治療
神経芽腫には、自然と小さくなる良性のものから、転移を起こしやすい予後不良のものまであり、腫瘍の悪性度や進行具合によって治療方法は大きく異なります。
日本では、神経芽腫国際病期分類(INSS分類)による臨床病期*、年齢、腫瘍の遺伝子診断(MYCN遺伝子増幅や染色体数の異常など)、国際病理分類に基づいて、低リスク、中間リスク、高リスクの3つに分類されます。このリスク分類に応じて、治療方法が決定されます。
低リスク群の場合、通常は腫瘍摘出手術のみの治療となります。周囲の臓器との関係で診断時に腫瘍全摘出が難しい場合などは、手術に先立って抗がん薬を用いた比較的軽度の化学療法を行う場合もあります。
中間リスク群の場合、中等度~強度の化学療法を行い、腫瘍を小さくした後に手術を行います。
高リスク群の場合、原発腫瘍が周囲の臓器や血管を巻き込んでいたり、転移していたりすることが多いため、抗がん薬による化学療法や手術による外科療法、放射線療法の組み合わせによる集学的治療が必要です。まずは強力な化学療法を行い、原発巣ならびに転移巣の腫瘍を小さくした後、手術での全摘出を目指します。術後は、化学療法の継続や自家造血幹細胞移植を併用した抗がん薬治療**を行い、原発腫瘍を切除した部位には放射線照射が行われます。近年は化学療法と自家造血幹細胞移植後に、手術と放射線照射を行う方法(遅延局所療法)も行われており、2021年からは神経芽腫表面に存在するジシアロガングリオシド(GD2)を標的とした抗GD2抗体療法が保険認可されています。
*近年さらに新しい分類として、治療前の画像診断を加えた国際神経芽腫リスクグループ病期(INRGSS)も利用されている。
**患者自身の造血幹細胞を前もって採取しておき、強力な抗がん薬治療を行ったのちに移植を行い、正常な造血機能を回復させる治療方法。
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