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インタビュー

副甲状腺機能亢進症の治療-病態によって手術と薬物が選択される

副甲状腺機能亢進症の治療-病態によって手術と薬物が選択される
冨永 芳博 先生

冨永 芳博 先生

副甲状腺機能亢進症の治療は、原発性と二次性(続発性)によって異なります。近年は副甲状腺ホルモンをコントロールする薬剤も発売され、治療の選択肢が増えたといえます。本記事では、副甲状腺機能亢進症の治療について、名古屋第二赤十字病院 内分泌外科部長 冨永芳博先生にお話しいただきました。

従来からの方法で、4つすべての副甲状腺を調べ、腫大した摘出すべき副甲状腺を目視で確認する方法があります。腫大した副甲状腺のみを摘出します。この方法は安全かつ有効(再発や病態の持続を防ぐことができる)であることがわかっていますが、小さい副甲状腺をみつけるには医師の経験や技術が求められるといえます。

ただし、記事2「副甲状腺機能亢進症の原因-原発性と二次性(続発性)で原因が異なる」でも述べたとおり原発性副甲状腺機能亢進症の約90%の方が、1つの副甲状腺しか腫大していないため、腺腫ではより局所での摘出方法(低侵襲手術)が広まっています。低侵襲で手術を行う場合、成功させるには以下のような条件が必要になります。

  • 多発性内分泌腫瘍症(MEN)ではなく、腫大した副甲状腺が1つであること、腎不全ではないこと
  • 超音波検査とMIBIシンチグラムを用いて腫大した副甲状腺の位置を確認できること(ただし、画像診断では正確に位置を確認することが難しい場合があるため、手術中の執刀医の技術が必要)
  • 術中に副甲状腺ホルモンを測定して、腫大した副甲状腺の摘出後に副甲状腺ホルモンが下がっていることが確認できること

先述したとおり、画像診断で副甲状腺の位置が正確に映し出されない場合もあります。また副甲状腺が正常の位置(甲状腺の裏)ではなく、縦隔や顎の下から発見されることもあります。さらに小さい臓器で発見しづらいことに加え、喉仏の狭い場所での手術になりますので、副甲状腺の摘出手術は執刀医や内分泌病理医の経験や技術が非常に重要となります。

  • カルシウム、リンなどのコントロール

二次性副甲状腺機能亢進症の主な原因は慢性腎臓病です。腎性副甲状腺機能亢進症ではリンの上昇(高リン血症)、カルシウムの低下、ビタミンDの低下が起こります。日本透析医学会が発行するガイドラインに、カルシウムやリンの目標値が定められています。この目標値に維持するために、以下の薬を使用します。

①リンを下げる

  • リン吸着剤(炭酸カルシウム、塩酸セベラマー、炭酸ランタンなど)

②カルシウムを上げる

  • 高カルシウム透析液
  • カルシウム製剤
  • ビタミンD製剤

③ビタミンDを上げる

  • 活性型ビタミンDの補充(ただし、活性型ビタミンDは小腸からカルシウムとリンの吸収を増加させるため、高カルシウム血症と高リン血症には注意が必要)
  • 副甲状腺ホルモンのコントロール

2008年より、シナカルセト(商品名:レグパラ®)という薬が使用可能となりました。この薬は、カルシウムの受容体に作用して、血液中の副甲状腺ホルモンやカルシウムを下げる効果があります。原発性副甲状腺機能亢進症副甲状腺がんや副甲状腺の摘出が不可能な、術後に再発した原発性副甲状腺機能亢進症で高カルシウム血症を示す方に使用することができます。二次性副甲状腺機能亢進症では、維持血液透析の方に使用可能です。この薬によって副甲状腺を摘出する手術数が減少傾向にあります。しかし、根治治療ではないため薬を飲み続ける必要があります。ですから、費用や副作用の面を考慮して医師と治療法を相談されるのがよいでしょう。

腎性副甲状腺機能亢進症では、副甲状腺をすべて摘出し、摘出した副甲状腺の一部を前腕などに移植する方法が一般的に行われています。腎不全は副甲状腺を摘出したあとも継続しますので、副甲状腺への刺激は継続します。副甲状腺を喉元(正常の位置)に残すと、その残しておいた副甲状腺が再度大きくなることがあります。喉には声を出す神経(反回神経)がありますので、合併症を防ぐためにも前腕に移植して、腫大した場合は前腕を手術します。

副甲状腺の腫大が大きく、結節性(かたまり)となっている場合は薬物治療では副甲状腺ホルモンやカルシウム・リンのコントロールが難しいため、手術が選択されることが多くあります。

腫大した副甲状腺にアルコールの一種であるエタノールを注入することによって副甲状腺を壊死させる方法です。腫大している副甲状腺の位置がわかっている場合に用いられていましたが、近年は治療効果や合併症の観点から、件数が減少傾向にあります。

 

【冨永芳博先生の著書】

副甲状腺機能亢進症の外科

 

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