原因
副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることから生じる病気を指します。副甲状腺とは甲状腺の近くにある米粒大の組織を指しますが、合計4つ存在しています。副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモンは、血中のカルシウムの濃度を正常に保つために重要な働きをしています。すなわち、血液中のカルシウムが下がるような場合には、副甲状腺ホルモンが分泌され、骨や小腸、腎臓に働きかけることでカルシム濃度を上昇させるようにしています。逆にカルシウムの濃度が高い状態においては、ホルモンの分泌は抑えられます。副甲状腺機能亢進症では、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されている状態であり、常時カルシウムが高くなるよう方向付けられてしまっています。 副甲状腺機能亢進症は、原発性副甲状腺機能亢進症と二次性副甲状腺機能亢進症、三次性副甲状腺機能亢進症の三つに分類することが可能です。 原発性副甲状腺機能亢進症とは、副甲状腺の異常そのものからホルモンが大量に分泌されるようになっている状態を指します。副甲状腺ホルモンが大量に分泌される原因は、副甲状腺に腺腫や過形成、がんが発生しているためです。多くの場合はなぜこうした腺腫などが発生するのかは判っていませんが、一部遺伝子異常が原因となっていることも知られています。この原因のひとつが、多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia; MEN)です。多発性内分泌腫瘍症は複数の内分泌臓器および非内分泌臓器に良性・悪性の腫瘍が多発する症候群で、この症候群の病変のひとつに副甲状腺機能亢進症があります。 二次性副甲状腺機能亢進症とは、副甲状腺以外の臓器が原因となりカルシウムバランスが異常を来すようになり、それに反応する形で副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるようになった状態を指します。代表的なものとしては腎性副甲状腺機能亢進症を挙げることができます。その他にも薬剤(リチウム)、短腸症候群などが原因となることがあります。
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