インタビュー

副甲状腺機能亢進症の検査-副甲状腺ホルモンとカルシウムの値が重要

副甲状腺機能亢進症の検査-副甲状腺ホルモンとカルシウムの値が重要
冨永 芳博 先生

名古屋第二赤十字病院 内分泌外科部長

冨永 芳博 先生

この記事の最終更新は2016年05月04日です。

前の記事「副甲状腺機能亢進症の症状-気づかずに過ごしている人も少なくない」で、副甲状腺機能亢進症は、健康診断や他の病気の検診などで偶然発見されることがほとんどであるとご説明しました。副甲状腺機能亢進症は、血液検査によって血液中の副甲状腺ホルモンやカルシウムの値が高い場合に診断されます。本記事では、副甲状腺機能亢進症の検査と鑑別(見分けること)すべき疾患について、名古屋第二赤十字病院 内分泌外科部長 冨永芳博先生にお話しいただきました。

そのほか、超音波検査、MIBIシンチグラムなどの画像診断によって副甲状腺の腫大や位置を確認します。また後述するように(参考記事「副甲状腺機能亢進症の治療-病態によって手術と薬物が選択される」)、腺腫であるか多発性内分泌腫瘍症(MEN)であるかによって手術の術式がかわるため、術前に鑑別が必要です。

記事3「副甲状腺機能亢進症の症状-気づかずに過ごしている人も少なくない」でも述べたとおり、原発性副甲状腺機能亢進症では、過剰に骨からカルシウムが溶け出すため、骨のカルシウムが減少して骨粗しょう症を引き起こすことがあります。アルカリホスファターゼ(ALP)、骨型ALP、オステオカルシン値などの骨代謝マーカー(骨の状態を評価するために用いられる血中や尿中から測定できる物質)などの値や骨量を検査することもあります。

多くの場合、副甲状腺ホルモン値とカルシウム値が高値であることで、原発性副甲状腺機能亢進症と診断ができますが、次の2つは鑑別が難しい病気です。

家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症(FHH)

遺伝性のカルシウム受容体異常の病気です。受容体の異常により、尿中のカルシウムが低くなり血液中のカルシウム値が上がってしまう病気です。自覚症状はありません。副甲状腺ホルモンの値が高い場合もあるため、鑑別が難しいことが少なくありません。ただし、Cca/Ccrという数値が0.01以下であることで鑑別ができることがあります。

Normo calcemic primary hyperparathyroidism:正カルシウム性原発性副甲状腺機能亢進症

通常、副甲状腺機能亢進症は副甲状腺ホルモンもカルシウムも高値ですが、この病気は、カルシウム値は正常にもかかわらず副甲状腺ホルモンが高値になる病気です。副甲状腺ホルモンが高値であるため、副甲状腺機能亢進症の早期の病態あるいは病気のひとつとの考え方があり、まだ明らかではありません。

 

【冨永芳博先生の著書】

副甲状腺機能亢進症の外科

 

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