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肝硬変になった肝臓は再生可能? 他家間葉系幹細胞を用いた肝硬変の最新研究
骨髄中の幹細胞が肝臓の細胞に分化することが発見された後(アメリカで発表された)、寺井先生が、当時所属していた山口大学医学部附属病院では研究進め、その作用を利用して、自己骨髄細胞投与療法を開始しま...
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肝硬変になった肝臓は再生可能? 他家間葉系幹細胞を用いた肝硬変の最新研究

公開日 2017 年 08 月 28 日 | 更新日 2017 年 08 月 28 日

肝硬変になった肝臓は再生可能? 他家間葉系幹細胞を用いた肝硬変の最新研究
寺井 崇二 先生

新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野 教授 新潟大学医歯学総合病院 光学医療診療部 部長 栄養管理部 部長 肝疾患相談センター センター長

寺井 崇二 先生

骨髄中の幹細胞が肝臓の細胞に分化することが発見された後(アメリカで発表された)、寺井先生が、当時所属していた山口大学医学部附属病院では研究進め、その作用を利用して、自己骨髄細胞投与療法を開始しました(2003年11月実施)。最初は、肝硬変患者さん自身の骨髄液から骨髄細胞を投与するというものでしたが2017年現在、他の方からの(他家)脂肪由来の間葉系幹細胞を患者さんに投与するという研究が進められています。

今回は、記事1『肝硬変とは神経症状や黄疸、腹水などの症状がでる疾患 原因から治療法まで』に引き続き、寺井崇二先生に自己骨髄細胞投与療法の方法や効果、治験が開始される他家の間葉系細胞の移植といった新しい研究についてお話をうかがいました。

自己骨髄細胞投与療法を開始

私が2015年まで勤務していた山口大学医学部附属病院にて、2003年11月に、自己骨髄細胞投与療法を実施しました。

自己骨髄細胞投与療法は、まず患者さんに全身麻酔をかけます。その後、腰から400ミリリットルの骨髄液を採取します。そして、必要な細胞だけが含まれる骨髄液にするため、洗浄を行い、患者さんの体内へ戻すという流れです。この治療法は1日かけて行われます。当時、肝硬変の患者さんから骨髄液を採取するというのは世界初の試みでした。

自己骨髄細胞投与療法の効果

自己骨髄細胞投与療法の結果、患者さんのアルブミン値は上昇しました。アルブミンは肝臓で作られるたんぱく質のため、アルブミン値が上昇したということは、肝機能が改善されているということです。また、黄疸や脳症といった症状も改善傾向にあり、線維化により表面がでこぼこしていた肝臓も、滑らかになりました。

さまざまな土地での臨床研究でわかったこと

2003年から、私は、山口県の他山形県、沖縄県、国外では韓国などのあらゆる土地で自己骨髄細胞投与療法を行いました。そして、数々の患者さんの臨床研究をもとにわかったことは、肝硬変の治療において線維化を改善させることは、肝臓の再生力向上につながるということです。また、長期的に結果をみてもさまざまな値が改善していることがわかりました。

培養自己骨髄細胞を用いた肝臓再生療法

全身麻酔という課題

頭を抱えている人

自己骨髄細胞投与療法は大変効果のある治療法です。しかし、患者さんから約400ミリリットルの骨髄液を採取するには、全身麻酔をかける必要があります。全身麻酔は患者さんへの負担が大きいため、ビリルビン*値が低く、全身麻酔に耐えられる肝硬変の患者さんだけが対象でした。そのため、多くの患者さんに対して治療を断らざるおえない状況でした。

*ビリルビン……ヘモグロビンから作られる、血中の黄色い色素。

採取量を減らし局所麻酔で対応

注射

そこで、山口大学医学部附属病院では、より多くの患者さんに自己骨髄細胞投与療法を行うために、培養自己骨髄細胞を用いた肝臓再生療法を研究し開発しました。これは採取する骨髄液を減らし、培養して骨髄間葉系幹細胞を増加させてから患者さんに戻す治療法です。

骨髄液の採取量を以前までの約400ミリリットルから、約30ミリリットルまで減らすことで、全身麻酔ではなく局所麻酔で対応できるようになります。局所麻酔による患者さんへの負担を軽減させることで、今までは治療対象外になってしまっていたビリルビン値の高い患者さんでも、培養自己骨髄細胞投与療法を受けることができるようになりました。

培養自己骨髄細胞を用いた肝臓再生療法では、患者さんから採取した骨髄液を約3週間培養して、肝線維化改善作用をもつ間葉系幹細胞を増加させます。そして、培養された細胞の品質や安全性をしっかりと評価したうえで、患者さんの末梢静脈より点滴で投与されます。

培養して間葉系幹細胞の数を増やすことで、骨髄液の量が少なくとも、治療効果が期待できます。この治療法は2017年現在、山口県で5例ほど行われています。

骨髄細胞はどうして作用する? メカニズムの最新研究

?を受かべている人

私は、山口大学から、現在所属している新潟大学に2015年赴任してきた際、自己骨髄細胞投与療法の治療メカニズムを探る研究を始めました。現在は、間葉系幹細胞とマクロファージ*の相互作用がうまく働くと肝機能回復効果を発揮するということなど、さまざまなメカニズムが解明されつつあります。

*マクロファージ……体内に侵入した細菌、死んだ細胞などを消化する作用を持っている、白血球のなかの単球から分化した細胞。

今後は新しい技術を採用しながら、さらに間葉系幹細胞が肝機能を改善させるメカニズムについて、研究を進めていきます。

肝硬変の再生療法は自己から他家細胞へシフト

2017年現在、今までは自己の細胞由来の再生治療でしたが、より多くの患者の救命には、自己ではない細胞を使用した肝臓再生療法の開発が必要です。新潟大学でも、2017年の今年から企業と共同して患者さん自身の細胞ではなく、他の方の細胞を使用した肝臓の再生治療の臨床治験の準備を進めてきて、ようやく治験の準備ができました。私は、新潟大学に赴任してきてから約2年半、ほぼこの治験の準備に力を注いできました。

他家の脂肪由来の間葉系幹細胞の患者さんへの投与

寺井先生

私たちは美容整形などで余った脂肪から、脂肪由来の間葉系幹細胞を大学などで採取し、製剤化するという治験実施にむけた研究を進めています。

脂肪由来の間葉系幹細胞は、骨髄の間葉系幹細胞と多少作用は異なります。しかし、研究の結果、肝臓の線維化が改善されるということがわかっています。また、今後患者数が増加することが予想される脂肪肝炎由来の肝硬変の治療にも効果があります。(肝硬変の種類や症状は記事1「黄疸や腹水の症状がでる肝硬変とは 原因から治療法まで」をご参照ください。)

この研究の治験は日本初のもので、新潟大学医歯学総合病院で、2017年の7月から行われます(治験についての詳しい情報は、新潟大学HPのプレリリース(http://www.niigata-u.ac.jp/news/2017/33824/)をご参照ください)。今までは、患者さんご自身の細胞を培養し移植を行っていましたが、この治験が成功すれば、肝臓再生療法において自己の細胞から他者の細胞を使用する動きが強まるでしょう。

現在は、他家の脂肪由来の間葉系幹細胞を用いた治療は肝硬変の患者さんだけが対象となっています。しかし、将来的には、急性の劇症肝炎*など、今すぐに細胞が必要な疾患の患者さんの治療にも広がっていく可能性があり、より多くの方々の役に立てるのではないかと期待しています。

*劇症肝炎……肝細胞が大量に障害され、肝臓の機能である解毒や排出といった機能が、急激・大量に壊れることによって起こる疾患。

肝硬変 (寺井 崇二先生)の連載記事

非代償性肝硬変に対する自己骨髄細胞投与療法を開発世界で初めて実施(2003年11月)
また現在、他家脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療法の国内初の治験を開始
メダカ非アルコール性脂肪肝炎モデルの開発
治せない病気、診断のつかない病気に取り組んでいます。

「肝硬変」についての相談が5件あります

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