しんけいがしゅ

神経芽腫

神経

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概要

神経芽腫とは、自律神経の一つである交感神経から発生する腫瘍です。交感神経細胞が存在する交感神経節や腎臓の上に位置する副腎で発生する頻度が高いと報告されています。小児、とくに1歳までの乳児で診断される場合が多く、2019年現在、日本では毎年約150~200名が神経芽腫と診断されています。また、小児の固形腫瘍では、脳腫瘍に次いで2番目に多く認められます。

原因

多様な悪性度を示す神経芽腫ですが、その予後に関連する因子、遺伝子がいくつか報告されています。まず挙げられるのは、診断時の年齢です。一般的に、診断時年齢が1歳未満であれば予後良好であるといわれています。

そのほか、MYCNという遺伝子の増幅や染色体数の異常も予後を左右する重要な因子と考えられており、腫瘍の悪性度を判定する際にも取り入れられています。

症状

神経芽腫が発生初期の段階では、無症状であることがほとんどです。進行すると、お腹が異常に大きい、お腹に硬いしこりがあるといった症状が認められる場合があります。幼児ではすでに転移している症例も多く、発熱、貧血、頻繁にぐずる、歩かない、まぶたが腫れる、骨の痛みなどの転移した臓器に基づく多様な症状が認められます。

検査・診断

神経芽腫が疑われる場合には、まず尿検査と血液検査が実施されます。神経芽腫では、カテコールアミンという物質を産生する腫瘍細胞が増殖します。カテコールアミンは、体内で代謝されたのち、尿中にHVA(ホモバニリン酸)やVMA(バニリルマンデル酸)として排出されます。そのため、一部の神経芽腫を除き、尿検査にて確認することが可能です。血液検査では、NSE(神経特異エノラーゼ)、LDH、フェリチンなどが高値を示すことがあります。

血液検査や尿検査で神経芽腫が疑われる場合、画像検査にて腫瘍の発生部位を特定します。画像検査には超音波検査、単純エックス線検査、CT,MRIといったものが挙げられます。また、放射性同位体(ラジオアイソトープ)を利用したMIBGシンチグラフィ検査では、腫瘍の発生部位だけでなく、全身への転移の有無を調べることができます。

このほか、神経芽腫は骨や骨髄に転移しやすいことから、骨髄検査が行われます。また、確定診断にあたっては、摘出した腫瘍や生検で一部採取した腫瘍組織を顕微鏡で確認する病理診断が実施されます。

治療

神経芽腫は、自然と小さくなる良性のものから、転移をおこしやすい予後不良のものまで、その悪性度はさまざまです。腫瘍の悪性度、ならびに進行具合によって、治療方法は大きく異なります。日本においては、神経芽腫国際病期分類(INSS分類)による病期、年齢などに基づいて、低リスク、中間リスク、高リスクの3つに分類されます。このリスク分類に応じて、治療方法が決定されます。

低リスク群の場合、腫瘍摘出手術のみの治療となります。全摘出ができなかった場合などは抗がん剤を用いた化学療法が必要となります。

中間リスク群の場合、中等度強度の化学療法がおこなわれ、腫瘍を小さくしたのちに手術を行います。手術で腫瘍が取り切れなかった場合などに、放射線照射を行います。

高リスク群の場合、原発腫瘍が周囲の臓器や血管を巻き込んでいたり、転移していたりすることが多く認められます。そのため、まずは強力な化学療法を行い、原発巣ならびに転移巣の腫瘍を小さくします。その後、手術での全摘出を目指すことになります。術後も化学療法の継続が必要不可欠です。骨への転移がある場合や、限局した腫瘍に対しては、放射線治療が行われることもあります。近年では、術後における自家造血幹細胞移植を併用した抗がん剤治療の実施が増加傾向にあります。

これは、患者さん自身の造血幹細胞を前もって採取しておき、強力な抗がん剤治療を行ったのちに移植を行い、正常な造血機能を回復させる治療方法です。