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しょうにがん

小児がん

最終更新日:
2024年05月01日
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2024/05/01
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2021/07/12
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2020/11/09
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概要

小児がんとは、一般的に15歳未満の小児に発生するがんの総称です。

小児がんの約3割は白血病で最も多く、次いで脳腫瘍(のうしゅよう)、リンパ腫と続きます。また、成人ではまれな神経芽腫(しんけいがしゅ)や腎芽腫(ウイルムス腫瘍)、肝芽腫などのように胎児期の細胞が出生後も体内に残って増殖することで発症するがんや、網膜芽腫など遺伝が関与するがんもみられます。

小児がんの治療は、成人のがんと同じく、手術、薬物療法(化学療法)、放射線治療、造血幹細胞移植、免疫療法などが必要に応じて行われます。小児がんは進行が速いといわれていますが、成人と比べて治療効果が高いのが特徴です。

一方で、小児がんは成長期に長期入院が必要となるケースも多く、学業や日常生活に支障が生じる可能性があるほか、抗がん薬や放射線の影響で生殖機能に障害が生じることもあります。がんを治すことだけでなく、長期的に生じる合併症への対策も重要となります。

原因

小児がんの原因は、がんの種類によって大きく異なります。

たとえば、小児がんの多くを占める白血病脳腫瘍にはそれぞれ多様なタイプがあり、遺伝子の変異が関与しているものもあれば、はっきりした発症メカニズムが解明されていないものもあります。

また、成人にはまれで小児に発症しやすいがんとして、“芽腫”と呼ばれるタイプのがん(胎児性腫瘍)があります。芽腫には神経芽腫、腎芽腫、肝芽腫などがあり、胎生期に交感神経や腎臓、肝臓などに分化するはずの細胞の一部が体内に残り、出生後に異常増殖することで発症すると考えられています。

症状

小児がんの症状も、がんの種類によって大きく異なります。

小児がんの最多を占める白血病は、発症すると正常な血液の細胞が作られにくくなるため、風邪をひきやすくなる、鼻血や歯茎からの出血が生じやすくなるといった症状や、貧血による動悸、倦怠感、息切れなどが現れます。

脳腫瘍を発症した場合は、手足の麻痺、視力・視野障害、けいれん、性格や行動の変化などの神経症状が現れ、進行すると意識障害や呼吸機能の低下などを引き起こすこともあります。

そのほか、腎臓や肝臓、骨などに発生するがんでは、大きなしこりや痛みなどの症状が現れるほか、がんが発生した臓器の機能低下に伴い血尿や腹痛、麻痺などさまざまな症状が現れることもあります。

検査・診断

小児がんが疑われるときは、がんの種類によって次のような検査が適宜行われます。

血液検査

白血球、赤血球、血小板など血液細胞数の異常や炎症の有無、腎臓や肝臓の機能などを調べます。また、がんの種類によっては特定の腫瘍マーカー(がんを発症すると体内で産生される物質)が上昇するため、診断の手がかりの1つとして血液中の腫瘍マーカーの値を調べることもあります。

画像検査

臓器、骨、神経などに発生するがんが疑われる場合は、病変の有無を確認するためにX線、CT、MRI、PET、超音波などを用いた画像検査が行われます。

一般的には超音波検査やCT検査など簡易的に行うことができる検査を実施し、病変が発見されたらMRIやPETなどを用いて精密検査を行います。

骨髄検査

白血病が疑われる場合は、骨髄の状態を評価するために骨髄を採取して顕微鏡で詳しく観察します。白血病のタイプや重症度などを評価し、治療方針を決めるうえで重要な検査です。

遺伝子検査

小児がんの中には、網膜芽腫やウイルムス腫瘍などのように遺伝子の異常が関与しているタイプのがんもあります。これらのがんが疑われるときは、診断の手がかりとして採取した血液を使用して遺伝子検査を行うことがあります。

治療

小児がんと診断された場合は、がんの種類によって主に次のような治療が行われます。

手術

脳腫瘍神経芽腫肝芽腫、腎芽腫、骨腫瘍などしこりを形成するがんは、手術が困難な部位に発生したケースを除いて基本的には手術による切除が行われます。

診断時に手術が困難と判断された場合は、先に抗がん薬治療を行なって腫瘍を小さくしてから手術を行うこともあります。また、再発などを予防するために、手術後に抗がん薬治療や放射線治療を併用するケースもあります。

薬物療法(化学療法)

小児がんは、白血病をはじめとして抗がん薬や分子標的治療薬などによる薬物療法が効きやすいといわれています。がんの種類によって使用される薬剤は異なりますが、医学の進歩によって薬物療法のみで完治するケースも増えています。

放射線治療

脳腫瘍など臓器や骨、神経などに発生するがんの中には放射線治療が非常に効くタイプのがんもあります。これらのがんではX線、電子線、陽子線などの放射線治療が行われますが、卵巣や精巣などの機能にダメージを与えることも多いため実施の可否には慎重な判断が求められます。

造血幹細胞移植

小児がんでもっとも多い白血病は、薬物療法のみで治癒するケースも多いものの、十分な効果が得られない場合は血液細胞のもととなる正常な造血幹細胞を移植する治療が行われます。

免疫療法

生体内の免疫細胞には、がん細胞を攻撃する能力を持つものもありますが、細胞のはたらきが弱まるなどしてがん細胞を十分に攻撃できないことがあります。免疫療法は、免疫細胞の能力を増幅したり、一度体外に取り出した免疫細胞を活性化させた後に患者へ投与したりすることで、がんを攻撃する治療法です。具体的には免疫チェックポイント阻害薬の投与*や、採取した自分の免疫細胞に遺伝子を組み込む遺伝子治療CAR-T細胞療法**があり、小児がんの治療にも導入されつつあります。

*小児がんにおける免疫チェックポイント阻害薬治療の適応は、再発・難治性のホジキンリンパ腫のみ(2024年4月現在)。

**小児がんにおけるCAR-T細胞療法の適応は、再発・難治性でCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病のみ(2024年4月現在)。

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