遺伝は例外的です。

症状

乳児血管腫

生後間もなく出現する紅斑で、ときに腫瘤様に増大します。1歳以降になると自然退縮し、多くは学童期までに消失します。

房状血管腫

臨床像はさまざまですが、丘疹や小結節を伴う紅斑、または紅色~紫色の皮下硬結を呈することが比較的多いとされています。いずれの例でもしばしば痛みを伴います。

小型の病変は自然退縮する場合もありますが、大型ではカサバッハ・メリット症候群(巨大血管腫内の出血による全身状態の悪化、ときに致死的となる)の原因になりうるので注意が必要です。

ポートワイン母斑

出生時から存在する扁平な紅斑で、基本的に自然消退はしませんが例外もあります。眉間や前額正中に生じるものはサーモンパッチと呼ばれ、大部分は自然消退します。後頚部に生じるものはウンナ母斑と呼ばれ、成人までに自然消退することがあります。

海綿状血管腫

出生時から存在する、淡い青味を伴った軟らかい皮下腫瘤です。

動静脈奇形

出生時から存在し、初期はポートワイン母斑に似た紅斑です。思春期や妊娠時に増大します。完成すると触診で振動を感じ、悪化すると痛みや出血、潰瘍を伴います。

検査・診断

基本的には病歴と視診・触診から診断します。湿疹など他の発赤と鑑別困難な場合は、ダーモスコピー検査が有効です。皮下腫瘤を形成している場合は、エコーやMRI検査で病変の範囲や深さ、血流の有無を調べ、治療方針を立てていきます。

治療

乳児血管腫

基本的には経過観察で自然消失を待ちます。口唇や眼瞼など圧迫による機能異常のおそれがある場合は、色素レーザーにより早期治癒を目指すこともあります。内服薬による治療を選択することおあります。

房状血管腫

ステロイド外用・局注・内服やトラニラスト内服を組み合わせ、可能であれば病変切除も検討します。小型であれば自然退縮の可能性を考え経過観察としますが、増大が早い場合はカサバッハ・メリット症候群に注意して慎重に対応します。

ポートワイン母斑

色素レーザーが第一選択です。場合によってはカバーメイクも用いられます。

海綿状血管腫

小さければ切除、大きければ硬化療法やコイル塞栓術などの選択肢があります。口腔内病変には凍結療法が有効です。

動静脈奇形

初期は経過観察が可能ですが、小さければ切除も選択肢となります。大型のものは動脈塞栓術を行うこともありますが、再発リスクが高いのが難点です。

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