かーてぃーさいぼうりょうほう

CAR-T細胞療法

同義語
CAR-T治療,CAR-T療法,CAR-T

※この用語は、医学的には病名ではない場合、もしくは病名として認められつつある段階である場合があります。また、医療や身体にまつわる一般的な用語を掲載している場合があります。

最終更新日
2023年12月25日
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2023/12/25
更新しました
2022/06/13
掲載しました。

概要

CAR-T療法とは、患者の血液から作ったCAR-T細胞と呼ばれる細胞を用いたがんの治療方法のことです。CAR-T細胞は患者から採取したT細胞に遺伝子導入を行うことで作られ、がん細胞を選択的に攻撃できるようにしたものです。CAR-T細胞は患者自身の血液を元に製造施設で作られ、点滴で再び患者に投与されます。一度投与されたCAR-T細胞は患者の体内で増殖してがん細胞への攻撃を続けるため、1回の投与で治療が完了します。

CAR-T療法で使用されるCAR-T細胞治療薬は、B細胞性リンパ腫などの血液がんのうち、従来の化学療法や造血幹細胞移植*では効果を示さないものに対して用いられています。

*造血幹細胞移植:血液細胞の元となる“造血幹細胞”を患者に移植する治療法。造血幹細胞を含む骨髄、血液、臍帯血(さいたいけつ)のいずれかを用い、それぞれ“骨髄移植”、“末梢血幹細胞移植(まっしょうけつかんさいぼういしょく)”、“臍帯血移植”と呼ぶ。

目的・効果

CAR-T療法は、B細胞リンパ腫やB細胞性急性リンパ芽球性白血病などの血液がんで、従来の治療では効果を示さないものに対して行われる治療です。特に、免疫細胞の1つであるB細胞ががん化するタイプのがん(B細胞がん)に効果があります。

CAR-T療法とは患者自身の免疫細胞(T細胞)から作ったCAR-T細胞を用いる治療です。CAR-T細胞は遺伝子導入によってCD19抗原と呼ばれるタンパク質を認識するように改変されており、CD19抗原が発現するがん細胞を選択的に攻撃することができます。

リスク

CAR-T療法では、CAR-T細胞の投与後に何らかの副作用が現れることがあります。副作用の種類や頻度はCAR-T細胞治療薬によっても異なりますが、代表的なものにはサイトカイン放出症候群、神経系事象、感染症、貧血、血小板減少(出血)、腫瘍崩壊症候群(しゅようほうかいしょうこうぐん)などがあります。

中でもサイトカイン放出症候群や神経系事象は重篤な場合もあり、治療後早期に現れる場合があることから、CAR-T細胞の投与後は経過観察のために入院することが一般的です。血球細胞が減少することによる感染症、貧血、出血などは、治療から1年以上経っても続くことがあり、日常生活での対策が必要になります。

適応

CAR-T療法の適応はCAR-T細胞治療薬によっても異なりますが、B細胞リンパ腫、濾胞性(ろほうせい)リンパ(しゅ)、急性リンパ芽球性白血病などがあります。

また、CAR-T療法の対象となるかどうかは、上記の病気と診断された人のうち、CAR-T療法の治療歴がない、造血幹細胞移植を受けることができない、治療可能な化学療法がないなどの条件に該当し、主治医がCAR-T療法が必要と判断した場合になります。

さらに合併症の有無、年齢、妊娠の可能性、過去の治療での副作用歴、治療時点での健康状態などによっては、CAR-T療法を受けられない場合があります。

治療の経過

一般的な入院期間

CAR-T療法の入院期間は治療を受ける医療機関や患者の状態などによってさまざまです。

CAR-T細胞の投与は1回のみで終了しますが、CAR-T細胞を投与する前に化学療法による事前治療や投与後の副作用の経過観察のために数日~数週間程度の入院が必要になることがあります。

治療~退院までの流れ

CAR-T療法の流れは医療機関や治療薬の種類により異なる場合がありますが、一般的には以下のとおりです。

  • CAR-T細胞を製造するために、白血球アフェレーシスと呼ばれる方法で治療を受ける人の白血球を取り出します。白血球アフェレーシスには2~4時間程度かかります。
  • 採取した白血球をCAR-T細胞の製造施設に送り、白血球内のT細胞からCAR-T細胞を製造します。CAR-T細胞の製造には、5~6週間程度かかることがあります。この間に病状をコントロールするために、ブリッジング療法と呼ばれる化学療法が行われることもあります。
  • CAR-T細胞の効果を高めるために、CAR-T細胞を投与する数日前からリンパ球を減らすための化学療法を行います。
  • 前処置が完了から数日後に、健康状態を確認したうえで点滴にてCAR-T細胞の投与を行います。
  • CAR-T細胞の投与後は重篤な副作用が現れることがあるため、入院して経過観察を行います。

治療後の経過

入院での経過観察が完了した後も、定期的な通院によって経過観察を続ける必要があります。B細胞数の減少などは治療後長期にわたって続く場合があります。

また、治療後は意識障害やふらつき、感染症にかかりやすくなる、出血が止まりにくくなるなどのさまざまな不調が生じることがあり、生活面での配慮が必要になります。

費用の目安

CAR-T療法は治療費が高額となるため高額療養費制度を利用することができます。高額療養費制度では、年齢や所得に応じて決められる自己負担限度額を超えた費用は払い戻しを受けることができます。

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