概要
病的骨折とは、何らかの病気が原因で骨の強度が低下して生じる骨折を指します。通常、骨は外力が加わっても簡単に折れないように適度な強度を保っています。しかし、骨粗鬆症や骨腫瘍、転移性のがん、骨軟化症、骨形成不全症、化膿性骨髄炎などの病気が原因で骨の強度が低下すると、些細な外力が一度加わっただけで骨折することがあります。
一般的には患部の痛みや腫れなどの症状がみられますが、軽度な痛みしか生じないケースも少なくありません。治療としては痛みに対する対症療法(鎮痛薬の投与など)と、骨折部の固定や手術などを行います。行う処置については通常の骨折と大きく変わりませんが、病的骨折の場合は原因となっている病気に対しても治療を行います。
原因
病気が原因で骨の強度が低下すると病的骨折が生じやすくなります。骨粗鬆症や骨腫瘍、転移性のがんなどが代表的な原因として挙げられます。
そのほか、血液中のカルシウム濃度が過剰になる副甲状腺機能亢進症、骨が正常に形成されないくる病や骨軟化症、骨に炎症が生じる化膿性骨髄炎や骨結核、遺伝的に生まれつき骨が弱く、もろい骨形成不全症なども、原因として挙げられます。
骨の状態によっては、つまずきや階段の上り下りなどの動作が骨折の原因になることがあります。
症状
一般的には骨折部位の痛みや腫れなどが生じるものの、痛みの程度はさまざまです。激痛が生じる場合もありますが、軽度な症状のみで骨折に気付かないケースもあります。
また、椎体骨折など骨折する部位によっては,神経が圧迫されて麻痺を生じ,歩行が困難になるなど日常生活に支障をきたすこともあります。
検査・診断
病的骨折が疑われる場合は、X線検査で骨の状態を確認します。X線検査ではっきりとした骨折が分からない場合は、CT検査やMRI検査などを行います。原因となる病気の精査のため、骨密度検査や血液検査,骨生検を行うこともあります。
治療
病的骨折の基本的な治療としては、痛みに対する鎮痛薬の投与や骨折部の固定、あるいは手術が行われます。そのほか、骨折の原因となる病気に対する治療を行い、正常な骨を作る機能の回復を目指します。
骨形成不全症など根本的な治療がない病気が原因となっている場合には、骨折予防のために、骨折しやすい骨の中に金属を挿入して強度を強める手術を行うことがあります。
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