ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう

副甲状腺機能亢進症

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概要

副甲状腺機能亢進症(hyperparathyroidism)とは、副甲状腺ホルモンが過剰に存在することから引き起こされる病気を指します。副甲状腺とはその名前から推察されるように、首に存在する甲状腺の近傍に存在する組織を指します。副甲状腺ホルモンは体内のカルシウムバランスを適切に保つために必要不可欠なホルモンであり、副甲状腺機能亢進症ではカルシウムバランスの異常に関連した症状が引き起こされることになります。  副甲状腺機能亢進症の頻度は日本では2,500〜3,000人に1人といわれ、男女比は1:3で、特に閉経後の女性に多いとされています。副甲状腺機能亢進症は原因や病態などから次のように分類されます。  副甲状腺機能亢進症は、原発性副甲状腺機能亢進症と二次性副甲状腺機能亢進症、三次性副甲状腺機能亢進症の三つに分類することが可能です。原発性副甲状腺機能亢進症とは、副甲状腺そのものが異常を示す結果、必要以上の副甲状腺ホルモンが分泌されている状態です。副甲状腺に対しての手術が治療の基本になります。  二次性副甲状腺機能亢進症とは、副甲状腺以外の臓器が原因となりカルシウムバランスに異常が生じている結果、副次的に副甲状腺の機能が亢進している状態を指します。治療は、カルシウムバランスの異常を起こしている臓器に対しての治療が求められます。  三次的副甲状腺機能亢進症とは、副甲状腺に長期的に刺激が入る結果、副甲状腺が腫瘍化してしまっている状態を指します。

原因

 副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることから生じる病気を指します。副甲状腺とは甲状腺の近くにある米粒大の組織を指しますが、合計4つ存在しています。副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモンは、血中のカルシウムの濃度を正常に保つために重要な働きをしています。すなわち、血液中のカルシウムが下がるような場合には、副甲状腺ホルモンが分泌され、骨や小腸、腎臓に働きかけることでカルシム濃度を上昇させるようにしています。逆にカルシウムの濃度が高い状態においては、ホルモンの分泌は抑えられます。副甲状腺機能亢進症では、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されている状態であり、常時カルシウムが高くなるよう方向付けられてしまっています。  副甲状腺機能亢進症は、原発性副甲状腺機能亢進症と二次性副甲状腺機能亢進症、三次性副甲状腺機能亢進症の三つに分類することが可能です。  原発性副甲状腺機能亢進症とは、副甲状腺の異常そのものからホルモンが大量に分泌されるようになっている状態を指します。副甲状腺ホルモンが大量に分泌される原因は、副甲状腺に腺腫や過形成、がんが発生しているためです。多くの場合はなぜこうした腺腫などが発生するのかは判っていませんが、一部遺伝子異常が原因となっていることも知られています。この原因のひとつが、多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia; MEN)です。多発性内分泌腫瘍症は複数の内分泌臓器および非内分泌臓器に良性・悪性の腫瘍が多発する症候群で、この症候群の病変のひとつに副甲状腺機能亢進症があります。  二次性副甲状腺機能亢進症とは、副甲状腺以外の臓器が原因となりカルシウムバランスが異常を来すようになり、それに反応する形で副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるようになった状態を指します。代表的なものとしては腎性副甲状腺機能亢進症を挙げることができます。その他にも薬剤(リチウム)、短腸症候群などが原因となることがあります。

症状

 副甲状腺機能亢進症による症状は、とても判りにくいものであり、注意しなければそれと気付くことができないことも多々あります。例えば、疲れやすい、注意力が散漫でぼーっとしている、いらいら感などです。症状が強いとうつ状態になる方もいます。こうした精神的な症状以外に吐き気や腹痛、尿路結石などの症状を見ることもあります。症状がさらに進行すると、多尿やそれに付随した多飲、膵炎、血圧上昇なども見るようになります。カルシウムの濃度が異常に高くなる場合には、意識障害を呈することもあります。  また、副甲状腺ホルモンはカルシウム代謝に密接に関わっていることから、副甲状腺機能亢進症では骨にも異常を来すことがあります。骨の量が減り、骨が弱くなって関節痛や腰痛を起こします。また、骨痛や骨変形や病的骨折などを起こしやすくなります。

検査・診断

 副甲状腺機能亢進症は血液検査において血液中のカルシウムが高いと言うことから疑うことができ、特に人間ドックにおいてこうしたことから診断にいたることも稀ではありません。副甲状腺機能亢進症ではカルシムの値以外にもリンにも影響が及ぶことが知られおり、リンの値が低くなることも同時に観察されます。その後、血液中の副甲状腺ホルモンが上昇していることを確認することから、副甲状腺機能亢進症を診断します。  さらに、副甲状腺機能亢進症では超音波検査やMIBIシンチグラムなどの画像検査も併用されます。こうした検査を行うことで、腫瘍の位置を確認したり、副甲状腺ホルモンを産生する腫瘍なのかどうかを確認したりします。

治療

 副甲状腺機能亢進症の治療方法は、原発性なのか二次性なのかに応じて大きく異なります。  原発性副甲状腺機能亢進症の治療は、手術によって副甲状腺ホルモンを産生している腫瘍を摘出することが治療の基本になります。副甲状腺機能亢進症を生じている腫瘍は、多くの場合良性であるため、適切な治療を受けることで完治を期待することが可能です。  二次性副甲状腺機能亢進症の治療は、薬物治療や外科手術などが組み合わされて行われます。二次性副甲状腺機能亢進症の主要原因は、慢性腎臓病であるため、腎臓病に対しての治療アプローチを行うことは必須です。具体的には、血液中のリンを低下させることを目的としたリン吸着剤、カルシウムを上昇させるためのカルシウム製剤やビタミンD製剤などです。状況によっては外科手術で副甲状腺を摘出し、前腕などに移植することが行われることもあります。  2008年より、シナカルセトという薬が使用可能となりました。この薬は、カルシウムの受容体に作用して、血液中の副甲状腺ホルモンやカルシウムを下げる効果があります。原発性副甲状腺機能亢進症副甲状腺がんや副甲状腺の摘出が不可能な、術後に再発した原発性副甲状腺機能亢進症で高カルシウム血症を示す方に使用することができます。二次性副甲状腺機能亢進症では、維持血液透析の方に使用可能です。この薬によって副甲状腺を摘出する手術数が減少傾向にあります。

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