びょうてきこっせつ

病的骨折

骨・関節

目次

項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

概要

何らかの病気により骨が脆くなっていると、健康な骨ならば骨折を起こさないような小さな外力により、骨折してしまうことがあります。

たとえば、肺がんや乳がんなどが骨に転移し、がん細胞に侵された骨が荷重に耐えられなくなって骨折を来すことがあります。病的骨折を引き起こした際には、骨折そのものに対する治療アプローチのほか、原疾患(がんなど原因となった病気)に対する治療が重要です。
 

原因

病的骨折の原因となる疾患には、骨に発生するがん、骨に転移したがん、などがあります。病的骨折は、これらの病気により骨が弱くなっており、軽微な外力がかかったときなどに発生します。

骨に発生するがん(原発性悪性骨腫瘍)

骨に発生するがんには、骨肉腫(こつにくしゅ)軟骨肉腫(なんこつにくしゅ)、ユーイング肉腫、骨巨細胞腫(こつきょさいぼうにくしゅ)などがあります。これらのがんが進行すると、がんが発生した部位の骨が脆くなり、病的骨折を起こすことがあります。好発部位は以下のとおりです。

  • 骨肉腫:膝や肩の周囲の骨に発生しやすい。
  • 軟骨肉腫:太ももの骨(大腿骨(だいたいこつ))や骨盤、上腕の骨に発生しやすい。
  • ユーイング肉腫:大腿骨や骨盤、脊椎(せきつい)(背骨)に発生しやすい。

これらの原発性悪性骨腫瘍の患者数は少なく、「希少がん」の代表とされています。

骨に転移したがん(転移性骨腫瘍)

原発性悪性骨腫瘍とは異なり、もともと他の臓器で発生したがんが、血液やリンパの流れにのって骨に転移するものを指します。骨転移することが多いがんとしては、肺がんや乳がん、前立腺がんなどが知られています。

転移しやすい部位はがんの種類により変わりますが、脊椎、骨盤、肋骨(ろっこつ)などの体幹部、大腿骨や上腕骨などの体幹に近い四肢長管骨(手足の長い骨)などに多いといわれています。

症状

転移性のがんは、脊椎(せきつい)(背骨)、骨盤、大腿骨(だいたいこつ)(太ももの骨)などに発生することが多いといわれています。これらの骨は体重を支える荷重部の骨でもあるため、荷重に耐えられなくなり病的骨折を起こすと歩行などの日常生活動作(ADL)に影響が及びます。

また痛みが動作時・安静時によらず生じる傾向があり、疼痛を緩和するための治療を受けなければQOL(生活の質)の低下することがあります。
 

検査・診断

骨折そのものは、X線(レントゲン)検査により診断することができます。骨折の原因が転移性骨腫瘍だと考えられるときには、CT、MRI、PET(ポシトロン断層撮影)や骨シンチグラフィーなどが行われます。

治療

骨折に対する治療と原因疾患に対する治療が行われます。たとえば、がんの骨転移が原因となっているときの治療方法は、がんの種類や性質、骨折の状態、患者さんの状態などに合わせて、さまざまな選択肢から決定されます。

治療選択肢の一例は下記になります。

  • 鎮痛薬
  • 放射線療法
  • 手術
  • 骨修飾薬(骨の破壊を抑える薬)
  • アイソトープ治療
  • 骨セメント(骨を補強するためのセメント) など

大腿骨やすねにある脛骨(けいこつ)などに骨折が生じているときには、患部に体重がかからないよう松葉杖などを使用することがあります。保存療法では期待する効果を得られない場合に、骨セメントなどを用いた使った手術や腫瘍用人工関節を使った手術が検討されることもあります。