肺がん

70歳代の男性

最終更新日
2022年11月15日

手術の進歩は日進月歩です。がんが広がっていたり合併症があったり、あるいはご年齢や体力的な面からこれまでは手術ができなかったりした方も、いつかは肺がんの手術の適応になる日が来るかもしれません。

これから紹介するのは、今までは難しかった手術に成功した例です。

肺の血管に食い込むステージIIIのがんに対する手術

この患者さんは、心臓から左の肺へ向かう動脈の付け根に広範囲に食い込む形でがんができてしまっていました。

通常このケースでは左の肺を大量に摘出する必要がありますが、肺を多く摘出してしまうと肺・呼吸機能に影響があります。また、この患者さんの場合は体力面から次に予定している治療に耐えられなくなってしまう可能性があったため、なるべく小さな範囲で切除することを方針としました。

そこでがんができた血管を切除した後にご自身の心膜を使って血管をつなぎ直す血管形成術を行い、結果として肺の左下葉(左の肺の下半分に相当する部分)を温存することができました。その後は抗がん剤治療、免疫チェックポイント阻害剤による治療も行い、手術から3年半経過した現在も、この方は再発もなく元気に生活を送られています。

当院では今後も新たな手術方法の開発に熱心に取り組み、手術の適応を広げていきたいと考えています。

北海道大学病院

〒060-8648 北海道札幌市北区北十四条西5丁目 GoogleMapで見る


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