けっかんしゅ

血管腫

最終更新日
2024年02月22日
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2024/02/22
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

血管腫とは、血管を形づくる血管内皮細胞が異常に増殖したり、血管成分が異常に集合したりすることで腫瘍(しゅよう)や赤いあざのような病変ができる病気の総称です。

一般的に血管腫と呼ばれるものには、血管腫(血管性腫瘍)と血管奇形の2つがあります。血管腫と血管奇形は根本的には異なる病気と考えられていますが、医師の間でも分類や呼び名が統一されていません。国際的な分類であるISSVA分類では、血管を形作っている血管内皮細胞の増殖があるものを血管腫、血管内皮細胞の増殖がなく血管が異常に集合しているものを血管奇形と呼んでいます。

血管腫の代表的なものには乳児性血管腫があり、血管奇形の代表的なものには毛細血管奇形などがあります。いずれも生後間もない時期か、生まれつきみられることが多いといわれています。性別の割合をみると、血管腫は女子に多く、血管奇形には男女差はありません。

*血管腫(血管腫瘍)は、本来は血管由来の腫瘍という意味であり、血管内皮腫や血管周皮腫、血管肉腫などの良性あるいは悪性の腫瘍を指します。幼少児においては乳児血管腫がこれにあたります。
かねてより、腫瘍としての要素がなく“異常”と呼ぶべきものを含め、幼少児に生じる血管病変全般を“血管腫”と呼ぶ慣わしがありました。近年、医療界の一部では“血管腫”という言葉の用いられ方は正しくないと認識されていますが、多くの小児科医は従来の意味で使用していることなどを踏まえ、本記事では血管腫を従来の意味で使いつつ、この言葉が含む各種病変について解説します。また本記事では、血管肉腫や血管内皮腫などの正真正銘の血管腫瘍については触れず、小児において“血管腫”と呼ばれている各種血管病変について解説します。

種類

従来から血管腫と呼ばれているものには、血管腫と血管奇形があります。

血管を形づくる血管内皮細胞の増殖がある場合は血管腫と呼ばれ、血管内皮細胞の増殖がなく、血管が異常に集合しているものが血管奇形と呼ばれています。

血管腫

血管内皮細胞が異常に増殖したものです。病変は時間の経過とともに増殖し、ピークを迎えたものは縮小して消失することが一般的です。

ほとんどが乳児性血管腫で、従来はいちご状血管腫と呼ばれていたものに相当します。胎生期に増殖ピークを迎える先天性血管腫と呼ばれるものもあります。

血管奇形

血管が異常に集合して固まりになったものです。血管腫と異なり血管内皮細胞が増殖したり縮小したりすることはなく、治療しなければ消失することはありません。

集合する血管の種類によって毛細血管奇形、静脈奇形、リンパ管奇形、動静脈奇形があります。

原因

血管腫の多くは生まれつきのもので、血管の発生に異常が起こることで生じたものであると考えられています。なぜ血管の異常が起こるかについて、詳しい原因は分かっていませんが、何らかの遺伝子異常が関わっていると考えられています。

症状

血管腫の種類によって症状が異なります。

大まかな違いとして、血管腫は皮膚が赤く盛り上がる隆起性腫瘍で、一度増殖した後に縮小することが多いといわれています。血管奇形は時間の経過とともに色や大きさが変化することはあっても、多くのケースで自然に縮小することはありません*

*単純性血管腫という血管奇形の中には、新生児の約20%にみられるサーモンパッチのように自然に消失するものもある。

血管腫の症状

乳児血管腫

生後間もなくして赤い斑点ができ、1歳ごろまでに急速に大きくなり、その後自然に縮小します。ピーク時にはイチゴのように大きく赤く盛り上がることもあります。

血管奇形

毛細血管奇形

生まれた時からみられる赤く平坦なあざのことです。動脈と静脈の間にある毛細血管が異常に増えて集まった状態とされています。

多くの場合、自然には消失せず、色が濃くなったり大きくなったりすることがあります。

静脈奇形

生まれつきみられる静脈の異常です。静脈の部分が大きくなったり、こぶのようになったりすることもあります。

静脈奇形が生じる部位や大きさ、深さはさまざまで、体の表面から青く透けて見えたり、手足に生じた場合は手足を下げるとふくらんだりすることが多いです。

動静脈奇形

血管の構造の異常により、動脈と静脈が直接つながっている病気です。通常の血管には動脈と静脈の間に細い血管(毛細血管)があります。しかし、動静脈奇形では、毛細血管をはさまずに動脈から静脈に血液が通り抜けるため、血流が早くなってしまいます。このことから動脈の圧が静脈にかかり、皮膚の赤み、拍動性の瘤、出血、痛み、心臓への負担など進行性の症状がみられることがあります。

検査・診断

病変の見た目やしこりの有無、固さ、発症時期、出血の有無などの症状をもとに診断されます。検査を必要としないことも多く、乳児血管腫以外の血管腫が疑われる場合や、合併症が疑われる場合などに検査が行われます。

検査では、超音波、MRI、CT、X線などの画像検査や病理検査、血液検査などが行われます。

治療

血管腫の治療法は種類によって異なります。代表的な血管腫の治療法には以下のものがあります。

乳児血管腫

基本的には経過観察で自然に小さくなります。プロプラノロールと呼ばれる成分を含む薬の内服や、レーザー治療を行うことでより早く赤みが消えることがあります。

毛細血管奇形

多くの場合は自然に縮小しないため、レーザー治療や手術が行われます。

静脈奇形

手術や特殊な薬を病変に直接注入して縮小させる硬化療法があります。治療方法は部位や大きさによって異なり、MRIや超音波検査などによって決定します。

動静脈奇形

病変が小さい場合はそのまま手術で切除できる場合もあります。病変が大きい場合は事前に血管をふさぐ治療を行い、その後手術を行う方法もありますが、根治的な治療が困難な場合もあります。

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