NASHは飲酒や肝炎ウイルスの感染がないにもかかわらず、肝臓に脂肪肝を主として炎症、線維化を伴う異変が起こる病気で、放置するとやがて肝硬変や肝がんに進むリスクが高く、日本においても患者が急増しています。ここでは大阪府済生会吹田病院総長の岡上武先生にNASHが急増している背景についてお伺いしました。
米国・メイヨークリニックの病理学者、ルードヴィッヒ氏が肝不全で亡くなった患者さんを解剖したところ、お酒をまったく飲んでいないにもかかわらずアルコール性肝炎と同じような病態を呈していたことを発見しました(1980年)。そこで非アルコール性脂肪肝炎(NASH)という名前がつけられ、この病気が知られるところとなりました。NASHの患者さんをさらにくわしく調べてみると、高頻度に糖尿病・肥満・高脂血症のような今でいう生活習慣病を背景に持っていたことがわかりました。
1986年にシャフナー氏が、アルコールを飲んでいないのにアルコール性肝障害類似の肝障害をきたしている患者さんたちはすべてNASHなのではなく、単に肝臓に脂肪がたまった状態である例も多く、もっと幅の広い非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)という疾患概念を報告しました。
NAFLDのうち多くは単純な脂肪肝(NAFL)で比較的良性の疾患ですが、NAFLDの20%前後は炎症や線維化を伴い進行すると、肝硬変や肝がんに移行する可能性の高い非アルコール性脂肪肝炎(NASH)です。
日本人では男性の25%前後、女性の15%以上がNAFLDで、そのうちの20%(約300万人)がNASHといわれています。しかもこの10年間でNASHから進行した肝がん患者が倍増しています。
NAFLD患者の多くは、肥満・糖尿病・高脂血症・高血圧などの生活習慣病を背景にしており、NAFLDは生活習慣病の肝臓における表現型といわれています。日本においても生活様式の欧米化とともに糖尿病・肥満・高脂血症患者が増えるのと歩調を合わせるようにNAFLDが増え、男性はもちろんのこと、更年期以降の女性や子どものNAFLD増加も問題になっています。
生活習慣病患者は血中インスリンレベルが高いものの、それが充分に働いていない「インスリン抵抗性」を持っているといわれています。インスリンはすい臓で作られて血液をめぐり、運動などに必要なブドウ糖を燃やしてエネルギーに変えるホルモンです。
これまで糖尿病はインスリンがうまく分泌されていないことが原因と考えられていましたが、最近はインスリンが十分あるのに利用されずに血糖値が高くなる糖尿病が増えています。この状態をインスリン抵抗性と呼び、それによって肝臓に脂肪がためこまれ、脂肪肝になってしまうのです。これに脂質過酸化・サイトカイン・腸管からのエンドトキシン・鉄などの酸化ストレスが加わって炎症が生じ、組織の線維増加などにより重症化し、NASHを引き起こすと考えられています。
NASH発症には、皮下脂肪型の肥満よりも内臓脂肪型の肥満が要注意で、糖尿病・高脂血症・高血圧・急激な体重減少や急性飢餓状態・薬剤(タモキシフェン・糖質コルチコイド・アミダオン・合成エストロゲン・ニフェジピンなど)による原因も挙げられます。米国の歌手、カーペンターズのカレン・カーペンターの死因は急激なやせが原因のNASHといわれています。
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脂肪肝について
以前より肝臓の数値が少し高く、脂肪肝など言われダイエット等をしていましたが、また最近太ってしまい、血液検査を2週間前にした所、AST33、ALT72、γ-GTP60、中性脂肪259と言う結果でした。 まず、病院の先生は177cm、90.5kgの私でしたので完全に脂肪肝だと言われました。 ただ、数値を見ても、ダイエットしたら大丈夫との事でした。 なので、ダイエットを始め、運動とバランスの良い食事に心がけ本日までに86.7kgまで落ちてます。 私が心配なのは、肝臓がんや、NASHなどになってないかすごく不安です。 ネットの情報を見たら余計に不安になりました。 ちなみにCRPは0.12mgでした。 また血小板数も23.6万でした。 心配しすぎでしょうか? ちゃんとダイエットすれば大丈夫でしょうか? よろしくお願いします。
γ-gtpが107の場合
献血した後に出る、血液検査結果でγ-gtpが107でした。ほかのGOTなどは基準値でした。 心当たりは主にビールですが、日本酒に換算しますと3合から3.5合位飲んでいたためと思います。言い訳ですが50歳ですが男の一人暮らしで、ストレス解消が酒になってしまったと思います。 両親はどちらも肝臓病で亡くしたので、この数値を見た時は、このままではまずいと思い、酒の量を約半分の1.5合程度にしましたが、これで徐々にでも回復出来るでしょうか?
脂肪肝炎。
脂肪肝炎と診断されたのですが、金銭的に余裕がなく、病院にいけていないのですが、肝臓の数値を下げる薬を飲まなくても大丈夫なのでしょうか?医者からは体重を減らすことが大事と言われたのですが薬を飲まなくても体重を減らしてからでも病院に行くのは遅くないでしょうか?
肝硬変の進行状態を知りたいのと その 治療法
5月20日頃からお腹が張って 26日に 病院に行ったら慢性肝炎から続く 肝硬変ではないか、と言われた。少し 黄疸もで出ていたので、6月3日に針を刺し腹水を抜いた。でも まだお腹の 下腹部に張っている感じが残っているのは どうしてでしょうか? 体形は痩せ型なので お腹が出ると すぐ目立つので よくわかります。 まだ おヘソから下の部分の張りは 残っています。押すと少し痛いです。 今は利尿剤とアミノ酸製剤を 飲んでいます。 後 食事療法です。 この場合 かなり肝硬変は進んでいるのでしょうか? もし進んでいたとして 肝機能を普通に、戻すこと または、進行を止めるのには どのような 方法があるのでしょうか?
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